ラーメンの寿司化

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 かつて寿司は屋台などで気軽に提供され、安くておいしく、生の魚を使っているのに日持ちもし、手(づか)みで、しかも一口でさっと食べることができて汚れ物が少ないという日本のファーストフードのチャンピオンであった。

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漫録多少

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SOBA満月の人気と行きずりの知らない人と

 行きつけの蕎麦店、新越谷駅南側にある「SOBA満月」の表に並んで待っていると、人品卑しからぬ年配の男性が駅の方からやってきた。その人は表に何人か客が並んでいるのを見て、「あらー……随分並んでますねえ、このお店は “漫録多少” の続きを読む

一字詠「龍」または「竜」

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(いず)れ虫(へん)なるよ秋の虹
むさし野や龍神(りゅうじん)弥陀(みだ)蕎麦(そば)もあり
(つた)ふ鍾乳洞の秋深し
龍ほどに根性あらば(かり)(たか)
(めし)ものゝ洒落(しゃれ)ておはすや龍田姫(たつたひめ)

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

庭の沈丁花と梅林公園の梅見

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 春だ。

 自宅の庭の沈丁花が咲き始めた。

 今日はよく晴れている。青空が広がり、微風が心地よい。(そぞ)ろ浮足立つ気がして、そうだ梅見頃だな、と思い立つ。

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一杯

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 はや晩春となった。まさしく風光る候、窓から入る風も心地よい。

 朝から庭の手入れをし、余った土の始末などする。

 昼、晴れた空の下、行きつけの蕎麦店「SOBA満月」へ行く。蕎麦前は山形県・冨士酒造の銘酒「栄光冨士 煌凛(こうりん)」を大桃豆腐の湯葉刺しで。

 いつもの「生粉打ち」十割の「盛り」、今日は鹿児島の粉であるそうな。蕎麦は九州はあまりよくないと聞くが、いやいや、なかなかどうして、香り、舌触り、のど越し、申し分なし。

 帰宅し、玉葱と明太子の和え物で更に一杯。

アスファルト敷きや灯油や

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 休みなので、細々(こまごま)と用事をする。

 ネットで靴を買う。今履いている Hawkins の「Traveler」は4年弱ほど前に買ったものだ。天然皮革で、履きやすいので気に入っている。が、さすがに4年弱も毎日毎日通勤に使っていると、穴が開き、踵もすり減り、内張もボロボロだ。同じものを、と思ったが、さすがに廃番のようだ。それで、これから背広を着ることが増えそうなことも考え、Traveler のようなカジュアルはやめ、ビジネスでもなんとかゴマかして履けるような、同じHawkins のプレーン・トゥで、「エアライト Air Light ALIT5 PLAIN5 HB80150 SL/BLACK」という型番のものを買った。年内には届くだろう。

 それから、灯油を始末する。先日、自宅の暖房を都市ガスのファンヒーターに替えたので、使わない灯油が余ったのだ。自宅に置いていても無駄だし、何より危険である。

 4ℓほどの油缶を買ってきて、洗浄や油拭きなどに使う最低限の量だけ少しばかり取りわけ、残り10ℓほどを行きつけのガソリンスタンド「イハシエネルギー」で引き取ってもらうことにした。不要の燃油はガソリンスタンドで引き取ってくれるのだ。残念ながら買い取ってはくれないが……。

 初老の店員が相手をしてくれたのだが、「あ~あ~、勿体ない。だからね、こういうのはシーズンオフに使い切って残りを持ってくるといいんですよ。すごく無駄じゃないですか。2月頃まで置いとくのがいいんですよ。今度からそうするといいですよ」などと教えてくれるのだが、あのなァ、やかましいワイ。お前に教わらんでもそんなこたァ分かっとるわ。だいたい、何が「今度からそうするといいですよ」だ馬鹿。今度からウチは灯油は買わねェんだよ!

 ついでに車にガソリンを入れ、それからイハシエネルギーの隣のロイヤルホームセンターでアスファルト補修材を2袋買う。前から気になっていた家の前の舗装の沈下を補修するのだ。アスファルト舗装の(かさ)が減って沈んで(へこ)み、水を流したり雨が降ったりすると水溜りになって通行にも不便であった。家の前は袋小路でまるで私道の様相を呈してはいるが実は公道で、だから本来は役所に届け出るべきものなのだろうが、役所の工事なんか待っていてもどうせいつまでたっても着手なんかしないだろうし、勝手に補修したからって悪いことをするわけではないのだから、文句なんかどこからも出るまい。

