日本ITストラテジスト協会オープンフォーラム2017

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 今日は日本ITストラテジスト協会関東支部の「オープンフォーラム2017」に参加した。毎年開かれており、ITストラテジストが秋葉原に集合する。

 私も毎年参加させていただいている。数年前まで定例会にもよく参加していたので、オープンフォーラムでもスタッフとして末席を汚していた。最近他の事に取り紛れて定例会に行っていないので、去年に続き今年も無役で参加する。

 今年のテーマは「AIとビッグデータをIT戦略に生かすための方策」である。

 ビッグデータの活用については近年、あらゆるところで相当に取沙汰されており、一時の幻滅期を経て、これを活用できるところはすっかり波に乗って活用しており、もはや当たり前となって騒ぐほどの事ではなくなったように見受けられる。だが、波に乗り切れなかったところでは、何事も起こっていないかのように感じられる。

 一方のAIについては、昔から言われてきたことではあるものの、近年に至ってようやく大きな注目を集めはじめた。将棋やチェスなどの象徴的なものは勿論だが、これらは何らかの生産をもたらすものではなく、表徴的なものに過ぎなかった。ところが、生産や経営と言った実質上のことがらに応用ができるようになってきた。

 そこでJISTAでもこれらを社会に生かすため、ITストラテジストとして何ができるかと言う観点からこうしたテーマを挙げているのである。

 実行委員長の挨拶に引き続き、プログラムは早速基調講演1に移る。今回は楽天株式会社執行役員兼楽天技術研究所代表の森正弥氏から、「ECにおける『個別化』後の人工知能活用と協創の世界」と題しての講演であった。

 楽天での様々な実例を踏まえた豊富な知見からなされる、非常に耳新しい講演であった。

 森氏の「シニアはITにせよAIにせよ、それが『ツールである』という言い方、発想をよくする。これではうまくいかない。若い人はITやAIを中心に据えて考え、それで何ができるか、というふうに考え、それをもとに全体を作り直そうとする。そうするとうまくいく」という冒頭の指摘には、考えさせられるところ極めて大であった。また、従来のビッグデータの常識では、データ分析をする際、データの前処理に8割の労力が割かれたものだが、AIによるビッグデータ分析では、前処理したデータを使用すると分析の精度が劣るようになる、AIというものの処理の仕方を知ればそれは自明のことなのだが、そこは盲点である、というお話についても、(もう)(ひら)かれるところがあった。

 プログラムの二つ目は国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授の水野貴之氏からの講演で、「企業経営に役立つビッグデータ分析」との題である。

 水野氏は「ビッグデータ分析は、何かしたいという目的や欲求に合わせて『このデータを合目的的に集めよう』としても、うまくいかない。『この料理を作ろう』と献立を決めて、必要な材料を買いに出かけるのに似ている。材料を買いに行ってみたら店にはその材料がなく、結果、料理全体が作れない、ということはままある。データも同じで、目的に合わせてデータを取得しようとすると、経済的な問題などからそのデータが得られない、集められない、だから結果として何もできない、というような問題に直面する。他方、うまくいくビッグデータ分析は、『冷蔵庫の中の残り物を見て何が作れるか献立を決める』ようなやり方に似ている。入手できるデータに何があるかをまず見極め、それを使って何ができるかを考えるのである」という。なるほど腑に落ちる説であり、さもあろうと思われた。

 また、「価格.com」における、比較的高価な値段付けにもかかわらず売り上げのある店についての分析に、アダム・スミスの「神の見えざる手」や近代経済学、情報の偏在などをとり入れた修正市場理論にいたる経済学説を突き合せた考察には瞠目させられた。

 基調講演の次は、講演者のお二方とJISTA会員による恒例のパネルディスカッションである。今年のパネルディスカッションのテーマは「データ活用相談室『最新技術をどうするの?』」との題で、会員からビッグデータ活用上の相談テーマを募り、これについて議論し、アドバイスするというものだ。寄せられる疑問などに共感を覚えるものも多く、興味深く聞くことができた。

 最後に日本ITストラテジスト協会関東支部の活動報告と関東支部長からのご挨拶があり、今年のオープンフォーラムは終了した。

 やや雨模様の秋葉原であったが、今年も非常に勉強になるオープンフォーラムであった。盛会裡に催しを実行したスタッフの皆さんに感謝を申し上げたい。

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