土星月木星

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 ふと窓の外に月が煌々と照るのを見る。今日は十夜だ。

 興が乗り、外に出て夜空を見上げる。煌々と照る月を真ん中に、左に土星が青く、右に木星が橙色に輝いて見える。

 木星の大きいこと。オペラグラスを取り出して眺めてみると、中ほどに暗がりのような暗点があって、まさかこれが大赤斑ではあるまいけれども、ひょっとしてそうかなとも思わせる。

白濁液の味わい

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 今日は健康診断を受けた。

 バリウム飲んでひっくり返ったり横を向いたり、噯気(ゲップ)を我慢しつつ、毎年恒例である。私ほどの手慣れた受診者には、もはや噯気の我慢など、なんらの痛痒(つうよう)もなく、整斉粛々淡々(せいせいしゅくしゅくたんたん)たるものである。

 ところで、最近、何を調達するにも公正な取引云々とうるさいようで、職場の健康診断に使うバリウムにも熾烈な競争が働いているのか、このところ銘柄が年々歳々(ねんねんさいさい)違うようだ。

 家畜さながら、次々と効率よく胃検診システム室内に送り込まれる立場、マジョリティにしてその他大勢、給料取りそのものの身であってみれば、バリウムのラベルの文字をしげしげと読んでいるような暇はない。だが、ボトルの形は毎年違うから、調達ごとに違う銘柄であることは素人でもわかる。

 なんといっても、違うのは「味」である。

 今日のバリウムは、ひろやかな伸びの中にも意外なコクと味わいが感じられた。

 しかし、去年の細いボトルのものは、のど越し、なんというか、「コシ」があるというか、飲み応えに重点があった。これは飲み込むごとにズッシリとした、「胃検診を受けるのだなあ」という実感ないし充実が感じられるものであった。

 一昨年のものは、はかない舌触り、やわらかに広がる味わいに、ふと母乳を思わせるような展開が感じられ、さながら「衆生よ、胃検診に幸福を覚えよ」とでもいうような作り手の直情が感じられた。これを調製した製薬会社の社員は、キリスト教徒、なかんづく聖母を崇拝するカトリック教徒だったのではあるまいか。おそらくはワインを飲むにつけても、「聖母の乳(リープフラウミルヒ)」一辺倒だったのであろう。

 もし私に、しげしげとバリウムのラベルを読む暇を与えてくれたなら、「()きバリウム」の蘊蓄(うんちく)をまとめ、一廉(ひとかど)の好事家として名を成すこともあながち夢ではないような気がするのだが、いかんせん、一般ユーザとしてのバリウム味覚はまだまだ未開拓の分野のようで、情報が少ないのが残念である。

 多分、バリウムを作っている製薬会社の人々は、毎日バリウムを味わってはテストをし、より飲みやすい、人々の健康に裨益(ひえき)するようなものをと、日々年々努力怠りないのであろう。毎年のバリウムの味わいの違い、銘柄ごとの差に、医療関係者の一所懸命な姿勢が感じられ、尊敬を覚えるものである。

PC捨てる

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 先日から自宅の屋根裏を片付けようと、少しづつ色んなものを捨てている。

 当節流行の「断捨離」なんていうほど気合を入れるといっぺんでヘトヘトに疲れてしまう。だから、気が向いたときに少しずつ捨てている。

 先月、古いPCのケースなど、捨てるのに少し困るものが出た。縦・横・奥行き、どれも50cm以下でないと不燃物で出せないのだが、古いATマザーとAT電源付きのフルタワーがあって、これはディスクグラインダーか何かで裁断しないと楽な捨て方ができない。

 それで、これはまあ春永(はるなが)に……などと玄関フロアに放置していたのだが、そのまま3週間ほど経ってしまった。私の妻は辛抱強いが、さすがに「お父さん、明日不燃物の日なんだけど、玄関フロアのアレ、……?」と言い出す。