 微妙にお隣の家の前にもかかるので、一応(ことわ)ってから作業を始めようとお隣の呼び鈴を鳴らしたが、どうもお留守のようである。なに、お隣だって自分ちの前が水溜りにならないにこしたことはないだろうから、多分文句なんか出ないだろう。勝手に補修しちまえ。

 小一時間かかってアスファルトを敷き終わり、力を込めて踏んづけ、()らす。

 それから、汚れっぱなしになったままの自動車を洗う。

 いつもだと、自宅前で車を洗うと、その水がお隣の家の前のアスファルトの凹みへ流れ込む。お隣の人に文句を言われたことはないが、なんだか迷惑がかかっている気がして、毎度毎度ばつが悪かった。しかし、今日はしっかり凹みが補修されたので、お隣に水は流れず、実にいい感じに仕上がった。

 それから着替え、行きつけの蕎麦店「SOBA満月」へ蕎麦を手繰(たぐ)りに行く。蕎麦前に野菜の天婦羅、それから福井の銘酒、純米吟醸「福千歳」が入っていたので、それを冷やで一合。天たねは蓮根、馬鈴薯、舞茸、茄子、春菊。いつもながら、ここの天婦羅は本当に上手で、旨い。

 微醺の心地よさ。それから「花まき蕎麦」を生粉打ち十割で頼む。花まきを頼んで一番楽しみなのは、蒸らしのためにしてある蓋を取った時の、ぱあッと広がる海苔の香ばしさである。(つゆ)と海苔、蕎麦を交々(こもごも)、少しずつ(すす)り、手繰る。香り、歯ごたえ、味、のど越し、どれをとっても申し分なし。

 帰りに新越谷VARIEの無印良品へ行って、アクリル製のティッシュボックスをもう一つか二つ買おうとしたが、なかった。「蓋」だけ棚にあり、本体の「箱」がない。店員さんに聞いてみると在庫がなく、入荷の予定もないという。「在庫のある店舗からお取り寄せできますが」と店員さんは言うが、いや、そこまでして欲しい品物でもない。別に本のカバーに使える手帳カバーと、バッグ・イン・バッグに使う黒いポーチを買った。プラスチックのバックルで巻き留めるようになっており、中の網袋はスナップで取り外せる仕組みになっていて、なかなか良い。手帳カバーは、ジーンズの尻に付けるエンブレム用の素材で作られたもので、以前は同じ素材の文庫カバーがあったのだが、今は廃番になってしまった。気に入っていたので残念である。だいたい、無印良品で私の気に入る商品がすぐに廃番になってしまうのは一体何故なんだ(苦笑)。

 それから蒲生のダイソーへ行き、マスクを作るための黒布だとか布ゴムバンド、家事に使う磁石、この前からだいぶ使い減らしてしまった黒いミシン糸の補充を買った。

 明日はガス工事で荒らされた家の東側の砂利の下の、防草シートの施工をやり直そう。

深大(じんだい)()

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 祝日「敬老の日」の一日、調布市にある古名刹「深大(じんだい)()」へ詣でて過ごした。

 私の(すま)()越谷市からは、日比谷線で秋葉原まで行き、「岩本町」(実質秋葉原と同じ駅と思ってもよい)で都営新宿線へ乗り換える。そこからは調布駅まで乗り継ぎなしの一本である。

 調布は円谷プロダクションと何かゆかりがあるらしい。調布駅に着いてみると構内の壁にはいろいろな怪獣特撮映画のデザインが施してあった。写真は「大魔神」のデザインである。



 深大寺のサイトなどを見るとバスやタクシーでのアクセス案内が出ているが、調布駅から深大寺まではせいぜい2km強の道のりしかなく、歩いても30分かそこいらであるから、のんびり風物でも見ながら歩くことにする。

 都内とはいえいわば地方都市に過ぎぬ調布市ではある。しかし土地柄は古く、深大寺の周りには多くの神社仏閣がある。拝めるものは全部拝んでしまえ、とばかり、いちいち入って参拝する。

 写真は上から新義真言宗三栄山大正寺布多(ふだ)天神(てんじん)()(はく)神社である。

 そんなわけで、30分のところを1時間くらいかけて歩く。

 調布駅を出て、北へ北へ適当に歩けば、目的地、すなわち天台宗別格本山・浮岳山深大寺に着く。写真は山門である。

 天台密教、すなわち「台密」の道場であるから、お布施をすると護摩(ごま)修法(しゅほう)加持(かじ)()(とう)をしてもらえる。土日祝日は11時から、とのことであったので、私もさっそく申し込む。身体健全を願文(がんもん)(したた)める。

