スウェーデン、NATO加盟
ついにあの、中立の王国スウェーデンが、「もう中立やめますッ!」と、ブチギレてしまった。
- スウェーデンのNATO加盟 全加盟国が承認へ 32か国へと拡大(NHK、令和6年(2024)02月26日(月)19時14分)
無論、ウクライナ紛争の影響によるものだ。
アメリカの軍事支配。これに世界中の多くの人々がよりかかって日々の平和な生活を享受しており、特に今の日本にはなくてはならないものなのだが、どっこい、私としては内心、全然面白くない。
そんなことから、「ソ連のバカー!」……などと私もブチギレるわけだが、若い頃、長い間ソ連と向き合ってきた私は、つい当時の調子で「ソ連」と書いてしまい、それだとウクライナも入ってしまうので、大失敗である。せめて「露助」か、少し真面目に「ロシア」と書くべきか。
スウェーデン国王の思い出
さておき、スウェーデンのことだ。
昔のこと、32〜33年くらい前だったか、私が旭川の特科連隊にいた頃のことだ。突然、スウェーデン国王カール16世グスタフ陛下が、日本国政府を通さず、直接旭川市を来訪されたことがあった。旭川市で開かれる「バーサースキー大会(当時の名称)」の応援に来られたのだ。
バーサースキー大会は、400年前の伝説の英雄、スウェーデン国王グスタフ1世バーサーが国難に
異例の
大会が終わり、国王臨席のもとレセプションが開かれた。表向き外務省を通していないから、旭川市の当局も大変だったろう。しかし、いつにかかって、国王が
以下は多くの人が知るところ。
国王陛下が「それにしても、この規模の大会の開催には人手も多く必要で、苦労も多いことでしょう」と一同をねぎらうと、市長がまた、バカにした調子で「ああ、こんなのは全部自衛隊がやりますんで」などとほき捨てたものらしい。
「はて、……では、その、陸軍……?の方々は今どこに……?」
「ああ、どこかそのへんにいますよ」と市長の取り巻きが
師団長は1万人の自衛官を率いる極官の将軍で、階級章は陸将、昔でいえば大将だ。官職は指定職、昔で言う
ところが。
国王陛下はすっと立つと、末席に私服でかしこまらされていた師団長のところへ行き、その手を取って自席のそばへ招き寄せ、自衛隊の働きをねぎらい、自らの先祖の名を冠したこのスキー大会がスウェーデンの国難を記念したものであり、国家防衛と密接不可分のものであることなどを持ち出し、「この大会がかくも盛会
私はその場にいたわけではなく、以上は当時の伝聞に過ぎないが、多くの人が上のことを知る。
尚、これらの思い出の多くは伝聞が中心である上に、想像による付け足しを遠慮なくしているから、事実と異なる点があろうことは
スウェーデン国王カール16世グスタフ王陛下は在位が長く、今も健勝でいらっしゃる。わが皇室、とりわけ今上陛下との交わりも深く、昭和天皇、上皇陛下、今上陛下と、三代にわたる親しいお付き合いであるという。
スウェーデンの武器
スウェーデン国王陛下からの連想で、もうひとつ、思い出したことがある。
陸上自衛隊で採用している強力な対戦車火器「84mm無反動砲」はスウェーデン製で、威力・精度とも申し分ない北欧流の芸術的逸品だ。しかも、対戦車
ところで、この火器の世界的に通用している製品名は、84mm無反動砲などという無機質なものではなく、スウェーデン王国軍人最高位たるの地位を堂々と有する国王陛下への
自衛隊でも「ハチヨン」と呼ばないときはまれに「カール」と呼ぶこともあった。演習などで、こちらの突撃成功後、逆襲で機動打撃を喰らい敵戦車が出現したというとき、普通は小銃班長が大声に「ハチヨン前へッ!!」と呼ばわったものだが、ここでシャレて「カール!前へ!」と指示する人もたまにいた。
そんなカール・グスタフ84mm無反動砲だが、ただ、この火器が「だーいすき」……などというような自衛官は、実はあまりいない。この火器を最もよく使用する普通科の隊員は特にそうだ。
