建設編 その1


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  •  地鎮祭
  •  平成14年3月29日の大安を選んで、いよいよ地鎮祭を行うことになった。建築士N氏が地元の大きな郷社の神職さんを頼んでくれた。

     その日までにいろんなものを用意する。

    •  酒 1升
    •  塩 1合
    •  米 1合
    •  紙コップ
    •  野菜 5品
    •  果物 3品
    •  鯛
    •  するめ
    •  昆布

     N氏のほうで、青竹4本、注連縄(しめなわ) を用意してくれる。これは祭壇に結界を張るためのものだ。それに加えて、着工をするための砂と鍬もN氏のほうで用意してくれることになっている。

     最後に、わすれちゃナラネェ初穂料3万円。私の住むこの地方の郷社では、だいたい3万円が相場であるとのこと。結婚式に持っていくようなニギニギしい水引をかけて、袱紗に包んでおく。

     で、その日の朝を迎えた。妻に「何時だったっけ?」と聞くと「ウン、11時!」と元気よく答える。・・・と思いきや、「・・・だったよね・・・?」と語尾を濁している。まぁ、女房が言うんだから間違いあるまい、って朝の9時まで寝坊して、神事を行うんであるから斎戒沐浴、の、「斎戒」はちっともやらずに沐浴してひげをそり、コーヒーなんぞゆっくりすすってN氏にもらってあった「今日の予定」を見たら「地鎮祭は10時から」と書いてある。ゲゲ・・・!!もう9時50分だ!!

     ヤレ急げソレ急げ、と車に荷物を叩きこみ、建築現場へ急行したのだが、折りからしのつく雨の中、現場に張られたテントの下に寒そうに神職さんとN氏方一同が肩をすぼめて待っている。

     これはなんとも具合が悪い。こういうめでたい日に遅刻するとはなんたる不覚!!

     野菜や魚、米などは、神職さんにお渡しすると、「はい、わかりました」という具合で、手際よくお供えをしてくれる。

     この日は、朝起きたときから雲行きが怪しいな、とはうすうす思っていたのだが、朝からぽつぽつ降り始め、いざ地鎮祭がはじまってみると本降りに。

    ・・・最低。

     さて、地鎮祭の次第は、フルに目いっぱい全部やると、次のようになるらしい。

    1. 手水の儀(てみずのぎ)
      入口に用意された手水桶(ちょうずおけ)から柄杓で水を注ぎ、手を洗い、 口をすすぎ、白紙で手をふく。住宅の場合省略されることの方が多い。

    2. 着座(ちゃくざ)

    3. 修祓(しゅばつ)
      神官によるお祓い。

    4. 降神(こうしん)

    5. 献饌(けんせん)

    6. 大祓詞奉唱(おおはらいしほうしょう)

    7. 祝詞奏上(のりとそうじょう)

    8. 清祓(きよはらい)

    9. 地鎮の儀(じちんのぎ)
      1. 苅初の儀
      2. (かりそめのぎ)−カマ、設計者が行う
      3. 穿初の儀
      4. (うがちぞめのぎ)−クワ、施工者が行う
      5. 地曳の儀
      6. (じびきのぎ)−スキ、建主が行う

    10. 玉串奉奠(たまぐしほうてん)

    11. 撤饌(てっせん)

    12. 昇神(しょうしん)

    13. 退下(たいげ)

     しかし、まぁ、私達程度であれば、それなりの省略というものがあるようでもあり、祝詞と大祓の間の区別も素人にはよくわからないから、私達の地鎮祭が上のような次第であったかどうかはよくわからない。

     神職さんが玉串のささげ方と、鍬入れのし方をあらかじめ教えてくれ、最後に「確かにしきたりはきちんと決まっておりますが、少し間違えたからと言ってあわてることはありませんのでネ」と優しくも言ってくれる。

     玉串は神職さんから頂いたら、おしいただいて結界の前に立ち、そこで一礼して結界の中に入る。玉串を時計回りにまわして根元を向こうに向け、神棚にお供えして二礼ニ拍手一礼するのである。

     鍬入れは、盛り砂に「えい・えい・えーい」と鍬を3度突き入れる方法と、右・左・右と3度土を掻き分ける方法がある。「鍬」と言っても鍬ではなくて、ちいさなスコップである。

     説明のあと、神職さんがウォホンと咳払いをして、地鎮祭をはじめる。

     祝詞も玉串奉奠も鍬入れも滞りなくおわる。神職さんが土地の四隅と中央に紙ふぶきのようなものを撒いていく。これはなにか、清めのようなことであろうか?

