貧困など増えていない

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 先日のことだ。見るともなし、つけっぱなしになっていたテレビから、NHKの人気番組の惹き文句が耳に入ってきた。

 「子供の6人に1人は貧困である」という。

 私の知人にはデータに取り組んでいる人も多く、統計に詳しい人もたくさんいる。この人たちは、おそらくであるが、この番組の惹き文句を聞いて、私と同じように「やれやれ…」と思っているに違いない。

 所得の分布が正規分布に従うとしよう。

 もう、こう書いた時点で、私の友人知己のみなさんは、「ああ、わかったわかった、言わずもがなのわかりきったことを言うなよ佐藤よ。ばかばかしいじゃないか」と言うだろう。だが、痛々しく、かつくだくだしく、書かずにはおれない。

 仮に、「国の貧困基準」なるものを、平均から1σ下げたところに決めるとしよう。残差自乗平均だの分散だのということは今さら解説すまい。計算するまでもなく、1σより下が貧乏人だというなら、ざっと17、8パーセントは常に貧困だ。そりゃ、6人に1人は、貧乏に決まっている。

 施策を打とうがなにしようが、貧困というのが他者との比較に基づく相対的なものである以上、そうなる。

 テレビって、なんでこういうものの言い方をするんだろう。

浮動首都

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 浮動首都、というようなことを妄想した。自分が書いた砲兵のことと、石原莞爾の「最終戦争論」を読んでのことだ。

 石原莞爾によれば、戦術は点から線、線から面、面から体へと発展し、航空技術の究極に達したところで最終戦争となるという。

 その論の多くは外れてしまい、最終戦争は起こらず、米国の言う核抑止ドクトリンを経てアメリカ一強によるイスラムいじめの様相を呈していることは、歴史の事実である。

 だが、石原莞爾の論説は、東京・大阪の大空襲、広島・長崎の惨劇を経る前に書かれたものだ。それをわきまえたうえで読めばなかなかに興味深い。

 石原莞爾は「近未来には、戦闘員・非戦闘員の区別はなくなる。3次元化した戦闘は都市の無差別爆撃の形をとり、女子供までもが殺される役割として、戦闘に参加することとなる」と喝破している。石原莞爾が言い当ててからたった数年後にそれは東京・大阪、また広島・長崎の形で精密に現実化した。

 アメリカの戦略ドクトリンは変遷したとはいえ、各国のミリタリーはまだ太平洋戦争の呪縛から脱しえない。米国軍隊は縦横に飛び回り、かつ世界のどこへも決定的リーサル・ウェポンを叩き込む自由を得たが、それを生身に浴びる弱い者たちは、2~3百年前からほとんど変わらず、町や村に固定されて生きている。

 リーサル・ウェポンから逃れるためには、首都が浮遊せねばならぬ。情報技術等によって、殺害の主対象である何億もの弱者が、さながら雲のように形を変えてあちこちを浮動し、物理的決定点を持たぬようになることだ。一発の致死兵器が決定点に炸裂しても、そこに人口が蝟集していなければ、その兵器は恫喝の意味を持たなくなる。

受け入れがたいことを受け入れ、そこに意味を見出す

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 ウソ論文を書いて証明してみろやと追い込まれる科学者もおれば、ウソ記事を書いて大学の先生になりおおせたような不審人物が守られる大学もある。

 似たようなことをしでかしていても、これだけ社会の扱いは違う。いや、もしかすると迷惑をかけた人数で言えば、ウソ論文のネェチャンより、ウソ記事の大先生のほうがよっぽど悪いかもしれない。

 しかし、そうした社会の反応の良し悪しは言うまい。

 人間の作る社会は、物理的な適否や論理的な正邪など超越した、感情的な好悪で動いている。そういうものなのである。

 われわれ無力な、世界になにもなすところのない人物は、到底受け入れがたいことでも、学長閣下その他、ボスのいうことであれば受け入れ、受け入れたことに意味を見いだしていくより他はない。

心霊ソースコード

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 デジタルと霊魂とのシームレスな融合、ということを考えてみた。

 かつて写真は、画期的な技術的ブレイクスルー、人類の文明を劇的に前進させるハイパーメディアであったはずである。

 しかし、当時の科学技術の粋を集めた写真技術にすら、いにしえの神秘主義は待て(しば)しというものがなく、「心霊写真」という一大ジャンルがいまだ絶えることなく人々を惑わせている。

 写真に霊魂が写るのならば、デジタルデータにも霊魂の作用があってしかるべきである。

 すなわち、「心霊mp3」「心霊csv」「心霊プレゼン」「心霊ソースコード」「心霊web」「心霊html」「心霊パケット」「心霊名前解決」などがそれである。

 写真に霊が写るというのならば、通るはずのないコンパイルに心霊の作用したソースコードが通るとか、解決されるはずのないfqdnがなぜかIPアドレスになる、などということもあってよい。

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