「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、本当だ。まるでスイッチで切り替えたかのように涼しくなった。虫の声も大きい。
ただ、今年の秋雨の強さには閉口する。
そんな土曜の朝だ。曇り空が重い。だが、垂れ込めていても仕方がない。どうにかして元気を出そうとする。
さえずり季題当番
先週土曜日にTwitterの「さえずり派」俳句つながりの@donsigeさんから今週のお題当番が回ってきていたので、朝はそれを出題した。
選んだのは「真夜中の月」で、なんとこれでも立派な見出し季語である。小さい歳時記には載っていないが、5巻本の「角川大歳時記 秋」には載っている。
先週のうちにブログの予約投稿でお題を作っておき、自吟も詠んでおいた。プラグイン「Jetpack」のパブリサイズ共有でツイートされる仕掛けだ。ところが、なぜか自吟だけ日にちのセットを間違えてしまったらしく、昨日ポストされてしまった。
なんともしまらぬことだったが、まあ、しょうがない。
国会図書館
それから外へ出た。
「太平記」を読もうと思い、最近刊行だからひょっとしてあるかな、と、近所にある越谷市立図書館の南部分室へ行ってみたのだが、検索用のキオスク端末で調べると、所蔵は市立本館で、南部分室には不在架だった。
バスに乗って市立本館に行くと、バス代が400円や500円はかかってしまう。それならいっそ、と、結局永田町の国会図書館まで出てきた。市ヶ谷までは通勤定期で出られるので、永田町まで行っても残り2駅ほどしか払わなくてよく、往復でも300円ちょいで済んでしまうからだ。
時間が11時前で少し遅くなっていたので、岩波の「太平記」第1巻の解説と、原書の最初の一巻をだいたい読んだくらい。
その際に知ったことがある。Amazon・Kindle本で昔の写本の太平記が読めるが、これは1巻108円する。全40巻だと4,320円で、Kindle本としては馬鹿にならない。
ところが、このKindle本の案内文を読むと、
「本電子書籍は、国立国会図書館が所蔵し、インターネット上に公開している資料で、著作権保護期間が満了したタイトルの画像データを、Kindle本として最適化し制作したものです。」
とあって、国会図書館所蔵の古文書であることがわかるのだ。
しかも、国会図書館で閲覧できるだけでなく、ネットで無料で読めることも判明したのであった。
そのURLはこれだ。
- 太平記 40巻(慶安3年(1650年)、出版・荒木利兵衛)(国立国会図書館デジタルコレクション)
しかし、まあ、タダって言えばタダなんだけど、この「変体仮名」のオンパレードが読みこなせる人なんて、国立大学の国文科で研究してた人とか、書道家くらいなもんだろう。
とはいうものの、岩波文庫をテキストがわりにして、ゆっくり
それから韓非子の調べ残しを少し読む。「
麻布永坂 更科本店
午後遅く国会図書館から出てみたら、外は土砂降りの雨で、参ってしまう。朝家を出る時になんとか曇りのまま
仕方がない。ともかく、濡れながら歩いて駅に行く。
今日はひとつ、「砂場」の名店、「巴町 砂場」へ行って見ようかと思ったのだが、ウェブで確かめてみると、土・日・祝は休みらしい。残念。
それなら、永田町から麻布十番までは3駅ほどだから、そっちのほうへ行って見ようと思い直した。
麻布十番には他に有名な2店、「麻布永坂 更科本店」と「永坂更科 布屋太兵衛 麻布総本店」がある。今日は一つ、「麻布永坂 更科本店」のほうへ行ってみよう。
「麻布永坂 更科本店」は地下鉄「麻布十番」駅の「5a」出口から出ると、道路を挟んで正面すぐ、首都高に近い角の所にある。立派な店構えだから、すぐにそれとわかるだろう。
高級なそうな店構えだが、蕎麦の値段なんて多寡が知れているから、
同源の他の2店と同様、寛延年間(1748~51)頃創業の老舗だが、建物は昔のものではない。だがその分、清潔で新しい。客室のデザインはかっこよく、手馴れた和装の女の人たちがこまめに世話をしてくれる。
1階はテーブル席が十幾つか。奥と2階に宴席があるようで、今日は何か、どこかの会社の接待の席らしく、賑やかな
早速一杯頼む。京都の清新、「澤屋まつもと」。甘からず辛からず、真っ直ぐの純米酒である。
通しものには一昨日行った「更科堀井」と同じ、名代の更科蕎麦を軽く揚げて塩味を付けたものが出た。
他店より大きな
ただ、海苔の味は、
そうは言うものの、炭櫃の蓋を閉めておけば、焼海苔は雨にもかかわらずよく乾き、歯応えも香りもどんどん良くなっていく。旨い
一杯ほど酒の残った頃おいに、「もり」を一枚頼む。
「更科堀井」ほど白くはないが、間違いなく「更科」独特の、肌の白い、しなやかな蕎麦である。蕎麦
蕎麦をすっかり手繰り終わって、あとは蕎麦湯をゆっくり飲む。よく蕎麦粉の溶けた、
わかりやすい場所にあり、店は清潔である。肴や酒の種類も多く、堪能できる店だ。
また、最近の東京の有名店の例に漏れず、白人が「ソバ・ランチ」を試みていたりするのも、まあ、珍しく面白いと思えば、逆に楽しい。
焼き海苔 | 400円 |
澤屋まつもと純米(京都)1合 | 720円 |
もり | 880円 |
合計 | 2,000円 |
他に、通しもの、揚げ蕎麦 |
合計2000円、多少高いが、払って惜しい値段ではなく、道楽にちょうど良かった。
天気の