     「なおらい」となり紙コップでお神酒のお下がりをいただき、今度は私と建築士N氏とでお米と塩、酒のお下がりを土地の四隅と盛り砂にかけて清めをする。

     最後に神職さんから「鎮めもの」なるものをいただく。半合マスほどの木の箱に封緘がほどこしてある。神職さんによると、もともとは人柱などを埋めた名残であり、ところによっては金属製の人形などが入っているのであるが、当宮の場合は「砂」です、とのことである。これを、基礎の中に埋め込むのである。「くれぐれも開けないように」と念を押される。それは建築士N氏が受け取る。

     最後に、神職さんと記念写真を撮らせて頂いて、全て終わった。

     地鎮祭が終わる頃には雨は本降りに降りつのっており、私の一張羅も神職さんの衣もみんな泥んこになった。



  •  地盤調査の結果
  •  さて、地鎮祭の3日前、頼んでおいた地盤調査が行われていた。地鎮祭の日にその結果などを 聞く予定であった。

     N氏方が持ってきた地盤調査の結果を見て、あまりいい気分がしなかった。

    悪いんである。

     このグラフは何かというと、縦軸が深さ、横軸が地面の強さを表している。地面の強さについては、平方メートルあたり何トンの地耐力であるか、ということを表している。これは、鉄筋みたいな長い鉄の棒に100キロのおもりを載せ、その鉄筋についたハンドルを半回転づつ回していって、どれくらい沈み込んでいくかを測定し、そのデータを比例方程式を用いて換算し、グラフ化したものだ。この方法を「スウェーデン式サウンディング(探深)法」という。大きなマンションやビルにはこの方法ではダメだが、個人の住宅には必要にして充分な検査である。

     普通、2階建てであれば、2t/u以上の地耐力が底のほうの固い層にまで分布しておれば良いそうだ。ところが、このグラフの通り、わが家の足元にはわずか1.5t/uの地耐力しかない層が分布している。

     たとえ軟弱な地盤であっても改良工事を施せば、それはちゃんとした地面になるのであり、今はとても進歩した工法がいくらもある。ところが、だ。その改良工事には100万円ほどもかかるのだ。

     うーむ。ひょっとして、地盤改良工事をしたほうがええのんちゃうんかいな??

     不安に思っていると、N氏が、「大丈夫。ベタ基礎にすれば充分です」みたいなことを言っている。

    ホンマに大丈夫かいな

     正直不安になってきたので、「一体どうなんでしょう大丈夫ですかダメなんですかギリギリなんですかヨユウなんですかどうですかえっ?えっ?」みたいな質問をしてみたところ、

    •  調査/保証会社からは、「この土地は、地盤改良の必要がない」との調査結果が来ている
    •  同時に、「この地盤であれば、この基礎で家を建てるべきである」との 仕様が指定されてきている。そうして、指定されてきたのはいわゆる「ベタ基礎」である。 この指定に基づいて家を建てて、もし地盤沈下などが起こったら、調査/保証会社のほうで 費用を負担しなければならない約束になっている
    •  地盤改良工事をしたほうが良いかしないほうが良いかと問われれば、それは やったほうがよい
    •  しかし、保証を導入しているので、それもこれも全て選択するのは、 少々オーバースペックである

     という答えが返ってきた。考えてみるとそのとおりである気もしてきた。

     以下はその調査会社の基礎や地盤の保証に関するシートである。

    調査会社の基礎や地盤の保証に関するシート

     それに、これは結構、別の意味で私が建築を発注したN氏方が良心的である表れかもしれない。 だって、儲けたいだけなら、私の不安を煽り立ててオーバースペックの工事を どんどんやらせれば良いわけなんだから。それをしないということは、 彼らが良心的である表れかも知れぬ。

