日本ITストラテジスト協会関東支部オープンフォーラム2019

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 今日は日本ITストラテジスト協会関東支部主催「オープンフォーラム2019」に参席した。

 最近数年の会場は決まって「秋葉原UDX」(旧青果市場辺りの大きなビル)だったが、今年は「一橋大学の一橋講堂」で行われた。

 私はチラシの「一橋大学」を瞥見(べっけん)して、それだけを頭に入れ、エイヤッと国立市まで行った。駅前でノンビリと昼飯など喰った。

 文教都市を標榜する街で、すばらしく幅広い並木通りをノンビリと歩き、一橋大のキャンパスに入った。

 案内板を見たのだが、一橋講堂というものはなく、最も近い名前のものは「兼松講堂」である。時間は12時ちょっと過ぎであった。

 ハテ……というので、門内の守衛さんに「あのう、すみません、一橋講堂っていうのは、どこでしょうか?」と聞いてみたら、

「ハァ!?一橋講堂!?……いや、ありませんよコチラには。そういうのはちょっと……こちらにあるのは『兼松講堂』ですしねえ……」

「えっ、私、もしかしてとんでもない方に来たのかしら?」と私。

 守衛さんはちょっと考えて、パッと表情を改め、

「あっ、そうだ、わかる。一橋講堂ってのは聞いたことがありますよ、ちょっと待ってくださいよ、どこに書いてあったっけ……」

と、守衛所内に備え付けてある「マップル」をバラバラッと繰ってくれた。

「あ、ここだここだ。千代田区一ツ橋……これはあれですよ、水道橋の向こうの、アッチのほうですよ」

「ゲゲッ!……私、全然違う方に来たんですねえ、こりゃまいった、守衛さん、どうもありがとうございました」

「いえいえ、慌てずお気をつけて」

……というようなわけで、中央線の快速特快で急遽神田まで引き返し、十数分ほど遅れて着いたという塩梅式であった。

 東京の各大学のキャンパスは、アッチコッチにバラバラにあるからヤヤコシイ。

 高等教育に縁のない私は、今日という今日まで知らなかったが、一橋大学はかつて東京の一ツ橋、すなわち、現在の学士会館のあたり、今日のオープンフォーラムの会場付近に所在したが、関東大震災の被害をしおに国立市に移転したのだそうである。

 親戚のニイチャンが一橋大だったが、どこに通っていたのかも今日まで知らなんだ(笑)。

 多少遅れたものの、聞きたかった特別講演はだいたい全部聞くことができた。

特別講演1:『今、日本に必要なデジタルトランスフォーメーションとは?』 ~ 「所有」から「利用」へ、デジタル化がもたらす新しいビジネスモデル サブスクリプションが普及する背景

 江端浩人事務所代表・江端浩人氏による講演であった。

 江端浩人氏は日本マイクロソフト・日本コカ・コーラ等大企業のCIOを歴任し、デジタルで経営を牽引してきた斯界の第一人者であり、その手腕については堀江貴文氏やDeNA創業者の南場智子氏らと並び称される人物である。

 DX(デジタル・トランスフォーメーション)という観点からは、氏は過去にもDXにかかわってきており、Windows95のエンタープライズへの導入やiPhone、クラウドなど、多くの事例で活躍してきている。

 氏は最近、「サブスクリプション・モデル」に着目しこれに注力している。

 サブスクリプション・モデルとは、例えば「Microsoft Windows」のライセンス形態の一部に見られるように、「使用権を賃貸する」業態である。最近はWindowsのようなソフトウェアだけでなく、スマホの定額通信や定額制の動画配信サービス、Amazon Kindleの読み放題など、デジタル業界では既に定着しているが、他にも自動車のシェアリングやスターバックス・コーヒーの定額サービスなどにも見られ、最近では月額定額の「ラーメン食べ放題」や、女性向けの定額の美容院、「定額住み放題の住居」などまで登場している。

 このモデルは利用者側から見ると「気に入ったブランドを気にすることなく安定して利用でき、割安感があり無駄な所有をしなくてすむ」利点があり、提供者側から見ると「収益を先取りして安定させ、多くの場合増収になる」という利点がある。