 護摩修法の本尊は天台宗比叡山延暦寺中興の祖、元三(がんざん)(だい)()こと慈恵(じえ)大師(りょう)(げん)である。

 お三方の僧職が護摩を修法し、加持祈祷してくださる。

 私の宗旨は真言宗であるが、受け(がた)()つ聞き難くして(なお)今まさに聞く広大なる仏法、甚深微妙な加持祈祷に何の(さわ)りがあろう。そういうわけで、宗旨にはこだわらず加持祈祷して頂く。

 真言宗のお寺だと加持祈祷には「歸命毘盧遮那佛(みょう~びるしゃな~)」と理趣経を唱えて貰えるが、台密道場の深大寺では「観音経」、すなわち「世尊妙相具(せそんみょうそうぐ~) 我今重問彼(がこんじゅうもんぴ~)……」で始まる「妙法蓮華経観世音菩薩普門品(みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぼん)第二十五」の「()」と、よく知られる「般若心経」での加持祈祷であった。

 そのあと、導師がありがたい法話を聞かせてくれる。たまたま赤ちゃんを連れてきていたご家族があって、赤ちゃんが大きな声で泣いていたのだが、そのことをよい題材にして、赤ちゃんが大声で泣いたところでなんであろう、我々大人もかつては頑是ない赤ん坊であった、子供も大人も支え合っている、自他を認め合うということ、それは昨今話題になることの多い交通安全も同じこと。米一粒であっても農業従事者だけではない、それを運ぶ物流の働き手、その働き手が動かす自動車、自動車を動かす油、等々、何百何千という人々が支え合ってはじめて一粒の米が我々の口に入ることを思いみれば、社会をつくっていく上でも自他を認め合っていくことほどよいことが他にあろうか……。そういった「ダイバーシティ」にも通ずる内容であった。

 見受けるところ、密教修法のみならず(けん)(ぎょう)(せん)()にも大いに力を入れているようだ。顕密(けんみつ)(りょう)()ての寺と見た。

 お札を貰い、境内を見物して回る。

 深大寺は東国では最古と言われる国宝・釈迦如来像が有名だ。通称「白鳳佛(はくほうぶつ)」と呼ばれ、造像は遠く飛鳥時代に(さかのぼ)る。写真は拝観所「釈迦堂」への入り口なのであるが、お堂は鉄筋コンクリートで厳重に造営され、拝観料300円は特別に納めるようになっていた。無論、写真撮影などはもってのほかの厳禁である。

 そうはいうものの、しかし、さすがに貴重な仏像で、拝んでいるとなにやら清澄な気分となり、法悦が味わえたように思われる。

 境内には句碑・歌碑が数多くあり、これも面白い。写真はそのうち、高浜虚子の句碑で、「遠山に日の当たりたる枯野かな」である。

 伽藍(がらん)はアップダウンの大きい山中にあり、堂宇数多(あまた)、拝むところは沢山(たくさん)ある。うろつきまわって、大概の堂塔尊像を拝んで回る。

 やがて、昼時となる。深大寺と言えば有名なのが門前の「深大寺蕎麦」である。蕎麦好きの私としては、実際コッチのほうが目的なのでは、などと皮肉られても文句は言えないところだ(苦笑)。

 深大寺はもともと豊富な湧水を持ち、それで水車を運用して蕎麦を挽き、これが()(だい)となったもののようである。寺の縁起も水神「深沙大王」の顕現にあるというから、さもあろうか。

 写真は実用のものではないが、往時この地点にあった、4メートルにも及ぶ大きな蕎麦挽き水車の記念復元だそうである。さすがに今は4メートルもの大きさはないが……。

 蕎麦店は寺域内だけでも20店を超える。どのお店に入ろうか迷うが、私は山門の西の方にある「大師茶屋」というところへ行ってみた。

 10分ほど待ったが、すぐに先客が()け、窓際の、庭の眺めがいい奥の席に案内された。

 窓は開け放ってある。庭はいい感じに日陰の濡れた木立で、(せみ)時雨(しぐれ)が心地よい。

 とりあえず天婦羅と、酒を一本。

 酒が冷えていて、旨い。天婦羅は獅子唐辛子(シシトウ)、南瓜、椎茸、海老、茄子。

 盃に一杯酒が残っている頃合いで、「もり」を頼む。

 さすが有名どころの有名蕎麦である。手慣れた味で完成されており、実にうまい。

 そろそろと帰りかけようとしていると、Twitterで相互フォローのコリコムタンさんが、「調布に来たら『鬼太郎広場』というのが面白いですよ」と教えてくれたので、そこへ行ってみた。