     そういうわけで、地盤に関しては、調査・保証会社の調査結果どおり改良工事はやらず、 基礎に関しては、調査/保証会社の指定してきた仕様に基づき、 当初の予定通り「ベタ基礎」で行うことになった。



  •  いよいよ基礎の工事
  •  地鎮祭の次の週、平成14年4月8日の月曜、いよいよ工事が始まった。 平日だったが、仕事帰りの夜、土地に行くと、溝を切って逆ナマコ状に コンクリートが流してある。

    逆ナマコ状のコンクリート(捨てコン)
    逆ナマコ状のコンクリート(捨てコン)

     この「逆ナマコ状」は、見たところ非常に表面が真っ直ぐにならしてある。 これを「捨てコン」というそうな。

     この「捨てコン」を打つ前に、 石をたくさん敷き詰める「地業」という作業があるそうで、 そこのところが住宅を建てる際の一つの見所であるそうだが、 残念ながらそれは見られなかった。

     その次の日に行くと、もう早速にもその「捨てコン」の上に囲いのようなものが 立っていて、土地の真中へんもなだらかな台状にコンクリートがならしてあり、 そうしてその上に20センチぐらいの格子状に鉄筋が張り巡らしてある。

    鉄筋が入ったところ

     鉄筋が入ったところでの全体像はこんな感じだ。

    基礎の全体像

     サラ地の状態のときと比較すると、なんだか、イヨイヨ我が家の工事が始まったのだナァ、 という気がする。

    サラ地状態

     そうした事どもと並行して、家の外装をどうするか、とか、ドアはどうするか、とか、 流しや便所はどうするか、というようなことをどんどん打ち合わせしていく。

     N氏に案内してもらって、住宅設備機器の展示場などを見せてもらった。 

    トイレを選ぶ
    トイレを選ぶ

    ドアを選ぶ
    ドアを選ぶ

    ドアを選ぶ
    ドアを選ぶ

     「一度会社の方にも来てください」と言うので、N氏の会社に行った。

     私はそれまで、N氏は一人で建築士事務所をやっている人だと思っていたのだが、 代表取締役の人は別にいるのであり、どうもN氏が一番エライというわけでもないらしい。 なんか、勘違いしていたみたい、というか、ダマされていたみたい? なような気がする。

    打ち合わせ
    打ち合わせ

     代表取締役の人はKさんという人であり、N氏はもっぱら営業方面を担当しているようだ。 他に設計をやっているAさんという若い人と、 事務などをしているらしいMさんという女性の方がいる。

     平成14年5月1日、この日はゴールデンウィーク中で私は休暇を取っていたが、 品確法関連の1回目の検査(基礎に関する検査)が終わり、基礎のコンクリートが打たれていた。 翌日にはコンクリートが乾き、型枠がはずされた。

    型枠のはずれた基礎
    型枠のはずれた基礎

     基礎のカドがピシリと出て、なかなかにキモチが良い。

    角の立った基礎
    角の立った基礎

     しかし、気分の良いことばかりあるわけではない。

     N氏方が 「パイプの通るところのスペースがないから、玄関の収納の中にパイプ通させて下さい」 とか言うんである。

    てぇええいっ!イヤに決まっとるッ!!

     

     それで、「イヤ、せっかくの収納が狭くなってしまうじゃないですか。なんとかしてください」と言うと、 今度は「じゃー、玄関の『袋』の部分に壁張らせて下さい。その中に入れます。 始めのパイプスペースは空にする、ってことで」と来た。 まぁ、しょうがないかナァと思い、いちおうイイヨとは言ったものの、良く考えてみたら

    チョット待てヲイ!

     そ、ソレってミスをワシの土地で埋めるってことじゃーないのかい!

     それにも文句を言って、直してもらった。ところが、基礎が打ちあがってみると、 1階の南側の部屋の収納の中にズコーンと パイプが通っているではないか。

    ちょ、ちょっと待てやぁああ!!

    パイプがズコーンと!!
    パイプがズコーンと!!

