黒部峡谷に行ってきた。

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 家族で「黒部峡谷」を旅した。

 黒部峡谷は飛騨山脈、通称「北アルプス」よりも更に北、「立山連峰」と「後立山連峰」を真っ二つに割って流れる峻険な峡谷であり、ほぼ富山と長野の県境付近にあると思えばいいだろう。

 この峡谷を旅行するにあたっての醍醐味は、なんといっても、「黒部ダム」を中心とする発電所建設の苦闘の歴史を辿ることにある。

 峡谷周辺の観光には、黒部ダムはもちろん、立山や黒部峡谷下流の探勝などがある。立山の高山地帯はロープウェイなどで気軽に楽しめる。峡谷の下流の探勝は「黒部峡谷鉄道」が有名だ。これは通称「トロッコ電車」と呼ばれているもので、もともとは水力発電所の工事のために敷設されていた専用の小鉄道だ。これが観光用に開放され、誰でもが楽しめるようになっている。小さなトロッコ客車がゴトゴトと峻険な谷を縫って走り、なんとも言えぬ興趣がある。

 黒部ダムには、自家用車で行くことはできない。近くまで自家用車で行き、トロリーバスやロープウェイ、ケーブルカーなどの観光用の乗り物を乗り継いでいくことになる。

 富山側からの場合は「立山アルペンルート」という経路を用いる。毎年春ごろ、雪の壁のそそり立つ廊下のような所を観光客が歩いているシーンがニュースなどで放映されるが、あれがそうだ。このルートの場合、自家用車の乗り入れは「立山駅」というところまでである。

 長野側からの場合は「扇沢」というところまで自家用車で行ける。ここからトロリーバスに乗ることになる。

 往復、途中までの往復、あるいは「通り抜け」など、さまざまな計画が考えられる。「通り抜け」をする場合、マイカーの始末に困るが、3万円ほどで「回送サービス」を行っている業者があり、富山・長野の間のかなりの長距離、車を運んでおいてくれるので、旅行する人は検討してみてもいいだろう。

【メモ】 ダム探勝にあたり、4人家族大人2人子供2人で長野側(扇沢)から富山側(立山)まで行くには現地のロープウェイやケーブルカーを乗り継がねばならず、

     大人 (1500+840+1260+2100+1660+700) × 2人 = 16120円

     子供 (1500+840+1260+2100+1660+700) ÷ 2 × 2人 = 8060円

     合計24180円

     …という結構な額がかかる。まともに往復すれば48360円というびっくりするような値段となる。我が家の場合、長女は中学生だから、これがもうちょっと高くつき、56420円という値段になる。

     一方、「ファミリー割引」というのがあり、これを使えば扇沢から富山側の「室堂」までの往復で、大2小2の合計4人で2万100円と、相当安くなる。途中下車が出来なくなるが、途中で引き返す人などほとんどいないだろう。往復コースを取るなら、ぜひこれを使うべきだ。

     もし扇沢から立山までのマイカーの回送を業者に頼んで「通り抜けコース」をとると、26000円ほどかかるので、乗り物代と合わせて、一日で5万オーバーほど必要となる。旅行する人はあらかじめこれを理解しておかなければ、びっくりしてしまうことになる。

 私は扇沢から黒部ダムに行き、反対の立山の中腹の「大観峰」というところまで行って引き返すことにした。

 自宅からのドライブは、東京外環・関越・上信越・長野各道を経由して黒部ダムを見、次に日本海側に出て北陸道を走り、富山から「黒部峡谷鉄道」の観光基地「宇奈月温泉」に至る。帰路は北陸・上信越・関越・東京外環の順に走る。往復800キロほどのドライブである。埼玉・東京・群馬・長野・富山・新潟の6都県をまたぐ、なかなか楽しい高速ドライブだ。

 黒部峡谷を訪ねるには、少々「予習」をしておいたほうが楽しめる。「予習」には、次のような各種の映像・書籍が使える。

  •  「プロジェクトX」

 これのDVDは既に絶版となっており、レンタルビデオ屋には置いていない。黒部ダムに関係するところは、前・後編の2編である。後編はダウンロード販売があり、3日間視聴可能で210円だが、前後編併せて見るにはDVDを購入するよりほかなく、これは約3800円と、少々値段が高い。だが、ぜひとも見ておきたい。

プロジェクトX 挑戦者たち Vol.7厳冬 黒四ダムに挑む ― 断崖絶壁の輸送作戦 [DVD] プロジェクトX 挑戦者たち Vol.7厳冬 黒四ダムに挑む ― 断崖絶壁の輸送作戦 [DVD]
価格:¥ 3,800(税込)
発売日:2001-11-22

 絶版とは言うものの、Amazonなどにはまだある。見ておけば感動が倍加すること間違いなしである。私は残念ながら、ダウンロード販売の後編のみを見ていった。

  •  「高熱隧道」(小説、吉村昭)

