読書

投稿日:

 先々週図書館から借り出していた本、4冊のうち最後の「陸軍戦闘機隊の攻防―青春を懸けて戦った精鋭たちの空戦記」(光人社)を読み終わったので、返却した。

 実は今日が返却日で、まだ2、30ページほど読み残していた。読書は毎日の通勤電車内の楽しみなので、読むのに4、5日かけているからだ。今日は仕事の帰りに越谷市図書館の南部分室へ立ち寄って、返却する前に残りを全部読んでから返却した。南部分室は夜の9時頃まで開いているのである。

 実は読み始めた時にアッと気が付いたのだが、去年の秋に、国会図書館で二式複戦「屠龍」のパイロット、樫出勇大尉の書いたものがないか探し、これを読んでいたことに気が付いた。その時は樫出勇大尉の手記だけを読んだので、他の人の手記は読んでおらず、最初のページをパラッと見た時には気づかなかったのである。

飛燕とダイバーシティ

投稿日:

 あることへの、ある人の感想がやり玉に挙がっている。

 上の記事に対する、まあ、どうでもいいような無名の人の、ボソッとしたツイートが右なのだが……

 これがもう、えっらい炎上っぷりである。

 私は頭の悪い好戦右翼だが、しかし、どうも、この「きむらとも @kimuratomo 」なる炎上元の人を叩く気にはなれない。

 この「きむらとも」という人に、何か、未熟で(かたく)なな、小学校高学年の生意気な女の子のような感じを覚えるからだ。

 この人が唾のように吐いて捨てた感情は、「人間は戦争をする。だから人間は気持ち悪い、許せない。人間など滅びてしまえばよい。諸悪の根源だから」というのとかなり近いと思う。

 だが人間は、間違ったことをしながら良いことをする。人殺しが慈善活動をする例、篤志家が人を殺す例、そんなものは掃いて捨てるほど世の中に転がっている。

 悪事を働きながら、罪を犯しながら、だがその一方でまた人を思いやり、愛する、恋する、それが人間というものだ。人間は両極性を持っている、(など)と述べたのは確かユングであったか。両極性と言ってしまえばとらえやすいが、その実、極と極の間には、分別のないグラデーションのような中間帯があり、これはすべて連続している。無限の多様性が一人の人間の中においてすら、捉え切れないほど、ある。

 そんな多様性を持つ一人の人間が、1億、10億、50億と束になればどうだろう。彼らは、虐殺しながら、戦争をしながら、原爆を開発して炸裂させながら、それにもかかわらず、もう一方の手で人を愛し、神を畏れ、徳を磨き、世界を発展させるのだ。その多様性はもはや評価も批判も拒絶していると言わざるを得ない。

 大日本帝国が戦争の末期近くなって開発・投入した、この「三式戦闘機・飛燕」だって、現代の私達から見れば人殺し機械の相貌を持っていながら、実は一方では無辜の民を殺戮する悪魔の重爆撃機・B-29を打ち払ってくれる愛の帚木(ははきぎ)だったかも知れず、また同時に、立場を逆にすればその真反対、愛する夫や父が正義のために操縦するB-29に楯突く、悪魔の機械であったかも知れない。同じ機械が愛でもあり悪魔でもあるのだ。人間それ自身が善と愛であり同時に悪と罪であるように。

 言っては何だが、この人のツイートは言葉のアヤみたいなもので、どうやら医者らしいが、このダイバーシティ礼賛の世の中、医者ともあろうものが人間のそうした多様性を深く考えたことがないなどと言うはずはあるまい。きっとそういう思考を深刻に経てきた人であることは間違いない。

 むしろ医者として、これから大成するよう祈る。

出掛ける

投稿日:

 金~土にかけてまた忙しかった。だが土曜には引けた。秋らしいよい天気で、空の青さが美しい。

 今日はじっとしていなくても良い日だったので、最近の(なら)いで出掛ける。

 だが、特に大切な用があるわけでもなし、何をしようと言う目的もなく家から出てしまった。妻子もそれぞれに用事があるので、自分一人である。

 駅のスターバックスで10時ごろまでコーヒー飲んで読書。本はヒョイと持って出てきた、田形竹尾の「空戦 飛燕対グラマン 戦闘機操縦十年の記録」というもので、題名から見てわかる通り、言わずと知れた光人社文庫である。

 著者の田形竹尾氏は、私がこの本を買った時にはたしかまだ存命だったが、7年前の平成19年に81歳で亡くなった。この人は存命の間はむしろ右翼活動や「チャンネル桜」の設立で有名だったが、実は先の大戦中は知る人ぞ知る神技パイロットだった。活躍時の階級は准尉だったが、陸軍の保有するほとんどすべての機種の操縦資格を持っていたと言う信じがたい一事をもってしてもその熟練の程がしのばれる。この本の中にも、連絡機や、重爆などの専門外の機種まで実際に乗りこなし、単に経験するのみならずそれで任務を遂行しているところが出てくる。そのせいもあってか、「陸軍の至宝」の別格扱いで、何かと大事にされ、結果として死なずに済んでいるが、逆にそのせいで多くの特攻隊員を教育して送り出す羽目ともなり、その苦悩がこの本には色濃く(にじ)み出ている。