     もしこのまま収納内をパイプが縦貫すると、そりゃぁすごく収納の使い勝手が悪くなる。 急いで「何とかしてくださいよ」と文句を言うと、 「その部分の配管は外に出す」ということになった。 なんだかカッコ悪いが、しょうがないか・・・。

     そんな日々の間にも妻は壁紙を選んだり便所の色に迷ったりなかなか忙しい。

     「基礎の立ち上がり部分の流し込み」も終わり、5月11日の土曜日には、基礎の型枠が全部はずれて、いよいよ基礎が完成した。

    立ち上がり部分の型枠がはずれた基礎
    立ち上がり部分の型枠がはずれた基礎

     ある日、建物の「展開図」というものを眺めていた。これは、建物の垂直面に面して描かれた図面で、窓などの配置を確認するのに使うものだ。これを眺めていたら、台所の天井裏や書斎の天井裏に、非常に大きな空間があることが分かった。

    これって、なにか収納に使えないかナ・・・

     ロフトみたいなのにすると多分高くつくんだろう。何か天袋的なもの、押入れみたいなものなんかにならないものかいな、と思いつき、持ちかけてみたところ、押入れみたいなものなんかにしても結局あまり手間は変わらない、いっそロフトを検討して見ませんか、というようなことになった。それとあわせて、

    •  2階のリビングの窓をもう少しずらせて欲しい(手持ちの家具のサイズに合わないから)
    •  台所の収納付きカウンタに棚を取り付けて欲しい
    •  壁の目の高さより上ぐらいに、ぐるりと垂木をとりつけて欲しい(モノを引っ掛けたりするのに便利だから)
    •  玄関に面した部屋の窓に格子を入れて欲しい
    •  便所に腰壁を巡らせて欲しい

     ・・・などというようなことを要求した。



  •  木工がはじまったゾ
  •  週明け、平成14年5月14日の火曜日。 仕事が早く終わったので、帰りに現場へ行って見ると、木工が始まっていて、 床が張り巡らされている。これはなかなか気分がいい。

    防水シートの張られた床
    防水シートの張られた床

     木材がなんだかオレンジ色っぽく見えるのは、防腐剤か防蟻剤が塗布されているのであろうか?これが「通し床」とかいうものか?

     たしか、この中には断熱材が詰め込まれている筈であるが、どうなっているのだろう??

     その次の日にはもう既に1階部分の壁が立ち、すっかり家のような気配が出てきた。ヤッタゾ。

    1階部分正面
    1階部分正面

    1階部分南西から
    1階部分南西から

    なんか気分出てきた!!。


  •  ロフトだロフト!
  •  5月18日の土曜日に、先週頼んでおいたロフトの見積もりを聞きに行った。 2階の南側のほぼ半分ぐらいにも及ぶ天井裏をロフトにしてしまうという壮大な計画だ。 で、それにだいたい30万ほどかかるとの事だ。

    もちろんそれでオッケー!!ゴー!

     これまで私は、我が家を建てるにあたり、建築家N氏方が提案する「遊び」的な部分、 すなわち、「ウッドデッキ」や「吹き抜け」を排除してこざるを得なかった。 予算がなかったからだ。それはそれで仕方がなかったわけであるが、 せっかくの瀟洒で小綺麗な輸入注文住宅が、時間が経てば経つほどだんだんと 面白みのない、つまらないものになっていくようで、イヤであった。

     だがしかしッ!! ここへ来てロフトがにわかに現実味を帯びてきたわけである。 これでもって我が家の「遊び」的な部分の不足は、 一挙に挽回だ!! 契約前、最初に間取りなどを希望したときに、もし可能なら、 とロフトを希望したわけであるが、 それはなんとなく中止にというか、忘れ去られてきた経緯がある。 それがいわば復活したわけだ。

     さて、ロフト部分は次のような位置に設ける。

    ロフト部分
    ロフト部分

     ロフトを正面から見ると次のようになる。

    ロフト部分正面
    ロフト部分正面

     立体的なイメージは、次のようなものだ。

    立体的なロフトのイメージ
    立体的なロフトのイメージ

     「遊び的な部分」の一挙挽回のほかにも、増やしたとは言えやや不足気味である収納スペースも、 これで一挙に解決である。季節の布団や衣類などはここへ叩きこんでおけばいいことだし、 本などを収納しても心配ないくらいの十分な強度があるらしい。子供もここらへんで遊ばせておけば ヨロシイ。客が来て寝る場所がない時は、ここで寝ることも出来る!!。