 よしきた、始末しよう、と、ハンマー、グラインダー、ドリル、その他工具一式の店をひろげ、表でやかましい音を立ててやりはじめる。

 今日は他にもいろいろ捨ててやれ、と、30年前から後生大事に保管していた17インチと14インチのCRTモニタなど、いろいろと始末した。こんな古いもの、家電リサイクルもヘッタクレもないから、分解して捨ててしまう。ケースは20センチ角ほどに裁断し、基盤も割り砕いてバラバラにする。ブラウン管は陰極のところに注意深くドリルを立てて空気を入れ、ハンマーでパリンパリンと割り砕く。ガシャガシャのゴシャゴシャ、もはやただの不燃物である。

 勢いで、屋根裏でかさばる、これもまた20年以上放っておいた自作PCを捨てることにする。

 とてもPCには見えないが、その実これでPCである。段ボール箱に組み付けてある。

 段ボール箱を取り去ると、こういうふうに割と堅実に組み付けてある。

 これは、25年ほど前、PC/AT互換機の自作が定着し出したころに作ったものだ。マザーにASUSの「PI-XP55T2P4」という当時人気の名板を使い、CPUにPentiumの120MHz、メモリを変則で48MB、グラフィックにNumber 9、SCSIカードにAdaptecのAHA-2940UW、RealtekとDECのNICを2枚挿したマルチホームである。

 ケースにまで手が回らず、仕方がないので机の上に部品をゴチャゴチャぶちまけたまま使っていたが、片付かないのでその辺にあった木や金属で段ボール箱の中にまとめたのだ。

 まあ、今時(いまどき)こんなものを持っていたってしょうがない。HDDには念入りに9ミリの鉄鋼ドリルでゴリゴリ穴を空け、始末する。マザーとカード類は壁にでも掛けるべく取り外す。

 さらば、段ボールPC。

梅雨(つゆ)最中(さなか)の月

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 仕事帰り、東の空をふと見ると、大きな月が昇り始めた。今日は旧五月十五日の望夜、さてこそ大きな月であるはずだ。

 ちょうど真南に赤々とした大きな星が見える。多分木星かな、と、帰宅してから調べてみると果たして木星であり、ほぼ20時南中である。

ショーウィンドウ化に加担

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市長選

 市長選の投票に行く。現職と対立の一騎打ち対決。二人とも「無所属」を標榜しているが、実際にはバックがあり、現職高橋は旧民主・社民、対立の若手畔上は自民である。

食器洗い乾燥機が壊れる

 かれこれ10年目くらいになった食器洗い乾燥機が壊れてしまった。平成19年(2007)製のパナソニックNP-BM2だ。ここまで使えば、もはや「修理」はない。「買い替え」の一択だ。

 いまや食洗機は、妻の台所には絶対になくてはならないものになっており、食洗機のない不便さには到底戻れない。

 ウチの食洗機は据置型で、いわゆる「ビルトイン式」ではない。今は各社とも据置型食洗機から撤退しており、パナソニックだけが据置型を製造している。

 というわけで、先週から妻が家電量販店に物色しに行っていたが、決めきれずに私に相談してくる。「どれを買おうかしら」と聞く妻に、私は、「そりゃお前、店に行って好みで適当な品物を選ぶのだ。型番だけ決めたら、その型番をスマホで検索するのだ。すぐに店より安いものが見つかる。」と。

 そう、言うまでもなく、ショーウィンドウ化である。消費者の行動は、家電量販店をショーウィンドウ代わりに使って特に恥じることもない時代になっている。勿論私もそうだ。

 今日は近所の某家電量販店2軒に赴き、食洗機のディスプレイ品をいじくり倒して使い勝手をあれこれと検証してきた。しかし買わず、型番だけ確かめ、スマホを取り出すやすぐにその場でネット検索だ。店の値段とネットの値段を比べ、やっぱりネットのほうが安いことを確かめる。その店で買う気がテンからないのだから、私もひどい客である。

