読書

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 引き続き平凡社の60年前の古書、世界教養全集を読んでいる。第22巻の2書目、「エヴェレストへの長い道 The True Book About Everest」(エリック・シプトン Eric Shipton 著)を読んだ。携帯電話が故障したので、秋葉原の修理店へ行き、修理の待ち時間、万世橋「マーチエキュート」の神田川に面したテラスで午後のひと時を過ごし、そこで読み終わった。

 本書は、幕末の江戸時代(嘉永5年(1852))に、当時名前もなく「ピーク15」と番号で呼び過ごされていたエベレストが、その実世界一の高峰であったことが英印測量局によって確認され、大正10年(1921)に最初の英遠征隊が送り込まれて以来(このかた)、昭和28年(1953)に遂に初登頂が成し遂げられるまでの、苦闘の登頂史を迫真の筆致で(しる)したものだ。

 著者のエリック・シプトンは、エベレスト登攀路開拓の第一人者であり、戦前からほぼ30年にわたってエベレスト登頂チャレンジを続け、昭和28年(1953)の、シェルパのテンジン・ノルゲイとニュージーランド人登山家エドモンド・ヒラリーによる世界初登頂の(いしずえ)を築いた人物である。ただ、惜しい(かな)、世界初登頂がなされる前年までは遠征隊長であったが、テンジンとヒラリーによる初登頂時は遠征隊から外されており、一般にそのことを「悲劇」であるとしている世評があるようだ。

 ところが、本書の筆致はそれとは違う。自身が隊長を務めたときの遠征を誇るでもなく、また、世界初登頂成功時の遠征を妬むわけでも貶すわけでもなく、実に正確かつ淡々とこれを記録し、岳人らしく成功を深く喜んでいる様子が行間から伝わる。どうも「悲劇の登山家」とするような世評とは違うように思う。

 むしろ迫真の筆致が胸に迫るのは、自身が頂上アタックメンバーとして昭和8年(1933)・昭和9年(1934)・昭和10年(1935)・昭和11年(1936)・昭和13年(1938)、戦争を挟んで昭和26年(1951)・昭和27年(1952)という驚くべき回数にわたってエベレストの山懐に入り、8000メートルを超える地点で頂上を指呼の間に望みながらついに登頂を果たせず、苦闘する様子である。

 また、自身は参加していないが、大正13年(1924)のジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィンの遭難について、同時代の登山家として克明に記しており、興味深い。また、この時のアーヴィンのものとみられるピッケルが、昭和8年(1933)に自身も参加した遠征隊により発見されたことが記されている。この逸話にも胸を打つものがある。なお、余談、知られるところであるが、マロリーの遺体はその後75年も経った平成11年(1999)にエベレストで発見されている。

 さておき、本書は翻訳もよく、簡潔な記録となっていて読みやすい。おそらくは、原文も岳人らしい簡潔な文章なのであろう。

 引き続き第22巻を読む。次は3書目、「山と渓谷」(田部重治著)である。著者は戦前に活躍した登山家で、この書は岩波文庫にも入っていて有名だ。

弥生(やよい)(じん)

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飛行機の雲引く先や弥生(やよい)(じん)
行く水に弥生尽てふ()(ぎり)かな
弥生尽旅を惜しみてゐたりけり

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

昭和の日

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天皇陛下万歳

 祝日「昭和の日」である。自宅の軒先に国旗を掲げて拝礼する。

 今日は昭和聖帝の御誕生日である。崩御あそばされて34年。その頃の私は23歳であった。いまや上皇陛下もかの御高齢だ。昭和は遠くなりにけり、というところか。

百千鳥

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降れよかし卒塔婆(そとば)の灰に百千鳥

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha #俳句ポスト365

 「俳句ポスト365」2022年2月20日週の兼題「百千鳥」で、中級者以上の部「並選」でした。

テーマ詠「休み」

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散り敷くや休み〳〵の躑躅(つつじ)
(つばくらめ)今こそ休めはぐれ雲
休日にアルゴリズムを風光る
(かざ)(ぐるま)回らぬ()なか代休日
日曜日介抱(かいほう)(やさ)し春の風邪(かぜ)

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

蜃気楼

投稿日:
をさな児はこだはりあらず蜃気楼
近山(ちかやま)の蜃気楼には似もつかず
蜃気楼待てば(ろう)(きゃく)力なく

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

今週のさえずり季題

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読書

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 引き続き平凡社の60年前の古書、世界教養全集を読んでいる。先日から第22巻に入った。第22巻は「山行」(槇有恒著)「エヴェレストへの長い道 The True Book About Everest」(エリック・シプトン Eric Shipton 著)「山と渓谷」(田部重治著)「アルプス登攀記 Scrambles Amongst the Alps」(エドワード・ウィンパー Edward Whymper 著)の4書である。

 まず1書目、「山行」(槇有恒著)だ。行きの通勤電車の中、乗り換えて北千住の駅を出たところで読み終わる。

 著者の槇有恒と言えば、「世界のユーコー・マキ」と言われ、ヒマラヤ・マナスルの日本隊による世界初登頂を指揮した登山家である。マナスルの時は登山隊長であって、当時既に62歳であったから自らはマナスル山巓に足跡を刻してはいないが、彼自身はヨーロッパ・アルプスでアイガーの東山稜初登攀や、カナディアン・ロッキーのアルバータ初登頂など、若年の頃は赫々たる世界的成果を残している。

 本書は槇有恒がヨーロッパ・アルプスの登山史や、その自然を愛でる随筆の他、自身のヨーロッパ・アルプス登山記、アルバータ初登頂の記録などからなる。記された山行は数多いが、無論圧巻は「アイガー東山稜の初登攀」と「マウント・アルバータの登攀」の二つである。

 さすがは明治の人で、文章は精緻で読みやすく、臨場感が溢れていてスリリングでもあった。

 引き続き第22巻を読む。次は2書目の「エヴェレストへの長い道 The True Book About Everest」(E.シプトン Eric Shipton 著)である。かのマロリーの話なども出てくるようで、楽しみである。

一字詠「和」

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雪虫や(にぎ)(みたま)(これ)(なご)むこと
()()(あえ)妻の歴史に我のある
(ばん)()(せつ)(もろ)きに(すぐ)る平和とは
()せよ我が懊悩(おうのう)までも猫の恋
(わずら)ひの和服()りけり雛祭

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

(あんず)の花

投稿日:
()つ杏の花をえ惜しまば
杏の花に幸せも中位
うつかりと鍋焦がして杏の花

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

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