 江端氏自身も「動画広告を作成するサービス」をサブスクリプション・モデルで立ち上げ、取り組んでいる。

 実は、昔から富山の薬売りや牛乳配達など、日本には昔からサブスクリプション・モデルがあったが、現在のサブスクリプション・モデルとはインターネットをはじめとする電子的な仕組みが介在するか否かが大きく異なる。電子的な仕組みにより、提供者側と利用者側の情報格差の解消などがかつてとは異なる状況となっているように思われる。

 サブスクリプション・モデルの普及には条件があると氏は考えている。すなわち、単なる定額ではなく「付加価値」「出会い」例えば新しいファッション、いつも一流の美容室、BtoB、日本に非常に合ったモデル(おもてなしなど)、常連さん文化、お小遣い制、顧客の手間を省く(リコメンド)等々である。

 また、サブスクリプション・モデルは原価が低い商材(すなわちデジタル情報など)に合ったモデルであり、原価が高く供給量が少ないものは合わない。

 これからのサブスクリプションモデルを含め、企業の経営全体を俯瞰すると、社会的な意義をもたない会社やブランドは支持されなくなる。単純なCSR活動だけでは不十分であり、世界的なSDGsの広がりが背景にあることを踏まえ、これらにも注力することが必要であると氏は言う。また、氏はブランドアクティブズム、ダイバーシティなど、改めて取り組むべき課題は多くあるはずであると指摘している。

 氏はデジタル・トランスフォーメーションの視座からサブスクリプション・モデルをとらえて活動中であるが、これと「デジタル人材育成」をもライフワークとして取り組み中とのことであり、「一番自分の身になるのが人に教えることと思う」として講演を締めくくった。

 聴講者からは、「利用者から見て『所有をしない』ことは有利なことのように思えるが、その一方、GAFAなどデジタル経営の成功企業は、例えばGoogleが検索により取得した情報を独占していることに見られるように、『所有』の利点を最大限に生かしている。この『所有』と『非所有』の相克を如何にとらえるべきか」との質問もなされ、この点でさらに整理が必要かとも思われた。

特別講演2:『POST2020に向けたITヘルスケアサービス/ウェアラブル技術を活用した生体情報センシングの研究とビジネス化』

 WINフロンティア株式会社CAO (Chief Algorithm Officer)・芝浦工業大学客員准教授・駒澤真人氏による講演であった。

 WINフロンティア株式会社は、ウェアラブル技術を使用した人間情報を扱う会社である。

 特に最近は心拍数の測定による感情の変化などを定量評価することに成功しつつあり、多くの応用を広げている。

 単に心拍を測定することであれば、従来から医療機器の長時間心電図採取などが利用されているが、最近はセンサの小型化、また周辺機器、特に記録の高密度・高容量化(SDカードなど)、スマホとの連携による通信、ひいてはクラウド・リソースの活用などにより、コンシューマー・レベルで気軽に心拍を測定することができるようになった。

 かつては記録に限界があったために、長期間の測定が必要な感情の変化などのモデルに当てはめづらかったが、現在はクラウドのストレージの利用などにより、ビッグデータを参照して心拍から感情の変化を検知し、個人のメンタルチェックを行うことができるようになった。

 これによって「自律神経の活動」を測定し、メンタルヘルスの管理に有用な製品が得られるようになったという。

 氏の会社では、指先の血流量をスマホのカメラで測定することのできるスマホアプリ「COCOLOLO」を開発し、産業医のカウンセリングにこれを活用するなどしており、「働き方改革」への応用なども提案している。

 今後の注力領域として、一般に心拍数は継続して測定してもらうことが難しいため、「ヘルスゲーミフィケーション」、すなわち、健康状態取得活動をゲーム化して面白くし、熱中してもらうことなどを試みており、既にそのようなゲームもリリースしている。また、「ヘルスリテラシ」、すなわち健康へのリテラシ向上、健康教育、知識の普及を図りたい、としている。

 他に、感情を分析した製品開発、製品のリラックス効果を定量的に評価するなども試みており、例えばユニクロのジーンズのリラックス度の評価をセンサを使用して計測して定量評価し、他社製品と比較するなどといった業務にも成果を収めつつある。

 POST2020において氏は「ストレスマネジメントの総合プラットフォーム」を目指す、とし、今後さらに皮膚の下にインプラント型センサを埋め込んで詳細なバイタル・データを計ることなどを試みたいとした。