それは、この優れた兵器の唯一の欠点が「クッソ重い……」ことだからだ。日本が購入した型はなにしろ重さ14kg以上もあり、これを前に支えての
私は特科(砲兵)職種だったからこの火器にはそれほど
カールグスタフ無反動砲に比べると、その前の世代の対戦車火器、米軍からの供与をルーツとする「89mmロケット発射筒」は軽く、たった7キロ弱しかなかった。機関銃よりも軽かったのである。
この火器はカールグスタフ無反動砲より口径が大きく、大威力を誇り、米軍ではその名も
私は10代から20代前半まではこの、軽量の89mmロケット発射筒で訓練を受けていたので、幹部候補生になる直前に導入された84mm無反動砲で幹部候補生学校の訓練を受けたときには、その重さに本当に
スウェーデンの国名をネット上に見ると、国王陛下の名と昔の思い出を、そんなふうに際限もなく思い出す。
無反動砲の怖さ
「ハチヨン」こと、カール・グスタフ84mm無反動砲について、「唯一の欠点はその重さだ」などと書いたが、他に、この種の対戦車火器に共通の欠点も勿論あることを忘れていた。「後方爆風」(バックブラスト)と呼ばれるものがそれだ。
戦車のような強敵を撃破するには、高速の弾丸をぶつけて撃ち抜くか、火薬の高熱噴流や爆発の衝撃を応用した特殊な弾頭で破砕するか、大容量の地雷で爆砕する、あるいは火炎瓶などの手段で外部の装備やエンジンルームを焼き払うか、丸太などを
砲の後方に致死的なガスが噴出することは、対戦車ミサイルでもロケット発射筒でも全部同じなのだが、無反動砲のそれは特に強い。「無反動」というが、これは「リコイルレス」という言葉の直訳であって、全然無反動ではなく、実際に射つとガツンと肩に来るし、発射音もすさまじい。とりわけ後方爆風の強さは並大抵ではない。
どれくらい強いかと言うと、後ろにいる人が、死ぬ。
「そんな大げさな」と思うかもしれないが、本当に死ぬ。
その昔、わが盟邦大韓民国陸軍がカール・グスタフ84mm無反動砲の導入を検討するため、供試購入したものによる試射を行った。北欧の名兵器を仔細に検分するため、熱心な大将がそばでよく見ようとすぐ後ろに立っていたそうである。
当然、部下の将兵たちは、「閣下、危険ですから、どうか横の離れたお席でご監督下さい」と
「甘く見おって、キサマら弱兵どもにアレコレと指図をされるようなワシではないわっ! 朝鮮戦争以来、ワシの体には今も7カ国の弾丸が入ったままになっておるのだッ、ワシは不死身じゃ! この胸に輝く保国勲章統一章は
……などと言ったかどうかは私の脚色だから本当のところは定かではないが、旧日本陸軍の直系の子孫と言われるほど厳しいことで知られる大韓民国陸軍であるから、上官の言うことは絶対で、まして将官ともなればその
やむなく、そのままの態勢で、試射の指揮官が「
対戦車榴弾は狙い
まあ、これはだいたい本当の話だ。
別談。私は幹部候補生学校の演習で敵戦車の逆襲に
班長が「そこの後ろの奴ら、さっさとどけーッ」と怒鳴る、私が命令を復唱して「リード2ッ!!」と付け加え、カチリと引金を引く、1尉の教官が横からのぞき込んで照準が正しいことを確かめ、「命中、敵戦車炎上停止ッ」と状況を付与する。私も班長も、やった、と
教官は、ニヤリと笑って
班長がどけと命じたのに、弾込めも射撃のタイミングもあんまりにも速かったものだから、全員逃げ遅れ、そこに伏せただけだったのだ。
私達の班はほとんどが「無反動砲の後方爆風による戦死」と判定され、罰として腕立て伏せ100回と、銃を肩に乗せてのかがみ跳躍を50回ほどもやらされた挙句、さんざんに怒鳴られたのだったか。
その後、
無反動砲のバックブラストは、それぐらい、キツい。
スウェーデンのYouTuber
前に、スウェーデンのYouTuber、トービョルン・オーマン氏のチャンネルについて書いたことがある。
スウェーデンは新コロの惨禍がことのほか
人々の幸福を祈っている。