 私はこの小説家の「破獄」や「冬の鷹」などが好きだ。

高熱隧道 (新潮文庫) 高熱隧道 (新潮文庫)
価格:¥ 460(税込)
発売日:1975-10

 この「高熱隧道」は、有名な黒部ダムに先立つ戦前の話で、300人もの死者を出しながら貫徹した黒部第3発電所の工事の物語である。

  •  「黒部の太陽」(小説・映画)
黒部の太陽 黒部の太陽
価格:¥ 840(税込)
発売日:1998-06

 映画は昔の石原裕次郎主演のものと、最近香取信吾が主演したものの二つがある。私はこっちのほうは、残念ながら、小説も映画も見ていない。有名な黒部ダムの話である。

 因みにこれらのメディアは、すべて黒部ダムの売店で買うことができる。だが、やっぱり行く前に見ていったほうが楽しい。

 さて初日。朝は2時半に起き、家族を叩き起こして3時に出発だ。もちろん、前夜20時には就寝している。家族は車の中で眠ってしまうから、車に放り込んでしまいさえすれば、あとは私がひたすらドライブすればよい。休暇シーズンはこういう行動をするに限る。昼間は道路が滅茶苦茶に混むからだ。

Img_1864 早発ちの効果で、約300キロのドライブは順調・快適に進む。8時前には難なく扇沢に着き、トロリーバスに乗ることができた。乗っている間に、どんどん気温が下がっていく。 下界は気温37度だというのに、終点黒部湖駅についてみたら、気温はなんと15度の冷涼である。

Img_1793_2 地下の階段を通ってダムの展望台に出る。息を呑むような大きなダムだ。 観光のために放水しており、朝日を浴びて何重にも虹を生じている。

 堰堤の中ほどに出て覗き込むと、目がくらむような高さ、深い谷である。160名に及ぶ死者を出したというのもさもあろうと思う。この谷の峻険さのゆえであろう。

 遊覧船に乗って黒部湖内を一周する。両側に山肌が迫り、面白い。

 ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで、立山の取り付きの「大観峰」というところまで行った。だが、朝のうちは非常に良い天気だったのだが、にわかに曇り、雨が混じるようになって、残念ながら立山からの絶景はものにできなかった。それでも、眼下はるかに黒部ダムを望むことができ、満足である。

 こうして過ごすうち、またたくまに昼を過ぎる。

 早い目に名物「トロッコ電車」の観光基地「宇奈月温泉」に向かう。扇沢から宇奈月までは百数十キロ以上離れているから、結構時間がかかる。実はトロッコ電車の終点地の「欅平」と「黒部ダム」は、直線距離だと十数キロしか離れていないのだが、あまりの峻険な地形と大山岳に阻まれて、このように大迂回をしなければならないのである。

 宿は宇奈月温泉の「宇奈月ニューオータニ」というところにとった。

 実にいい宿で、出迎えなど実に丁重である。部屋も料理もよい。バイキングの夕食はビフテキや刺身がたっぷり出る。風呂も黒部川に面していて、景色がいい。

 二日目は「トロッコ電車」を使い、黒部峡谷の観光を楽しむ。

 宿で「トロッコ電車に乗る」とフロントに言うと、ちゃんと車を一日、あずかっておいてくれ、駅までマイクロで送ってくれた。駅前の駐車場に車を停めると900円取られるから、得をした。

 トロッコ電車は多くの橋やトンネルをくぐって、Img_1873 がたごととゆっくり黒部峡谷を進む。涼味満点で、実に楽しい。

【メモ】 トロッコ電車はインターネットで予約ができる。私は9時の予約をした。座席は予約ではないが、車両は予約であり、100%座れるから心配はない。とはいうものの、窓際のいい席は早い者勝ちだから、早めに並ぶといいだろう。

【メモ】 黒部峡谷のトロッコ電車は、途中の駅で上下車すると、かえって空いている車両に乗れるようだ。「1号車」という一番後ろの車両は途中で上下車する人のために席が取り置かれているらしく、途中で下車する個人客はこの車両に案内される。ところが、観光客の多くは始点から終点まで乗ってしまうので、この車両に乗る人はそんなにおらず、どうもそのために空くらしい。ただ、途中上下車の場合、切符の予約ができない。途中駅で購入しなければならないのだ。そのため、モタモタしていると満席になって帰れなくなるおそれもあるので、そこらへんを考える必要がある。

【メモ】 黒部峡谷のトロッコ電車は、往路は右側の端の席に座ったほうが断然景色がよい。できれば車両の一番前の、なおかつ右がよい。写真を撮るのに便利だ。だが、「鐘釣駅」から終点「欅平駅」までは、左側がよい。

 午前中いっぱい、終点「欅平」付近を散策する。小さな温泉が点在し、宿泊などもできる。景勝「猿飛峡」などが見られる。

 昼から「鐘釣」という駅に引き返す。ここは、駅から河原に降りていくことができる。黒部川の流れに手足を浸すこともできるし、河原を掘ると、温泉が湧くという面白いところである。子供たちと汗を流しながら手で河原を掘り、温泉を溜めて座席用の石を並べ、「我が家専用足湯」を作って足を浸して遊んだ。

【メモ】 峡谷ではぜひとも清冽な黒部川の奔流に手を浸したくなるが、安全のためもあってか、河原に降りられるようなところはほとんどない。だが、「鐘釣」では、河原に降りて水に触れることができる。また、鐘釣駅に水道があるが、これは黒部の新鮮な水である。私もそこにぶら下げてある金属のコップで一口飲んだが、なかなか旨かった。水筒に水を満たしている人も沢山いた。

 こうして峡谷内で遊んでいると、あっという間に午後も遅くなる。宇奈月温泉に引き返し、土産物屋なぞ冷やかして、自宅に車を向ける。

 帰りは約400キロのドライブ。18時に宇奈月温泉を出発。高速道路はガラ空きで、23時頃には自宅へ帰り着くことができた。

 実にいい旅だった。

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