 「ゆっくり生きると自律神経が整う」ゆっくりよく噛んで食べることなど、何事も意識してゆっくり行動してみると、自律神経のコントロールに有用である、と結語した。

特別講演3:『あらゆるモノに知性を与える「エッジディープラーニング」の可能性』

 LeapMind株式会社CEO・松田総一氏による講演であった。

 社会では既にAIの応用が浸透し、各所で実用されている。一方、更にAIを活用するには、太い通信帯域やリソースにコストのかかるクラウドのみの利用に頼らず、情報発生源に近い「エッジ」においてAIによる高速な前処理を行うことが有利であることはかねて指摘されているところである。

 松田氏の会社は、この「エッジ」領域でのディープラーニング・ハードウェア開発で成長している。

 氏によると、日本におけるAIは、既に遠く米国・中国の後塵を拝する状況であり、世界をリードしようとするにはもはや手遅れの状況にあるという。しかし、唯一、「組み込み」ドメインでは米・中に勝るものがあると氏は見ており、その所以からエッジでのディープ・ラーニングにチャレンジし、成功しつつある。

 現在、AI~ディープラーニング界は急激に増大する「原データ」「ビッグデータ」と格闘しつつある。今後、スマホをはじめ、IoTデバイスが増えることでデータ量が爆発し、必ず「エッジ処理」が必要になる。

 クラウドはインターネットが必須、レスポンスが遅い、利用料金が高い。一方、ローカルに置かれたGPUはデバイス単価が高く、消費電力が大きい

 ところが、組み込み向けのFPGA・ASICは、ネット常時接続が不要であり、デバイス単価が安く、レスポンスも早くて消費電力が小さい。

 こうしたことから、ASICはテレビ、カメラ、電子レンジ、冷蔵庫などに応用され、FPGAは電車、フォークリフト、監視カメラ、ドローン等に応用されている。 

 これらはセグメンテーション・ノイズリダクション・姿勢推定、超解像、物体検出などに使用されている。

 世界の趨勢に眼を転じると、最近Google PIXEL4が発売され、美しい写真が撮れるカメラが話題になっている。既に光学的な技術については、カメラは限界に達していて、機械的・工学的に美しい写真を追及することはもはやできない状況にあるが、PIXEL4は撮影された生画像データを機械学習・ディープラーニングによる画像レタッチによって美しく加工しているのである。つまり、ソフトエアによるハードウェアの性能引き上げが常態化しており、この点でPIXEL4は時代の象徴的な製品であると言える。

 他にもエッジにおけるディープラーニング活用は応用が幅広く、自動車、製造業での異物・不良品検出、宇宙での応用、セキュリティカメラでの混雑状況検出、ドローンの自律操縦などで着々と成果を得ている。

 氏は今後更に低消費電力化・低システムコスト化を図って成長を狙いたい、として講演を締めくくった。 

JISTA会員による公開パネルディスカッション「POST2020における課題」

 モデレーターは富田良治氏、パネラーは赤沼直子氏、仲尾健氏、満川一彦氏、諸葛隆太郎氏の4方であった。

 「POST2020」における課題が世の中においても議論されている。いわく、「オリンピック後に景気が落ち込む」「2025年に団塊世代が75歳に」「労働人口が2000年から2025年に400万人減少する」……等である。

 また、経産省が先頃出した「DX(デジタル・トランスフォーメーション)レポート」も話題となっている。これにいわく、「2025年の崖」「既存システムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化、データを有効に活用できない」……等である。

 こうした現状認識の下、斯界の中核を担う日本ITストラテジスト協会の正会員4名が討論を行った。

 経営陣におけるデジタルに関する現状認識と、技術陣におけるそれにはやはり乖離なしとせず、ここにおいて「ITストラテジストの存在意義」があろう、というコンセサスが概ね討論の結論となったように感じた。

 また、「意外と経営側の人は足元が見えず、社内にどういう技能を持った人がいるかがわかっていないことが多い、社内にこういう人がいて、足りない人はこういう人ですよ、とか、そういう当然のことが提案でき、把握して報告できる、そういうこともITストラテジストの職能の一つではないか?」との意見もあり、自分の職場にも人材育成上そういうところがあるな、と感じて参考になった。

DVD・徘徊

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 十数年以上前に流行(はや)った漫画「のだめカンタービレ」を、ゴールデンウィークに全部一気に読んだ。面白かった。