 税込価格ではやはりAmazonあたりの値段に家電量販店は遠く及ばない。Amazonで買った場合の心配は、家電量販店のように「5年無料保証」なんてのがついていないことだろう。しかし、シャープやソニーと違ってパナソニックの製品は頑強で、今まで使っていたNP-BM2も、6年目まで一切故障がなかった。だから今度のものも、5年無料保証のお世話になることは、おそらくあるまい。

 というわけで、パナソニックの「NP-TR9」という型番のものにする。Amazonプライムにはなく、Amazonマーケットプレイスでポチ。後で気づいたが、楽天の方が数百円安かった。まあ、いいや。

晩飯に(かしわ)の水炊きでも

 レイクタウンのイオンへ行き、鶏肉、ねぎ、うどんなどを買い込む。晩飯は(かしわ)の水炊きにするのである。

 

庭は

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 庭は後回し、などと言いながら、し残した仕事があるとどうも気分が悪く、漫画なんか読み終わってから結局また外へ出、庭の草取りをやっつけてしまう。

 今度はあらかじめ風呂を沸かし、マスクをかけ、虫よけスプレーをたっぷりと振りかけ、完全防備だ。

 (まなじり)を決してバリバリ草を抜いていると、妻も出てきて一緒に頑張り始める。……お、おう、妻、来たか(笑)。

 天気が小雨模様だものだから、草が湿って抜きやすく、(はかど)ること捗ること。勢いに任せてぶちぶち引き抜いていくと、まるでプラスチックの作り物のように美しい色をした精霊飛蝗(しょうりょうばった)の子が、びっくりしたようにピョンピョンと逃げていく。

 そんなわけで、ジャングルと化していた飛蝗(バッタ)の楽園も、すっかりきれいになった。

 虫よけスプレーをかけていたとは言え、まったく虫刺されなしというわけにもいかず、痒いところが何か所か。……沸かしておいた風呂に飛び込み、体を洗って湯につかると、刺されたところがじんわりとしみて、痒みが消えていく。むしろ逆に、夏の快であるような気すらしてしまう。

名刺を整理

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 方々(ほうぼう)で頂く名刺。お客さんや人脈などを広く持たなくてもよい仕事をしているので——というか、幅広く人脈なんか持つと、むしろ(クビ)になってしまう——、それほど多いわけでもないのだが、それでも数百枚にはなっており、鞄の中で随分かさばってしまっていた。

 意を決して電子化することにした。名刺管理ソフトも世の中には色々ある。クラウド利用のものもあるようだが、アプリケーションや機材、ネット接続環境などを選ばずシンプルに見られるよう、PDFにすることにした。勿論、OCRをかけて検索可能にする。

 問題は、名刺に一枚一枚付箋を貼り、その方と会った日付や状況などを忘れないよう書き込んでいたことだ。直接書き込んであるのならそのまま電子化すればよいが、付箋を貼ったままスキャナには入れられない。付箋で情報が隠れてしまうし、スキャナのシートフィーダがジャムってしまう。これは容易に電子化できない。

 付箋の手書き情報は打ち込むしかない。

 付箋を1枚1枚はがしてはスキャナに入れ、付箋に書いておいた内容を入力するようなことをしていると、非常に時間がかかってしまうことは明らかだ。思案した末、見開きの名刺バインダーに名刺が付箋とともにずらりと並んだ状態で写真を撮った。こうすると貼り付けてある付箋も一緒に写真になる。それから一斉に付箋をはがし、名刺をまとめてスキャンする。次いで写真を見ながら、PDFの「注釈ノート」に付箋に書き込んでいた内容を打ち込んでいく。

 2~3時間の作業で、数百枚の名刺を始末できた。PDFだから、スマホでも見られるし、PCでも見られる。特に名刺管理アプリケーションの導入も必要ない。検索もできる。