子供の頃──中学生の頃だったか、小学生の頃だったか、あいまいになってしまって思い出せない──クリスマスのその日だったか、何日か前だったか。
名曲、
”Jingle bells, jingle bells,Jingle all the way!”、ミ、ミ、ミ~、ミ、ミ、ミ~、ミ、ソ、ドーレミ~
……という節回しで、かの山上たつひこ氏が名著「がきデカ」に伏字もなしに堂々と発表した不朽の替え歌、
「♪チンコのべーる、ちんこのべーる、ちんころおーざうぇぇ~♬」
……というアレを、ゲラゲラ笑いながら怒鳴るように歌っていたら、教室の向うのほうで女の子が泣き出した、ということがあった。
「おいこら、なんでアイツが泣くねん、ワシが何を歌おうが、そんなもん、勝手やんけ!?」
そう口に出したら、その女の子はますます泣きつのり、誰か他の女の子が「ああ、ホンマに、アホの男子は、何もかもだいなしやアホっ!」みたいな視線でコッチをチラチラ睨みながら、その子を慰めていたものだ。
当時は本当に、替え歌歌ったくらいでなんで泣くんじゃ、女はアホとちゃうか、と思っていたが、今はその女の子が泣いたわけがよくわかる。
その女の子の名前も、今、思い出そうとしてもどうしても思い出せないし、何年生くらいのときだったのかもよく思い出せない。