 妻もゆっくりと読んでいる。妻はメディアミックスでないと面白くないらしく、ドラマのDVDをツタヤで借りてくるので、それも一緒に見ている。

 昨夜DVDの3巻・4巻を一緒に借りに行った。その時、この前Amazon Prime Videoで見ようと思ったのに見ることができなくなっていた杉浦日向子原作のアニメ「百日紅」を見てみようと思い、それも借りた。

 今日は日本ITストラテジスト協会関東支部の月例会があるのだが、今日のイベントは「商談会」である。立場上私は商談には参加できないので、参加してもどうにもならぬ。傍観していたところで人の役にも立たず、面白くもないから、欠席した。


 今日の昼めしは虎ノ門の大坂屋砂場でとった。通しもの三点盛で蕎麦前をゆっくりと飲み、牛蒡(ごぼう)のかき揚げの天せいろを手繰った。

 西新橋から環2通りへ出て、汐留へ行き、シオサイトの空中回廊を(そぞ)ろ歩く。ローマ風大理石彫刻のレプリカが飾られた「イタリア公園」などというのがあった。

 海が近い。薫風が袖口から入る。もう今週を最後に散るかな、という頃合いの花皐月があちこちの植栽で鮮やかに紅い。

 シオサイトの回廊を歩き終わると、突き当りに芝離宮がある。150円払って入ってみた。大きな池に微風がわたっている。広々と気持ちがよく、庭園の造形が渋い。ちょうど額紫陽花(がくあじさい)が青く咲いている。

 庭園を出て海に向かう通りを東へ歩いていくと、なんだかよくわからないが人だかりがしている。近づいて行ってみると、伊豆諸島の観光イベントをやっているようだった。

 くさやの干物などもあるようで、お土産に買いたかったが、妻と子供は嫌がるだろうなあ、とも思い、買わなかった。

 日の出埠頭までのろのろと歩き、水上バスで帰ることにしたが、気が向いたので反対向きのお台場向きへ乗った。

 今日は何か花火が上がるらしく、お台場の船着き場はあちこちに立ち入り制限がしてあって面白くなかった。すぐに浅草行きへ乗って引き返した。

 船の屋上で風にあたりながらヘッドフォンで音楽を聴いていると、吾妻橋のあたりだったか、船員が駆け上がってきて、大きな声で乗客に何かを指示した。私はヘッドフォンをかけていたので、何を言っているのかわからなかったのだが、立っていた乗客たちが皆てんでにしゃがみこんだ。私も驚いてしゃがんだ。今日は満潮が近くて川の水位が上がり、船の屋上がぎりぎり橋の下を通れるくらいだかららしい。実際、橋の底がしゃがんだ乗客たちの頭上をきわどくかすめ過ぎていき、「ゲゲッ、危ないじゃねえか!」と思うくらいであった。

 それが2回くらいあった。動画は多分、永代橋の下を通るところじゃないかと思う。

 だが、面白かった。

 浅草で降りて、浅草寺の二天門から仲見世通りへ入り、新仲見世をちょっと見た。神谷バーで電気ブランでも、と思って覗いてみたが、ものすごい混みっぷりで、いつも陣取る壁際のスタンドカウンターまでいっぱいだったので、やめてしまった。


 東武線で家に帰る。帰りに市立図書館の南部分室へ立ち寄り、本を2冊借りる。なんとなく手に取った文庫の古本、林望の「イギリスはおいしい」と辰巳芳子の「味覚日乗」。

 家でもう少し飲んでから晩御飯を食べた。それから、妻と一緒に昨日借りた「のだめカンタービレ」を見た。続けて「百日紅」を見たが、10分くらい見たところで眠くなり、そのまま朝まで眠ってしまった。

日本ITストラテジスト協会関東支部月例会

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 今日は昨日までの雨模様もどこへやら、早朝は料峭(りょうしょう)、青空が広がり、花も七分咲きの()で頃、日が高くなるに従い暖かとなる好日中の好日であった。

 そんな一日、標記の会合に参加した。会場の文京区民センターは水道橋・東京ドームの(そば)にある。プロ野球の開幕戦見物で賑わう人出の中をかき分けかき分け出かけた。

 実は長いことITストラテジスト協会関東支部の月例会には出ておらず、久しぶりの参加である。ほぼ3年半ぶりであろうか。

 会は支部の活動に関する連絡や有志によるライトニングトーク等のあと、恒例のテーマ別ディスカッションとなる。

 本日のテーマ別ディスカッションは、「プレゼンに役立つ エンジニアのための理論でわかるデザイン入門」と題し、アートディレクターとして高名な伊藤博臣先生をお招きしての特別講義であった。

