給料一件顛末(てんまつ)

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 今の会社に雇い入れて貰ったときに給料の相談をした。

 会長は私が提出した当時の源泉徴収票などを仔細に検分し、「あなたが今貰っている程度までなら払える」と言った。が、私はあべこべに、慌ててこれを辞退し、「その半分でお願いします」と値切ってのけたものだ。これを私は、前代未聞の珍事だと評価している。給料を貰う側が値切るなんて、実際珍事だろう。

 会長も耳を疑ったようで、「ハァ?!何を言ってる。……どういうことだ」と尋ね返してきた。

 これには理由がある。自衛官は “給料一件顛末(てんまつ)” の続きを読む

自衛隊の戦い

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 私は自衛隊にいた40年もの間、()(フタ)もない端的な言い方をすれば、人殺しの仕方を一貫して鍛え続けていたわけであるが、どの自衛官もそうであるように、それによって人を殺したことはない。

 だがしかし、そうやって対人戦を鍛え続ける一方で、自衛隊は常に人ではない他の何かと戦っていて、今もそれは続いている。

 思いつくまま挙げれば「ウイルスとの戦い」「牛との戦い」「鶏との戦い」「トドとの戦い」「鹿との戦い」 “自衛隊の戦い” の続きを読む