 ドッチが妖怪なのだか、よくわからない写真など撮って楽しむ私なのであった。

 ほどほどに歩き、帰宅した。連休中の楽しい一日であった。

今週のSOBA満月

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 依然(いぜん)、新型コロナウイルス「COVID-19」は猖獗(しょうけつ)を極めており、世相は増々(ますます)紛糾・沈滞・遅疑(ちぎ)・不信・我執(がしゅう)(おもむき)を加えつつある。企業は休業、役人・司直は徹夜、株価は急落、日本はそれでもまだましな方で、欧州でのこの微生物()は、もはや歴史的水準(レヴェル)を超えようとしている。

 そんな折にあっても、春は深まり、梅も桃も桜も咲く。

 微生物禍などどこのことだとでも言いたげな快晴、暖かな風の吹く青い空の下、読みかけの本を持ってお気に入りの蕎麦店「SOBA満月」へ行く。

 街の八百屋さんやスーパーの店先には春野菜が出ているから、今日のSOBA満月では、天婦羅を頼めば何かおいしい春野菜が揚がっているかな、と思ってメニューを見ると、季節メニューで「蛍烏賊(ほたるいか)の酢味噌()え」が出ている。これは是非注文しなければ。天婦羅は来週のお楽しみにしよう。

 新潟の銘酒「鶴齢(かくれい)」の純米吟醸がメニューにある。無論酒はこれにする。二合。

 旨い。蛍烏賊の香り、歯ごたえ、軽い味。「鶴齢」を含みつつ、交々(こもごも)箸をのばす。鶴齢の甘からず辛からず淡麗な飲み口に、この肴はぴったりである。

 酢味噌の味噌は濃い味付けに調えられている。

 なにより、付け合わせの「菜の花」の程よい茹で加減、歯ごたえ、香り、申し分なしである。

 飲みかつ喰い、持ってきた本を10ページばかり読む。

 仕上げに生粉(きこ)()ち・十割の「もり」。

 香り、歯ごたえ、味、のど越し、何をとってもこのお店の生粉打ちは旨い。

 帰り、自宅を通り過ぎて、小一時間ばかり歩く。自宅の東の方にある「谷古田(やこた)用水河畔(かはん)緑道(りょくどう)」の桜を見ようと思ったからだ。

 桜は六分咲き、今が一番見頃であろうか。

 青天白日、桜を見上げながらゆっくりと歩き、SOBA満月で飲んだ鶴齢の微醺(びくん)を楽しむ。

 世間の騒ぎをよそに、私の家の周囲は、かくも静謐・平和である。

SOBA満月

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 山梨の銘酒「七賢」の「おりがらみ」という季節限定を出しておられたので、蕎麦前はそれを冷やで一合。今日は日本酒を注文すると、島根の銘酒「玉櫻」の濁り酒を一杯味見サービスしてくれました。

 肴は御新香。彩り、歯応え、味、酒によく合います。

 蕎麦は「花まき」を生粉打ちで。春寒のこの頃、熱い汁掛け蕎麦はこたえられません。

SOBA満月そば(蕎麦) / 新越谷駅南越谷駅蒲生駅

昼総合点★★★★★ 5.0

SOBA満月

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 このところ天候が不安定である。今日は晴乃至(ないし)曇だったが、明日の関東は所により雪が降るという。

 まだまだ寒い。しかし、通勤時、皇居外濠の桜の芽が色づき、ぷっくりと膨らんで芽吹きそうになっているのを見ると、間もなく春かな、と思う。靖国神社の梅など、気の早いものはちらほらと咲いている。

 今日も自宅近くの蕎麦店、「SOBA満月」へ、読みかけの本を一冊持って一杯やりに行く。ここ最近、大の気に入りの蕎麦店である。

 この店は本当に美味しい。酒はいいものを選んであり、肴もシンプルで飽きのこないものがいろいろある。

 今日の蕎麦前は新潟の銘酒「吉乃川」をぬる燗で二合、肴に「穴子の天婦羅」を頼んだ。この店の天婦羅は先代が揚げていて、年季が入っている。

 対馬~長崎の穴子で、身がしっかりしているのに固くなく、旨い。

 天(つゆ)に漬けてしまう前に、塩を少しつけて食べる。穴子の身の滑らかさと脂、香り、揚がり方も申し分なし。生姜おろしと天汁を交々(こもごも)つけて、やおら吉乃川のぬる燗を(あお)れば、至福と言うほかはない。付け合わせのししとうも(いろど)り鮮やかで、良いアクセントである。

 蕎麦は今日も「生粉打ち」十割の「もり」にする。繊細に打ってあり、香り、歯応え、味、喉ごし、どれをとっても申し分なく、優しい味の蕎麦(つゆ)によく合う。

 この店独特の濃い蕎麦湯をゆっくりと飲むと、本当に満足する。