 伊藤先生は「Think IT」のサイトで連載をされ、その連載内容を中心にまとめられた「エンジニアのための理論でわかるデザイン入門」という著書を出しておられる。

 今日の講演はこの著書の内容に沿って進められた。実践的なデザインの基礎を学ぶ内容だ。

 デザインは芸術的な感性や才能の所産である、などと我々凡百の者は思いがちであるが、伊藤先生によればこれは誤りであり、デザインは目的や設計と言った明確な「コンセプト」の所産であるという。多少は才能や感性によるところもなくはないものの、ほとんど関係ないのだそうである。これには非常に考えを改めさせられるものがあった。

 よくあることだが、見づらい文書やスライドショーを見て、「センスがないなあ」などという感想を持つことがある。しかし、これはセンスや才能が足りないのではなく、伊藤先生によれば「分析が足りない」ということなのである。

 講義を聞くと、なるほど、その通りだな、と納得できた。

 その見方のもと、分析的なコンセプトの作り方、フォントの選び方、画面の構成の仕方、さまざまな要素の配置の仕方、色彩の選び方などを御教授下さった。非常に勉強になった。

 今日は支部の月例会としては過去最大人数の70人以上が集まったそうで、盛会であった。

 その後、近傍で行われた懇親会に参加した。懇親会も40名を超える大人数であった。私はだいぶご無沙汰していたので、あらためて多くの方々に挨拶させていただいた。

 春燈おぼろに煙る中、良い気持ちで帰宅した。盛会にしてくださったJISTA関東支部スタッフの皆さんに感謝申し上げたい。

日本ITストラテジスト協会オープンフォーラム2017

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 今日は日本ITストラテジスト協会関東支部の「オープンフォーラム2017」に参加した。毎年開かれており、ITストラテジストが秋葉原に集合する。

 私も毎年参加させていただいている。数年前まで定例会にもよく参加していたので、オープンフォーラムでもスタッフとして末席を汚していた。最近他の事に取り紛れて定例会に行っていないので、去年に続き今年も無役で参加する。

 今年のテーマは「AIとビッグデータをIT戦略に生かすための方策」である。

 ビッグデータの活用については近年、あらゆるところで相当に取沙汰されており、一時の幻滅期を経て、これを活用できるところはすっかり波に乗って活用しており、もはや当たり前となって騒ぐほどの事ではなくなったように見受けられる。だが、波に乗り切れなかったところでは、何事も起こっていないかのように感じられる。

 一方のAIについては、昔から言われてきたことではあるものの、近年に至ってようやく大きな注目を集めはじめた。将棋やチェスなどの象徴的なものは勿論だが、これらは何らかの生産をもたらすものではなく、表徴的なものに過ぎなかった。ところが、生産や経営と言った実質上のことがらに応用ができるようになってきた。

 そこでJISTAでもこれらを社会に生かすため、ITストラテジストとして何ができるかと言う観点からこうしたテーマを挙げているのである。

 実行委員長の挨拶に引き続き、プログラムは早速基調講演1に移る。今回は楽天株式会社執行役員兼楽天技術研究所代表の森正弥氏から、「ECにおける『個別化』後の人工知能活用と協創の世界」と題しての講演であった。

 楽天での様々な実例を踏まえた豊富な知見からなされる、非常に耳新しい講演であった。

 森氏の「シニアはITにせよAIにせよ、それが『ツールである』という言い方、発想をよくする。これではうまくいかない。若い人はITやAIを中心に据えて考え、それで何ができるか、というふうに考え、それをもとに全体を作り直そうとする。そうするとうまくいく」という冒頭の指摘には、考えさせられるところ極めて大であった。また、従来のビッグデータの常識では、データ分析をする際、データの前処理に8割の労力が割かれたものだが、AIによるビッグデータ分析では、前処理したデータを使用すると分析の精度が劣るようになる、AIというものの処理の仕方を知ればそれは自明のことなのだが、そこは盲点である、というお話についても、(もう)(ひら)かれるところがあった。

 プログラムの二つ目は国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授の水野貴之氏からの講演で、「企業経営に役立つビッグデータ分析」との題である。

