そんな折にあっても、春は深まり、梅も桃も桜も咲く。
微生物禍などどこのことだとでも言いたげな快晴、暖かな風の吹く青い空の下、読みかけの本を持ってお気に入りの蕎麦店「SOBA満月」へ行く。
街の八百屋さんやスーパーの店先には春野菜が出ているから、今日のSOBA満月では、天婦羅を頼めば何かおいしい春野菜が揚がっているかな、と思ってメニューを見ると、季節メニューで「
新潟の銘酒「
旨い。蛍烏賊の香り、歯ごたえ、軽い味。「鶴齢」を含みつつ、
酢味噌の味噌は濃い味付けに調えられている。
なにより、付け合わせの「菜の花」の程よい茹で加減、歯ごたえ、香り、申し分なしである。
飲みかつ喰い、持ってきた本を10ページばかり読む。
香り、歯ごたえ、味、のど越し、何をとってもこのお店の生粉打ちは旨い。
帰り、自宅を通り過ぎて、小一時間ばかり歩く。自宅の東の方にある「
桜は六分咲き、今が一番見頃であろうか。
青天白日、桜を見上げながらゆっくりと歩き、SOBA満月で飲んだ鶴齢の
世間の騒ぎをよそに、私の家の周囲は、かくも静謐・平和である。