    す、スバラシイ(笑)

     この部分へのアクセスは、白く塗ったアルミ製の梯子で行うことになる。



  •  2階が出来てきた!
  •  その次の5月20日の月曜日の夜、現場へ行ってみたら2階の壁が半分ぐらい張られていた。 2階の床もどうやら張られているようだ。5月21日の火曜日の夜に行ってみたら、 2階の壁はほぼ全部張ってあって、梯子がかけてあって昇れるようになっていた。

    2階が出来てきた
    2階が出来てきた

     夜ではあったが、梯子を昇って2階に上がってみた。遠くに駅前の夜景が見えたりして、 なかなか気分がよい。

    2階台所のあたり
    2階台所のあたり

     5月24日、金曜日の夜に行ってみたら、既に建物の周りに養生シートが張り巡らされ、 足場が組まれている。屋根の骨組みの一部が出来ていた。

     その次の日の土曜日に行ってみた。

    屋根ができつつある
    屋根ができつつある

     大工の棟梁さんにジュースを差し入れた。 その場に建築士N氏方の若手、Aさんが施工監理に来ていたので、少し話をしたのだが、 こういう一番上が直角になっている高い屋根を カネ勾配というらしい。「カネ」というのは、 曲尺(かねじゃく)、 という言葉があるところから見て、 たぶん大工さんや建築の用語で直角のことをさして言うのだろう。

     対して、普通の家ぐらいの緩やかな勾配の屋根を「五寸勾配」というらしい。

    カネ勾配
    カネ勾配

     3階建てほどにも見える背の高い家だ。周囲の家を圧する大きさである。

     もちろん、そうは言ってもきちんと法律などの制限内で建てているのはいわずもがなである。 しかし、Aさんによると、こういう高い屋根には問題点もないわけではないらしい。 例えば、

    「テレビのアンテナを屋根の上に上げるのは、
    ハッキリ言ってムリ」

    だとか、

    「仮に屋根の上に上る作業をやるとすると、
    職人さんの手間賃が高くなる」

    とかいう問題が生じるらしい。で、我が家の場合は、たとえばテレビのアンテナは、 ベランダに高いロッドを立てて、そこに付けることになるようだ。

     テレビの話が出たところで、「来週もう屋根がかぶりますから、 5月31日の金曜日にコンセントなどの配置について打ち合わせをしませんか」ということになった。



  •  上棟
  •  平成14年の5月最後の週、5月28日の火曜日の夜に現場へ行って見ると、 屋根に板が張られていて、 一段と見栄えがするようになっていた。 屋根が掛けられる、すなわち 「上棟(じょうとう)」である。

     本来ならば「棟上げ」のお祝いをし、大工さんや職人さんをねぎらうものなのであるが、 最近はやらない人も多いこととて、私もそれに倣い、棟上げの宴会やご祝儀はしなかった。

     そうはいうものの、この「棟上げ」で「上棟時金」と称して工事代金の一部、 450万円をを支払う約束になっている。とどこおりなく銀行振込でそれを支払った。 なにか、ひと段落すませたような気がしないでもない。

     コンセントの打ち合わせは、私が行けなかったので妻が行った。 コンセントの位置だけカンタンに打ち合わせをするものと思っていたら、 照明から換気扇からテレビのアンテナまで、電気関係を全部打ち合わせしたので、 かなり時間がかかったらしい。

     返ってきた妻に聞くと、最初の設計だと2階のリビングの照明は、 天井に埋め込むタイプの白熱灯だったのだが、現場でそれを見てみると、 天井高が5メートルもあるのに、

    電球切れたらどうやって替えるねん

    ということに気がつき、やめた、ということであった。なるほど。

     6月1日の土曜日に現場に行って見ると、屋根に防水シートが張り巡らされていた。

    屋根が掛けられた家
    屋根が掛けられた家

     写真ではなにやら緑色の屋根をかぶっているように見えるが、 この緑色に見えているものは防水シートみたいなものであり、 まだ屋根は葺きあがっていない。 私が注文した葺きあがりは橙色みたいな茶色である。

     6月1日の土曜日には、建築士N氏方のAさんと、収納の内部の設計や、 ロフトに設けるはしごについて、詳細に打ち合わせをした。