 水野氏は「ビッグデータ分析は、何かしたいという目的や欲求に合わせて『このデータを合目的的に集めよう』としても、うまくいかない。『この料理を作ろう』と献立を決めて、必要な材料を買いに出かけるのに似ている。材料を買いに行ってみたら店にはその材料がなく、結果、料理全体が作れない、ということはままある。データも同じで、目的に合わせてデータを取得しようとすると、経済的な問題などからそのデータが得られない、集められない、だから結果として何もできない、というような問題に直面する。他方、うまくいくビッグデータ分析は、『冷蔵庫の中の残り物を見て何が作れるか献立を決める』ようなやり方に似ている。入手できるデータに何があるかをまず見極め、それを使って何ができるかを考えるのである」という。なるほど腑に落ちる説であり、さもあろうと思われた。

 また、「価格.com」における、比較的高価な値段付けにもかかわらず売り上げのある店についての分析に、アダム・スミスの「神の見えざる手」や近代経済学、情報の偏在などをとり入れた修正市場理論にいたる経済学説を突き合せた考察には瞠目させられた。

 基調講演の次は、講演者のお二方とJISTA会員による恒例のパネルディスカッションである。今年のパネルディスカッションのテーマは「データ活用相談室『最新技術をどうするの?』」との題で、会員からビッグデータ活用上の相談テーマを募り、これについて議論し、アドバイスするというものだ。寄せられる疑問などに共感を覚えるものも多く、興味深く聞くことができた。

 最後に日本ITストラテジスト協会関東支部の活動報告と関東支部長からのご挨拶があり、今年のオープンフォーラムは終了した。

 やや雨模様の秋葉原であったが、今年も非常に勉強になるオープンフォーラムであった。盛会裡に催しを実行したスタッフの皆さんに感謝を申し上げたい。

日本ITストラテジスト協会関東支部 オープンフォーラム2016

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 私は情報処理技術者の資格を幾つか持っている。そのうちの一つ、「ITストラテジスト」は「高度な知識・技能」というものに区分されており、合格するのはなかなか難しい。

 この資格の関係で、関連団体の「日本ITストラテジスト協会」(JISTA)というところに参加している。

 日本ITストラテジスト協会は、試験合格者等を中心に、所属する企業や団体の枠を超えて情報発信や人材交流による自己研鑽を行うプロフェッショナルコミュニティで、全国8個の支部に分かれて活動している。

 これら各支部のうち、「関東支部」では毎月月例会を開き、テーマ別ディスカッションなどを行って研鑽している他、年に1回、標記「オープンフォーラム」を開催している。

 今年のオープンフォーラムは来週の土曜日、11月12日の午後に開催される。

 今回のテーマは上記の通りだ。識者による基調講演や、会員によるパネルディスカッションが予定されている。

 私はこのところ仕事が多忙だったため、昨年・今年は協会の活動にほとんど参加できなかった。今年はオープンフォーラムの運営には携わることができなかったが、昨年までは2、3年ほど、当日のスタッフとして時間管理などをしていた。

 最近のIT界隈は、サイバーセキュリティに関する呼び声がかまびすしい。これは重要なことではあるが、しかし、そもそもサイバーセキュリティは、人間の諸活動を利便化・高度化するというITの本来の目的を助けるものであり、それ自体では何の役にも立たない。サイバーセキュリティという要素そのものが働いて物を作ったり何かを分析したりしてくれるわけではないのだ。この意味から、ITストラテジの分野はますます社会の基盤要素として一般化し、深く社会に組み込まれつつあるものと思われる。

 ITのプロフェッショナルを目指す向きは、是非この資格やコミュニティに興味を持たれては如何。また、オープンフォーラムは誰でも参加できるので、是非参加してみては如何。

変な図描いて遊ぶ

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日本ITストラテジスト協会関東支部7月月例会

 今日は日本ITストラテジスト協会の月例会があるが、また行けず。

 家で一日垂れ籠めているいるしかなく、まったく心ならずというところであるが、仕方がない。

ユダヤ教諸宗門徒ぐらいにしか言えないハズなんだが
ユダヤ教分派要図
ユダヤ教分派要図

 変な図を描いて少し頭の中を整理する。

 えー、何の図描いて、何を考えてるかといいますと、……これはつまり、微細な宗派違いで殺し合いのいがみ合いまでするんだから、文字通り業が深いですな、とか色々考えたり、ってところですかね。

 あっ、この図はザックリ図だし、間違ってるかもしれないから、調べものに使ったりしないで下さい。あと、ヤコブとか、ヨセフとか書き込んでません。