 専門は三式戦「飛燕」で、この本の最も手に汗握るところは、部下の軍曹とたった2機で36機のグラマンF6F「ヘルキャット」と互角に渡り合った記録である。

 そこのシーンを懐かしく拾い読みするうち、丁度ドリップのグランデ・アイスが空になる。

 スターバックスを出て、思い出して圧着クリンパーを買いに秋葉原へ行く。実はこの前、圧着クリンパーを使うことがあり、その時に少し困ったのだ。

 圧着クリンパーには「オープンバレル用(電装用)」「絶縁被覆用(電気器具用)」「裸端子用」と3種類がある。「電装用」というのは自動車の内装用のもののことだ。

 全部同じようなモンだと思うかもしれないが、実は圧着する刃口、「ダイス」と呼ばれる部分が大きく異なる。オープンバレル用というのは「ふた瘤らくだ」の背のような形で、両側から金属のハネを巻き締めるようなカシメになるし、絶縁被覆用は「目」のような刃口で、絶縁のための樹脂を傷めずに上下にカシメる格好になる。裸端子用は端子の部分を強くへこませてカシメるようにできている。

 先日ちょっとした修理で、絶縁被覆の圧着スリーブを使ったのだが、裸端子用のクリンパーしか持っておらず、電圧が弱いところだったので、「まあいいか」で、絶縁被覆を破らないよう、裸端子用のダイスを注意深く使って修理した。

 それはそれで済んだが、「適正工具を使わない」というのは、実は技術者としては落第である。よく見られることだが、ペンチの柄やレンチの頭を金槌がわりに使って釘を打ったり、ドライバーで缶のふたをこじ開けたり、ということをすると、若い頃は職場の先輩からビンタを喰らったものだ。私は若い頃、バイオレンスでガテンな職場のフィールド・エンジニアだったのだ。

 釘を打つときには金槌や玄翁(げんのう)を、ふたをこじ開けるのには「割柄(わりえ)」やバールを用いるのが適正である。そうしないと工具も材料も傷めてしまい、場合によっては怪我をしたり、人の命にかかわる場合すらある。

 千石電商で絶縁被覆用と裸端子用のダイスが両方ついたのを買う。マーヴェル製で、1800円。

 最近千石電商は店の品物配置が相当変わったので、目当てのものに行きつくのに少し迷う。

img_4619 店を出ると、前から気になっていた「スキットル」が今日も店先に置いてある。千石電商は時々こういう「なんで?」というようなものを置くことがあるから好きだ。このスキットルも、電子部品関係者の間では以前から「なんで千石電商がスキットル?」と話題になっていた。

 そんなに高くないので、どれ、ひとつ、と買ってみた。600円ほど。他に、専用漏斗と薄手のステンレスのショットカップがそれぞれ100円とか60円で置かれているので、それも買う。

 何か面白いものでもないかな、とウロつくうち、はや昼時となる。神田~秋葉原の辺りに来ると、このところ毎週のような気もするが、口舌が「まつや」か「籔」の蕎麦と酒を求めるのである。

 神田川を昌平橋のほうから渡って「籔」に行って見るのだが、開店10分前から行列だ。ウンザリして、たしかもう開いている「まつや」を覗くと、これがまた一杯である。

 なにか、変わったところへでも行くか、と思いつき、たしか、「大坂・砂場」の総本家みたいなのが、三ノ輪のあたりにあったんじゃなかったっけ、とググると、たしかに、出てくる。日比谷線で三ノ輪まで引き返して行ってみた。

三ノ輪・砂場総本家
三ノ輪・砂場総本家
 砂場の総本家というのは三ノ輪のアーケード商店街「ジョイフル三ノ輪」の中にある。店構えは古く、戦後すぐの築だそうである。

img_4568 神田・籔やまつやのような店ではなく、実に静かな、「街の蕎麦屋」の風情の店である。

 黒松剣菱を一合、蕎麦味噌で飲んで、「もり」を一枚手繰る。蕎麦湯は蕎麦粉を濃厚に溶かし込んであって、濃い。

img_4569 店を出て、少し歩いてみるものの、三ノ輪、入谷という辺りは旧吉原の界隈で、ここらへんをうろついたからと言って、今の私にはそう楽しいこともない。

 そういえば七味を切らしていたな、と、電車で浅草へ行く。「やげん堀」で山椒多い目の大辛と、陳皮多い目の大辛を調合してもらう。

img_4573 ふらふらしていると神谷バーが目についたので、入って枝豆なんか摘みながらよく冷えた「電気ブラン」を一杯。

うんこ
うんこ
 国際通りの交差点に立ち、隅田川の向うに堂々と鎮座する「うんこ」の様子を眺めていたら、先々週乗ったばっかりなのに、また船に乗りたくなった。観光船の乗り場は「うんこ」の手前、吾妻橋のたもとの北側にビルがあり、そこから乗れる。

img_4579 今日は「ホタルナ」という最新型のクルーズ船に乗った。バーボンのポケット瓶を一本買い、用もないのに飲みながらお台場まで行く。

img_4590_trim まことによく晴れた秋空の下を、船は揺れもせず淡々と水を切ってゆく。いつもと同じで、外国人観光客が多いようだが、今日は特に中国・朝鮮の人が多かった。先日と違って今日は白人があまりいなかった。米国やヨーロッパでは、もう夏休みも終わりなのだろう。

 お台場海浜公園で船を降りる。酒ばかり飲んでいたので腹が減り、「よってこや」というところで煮卵入りのラーメンを食う。

 用もなく船に乗っただけだから、別にすることもなく、お台場からゆりかもめに乗り、新橋から京成に乗った。押上で降りてスカイツリーラインに乗り換えて帰ろうと思ったら、酔っ払っていたので寝てしまい、「高砂」とかいう知らん駅まで乗ってしまった。どこだココ。

 北千住へ引き返し、普通に帰宅。