生前・死後

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 有名人の訃報もあって、生前、死後、と言う言葉を味わってみた。胸に迫り、冥福を祈りたくなる。

 だがしかし、なんだか変な感じがする。

 「生前」という言葉があるなら、「生後」という言葉があってしかるべきであり、実際、この言葉はある。例えば生まれたての嬰児のことを言う時、「生後まもないxx君の写真」などと言い、かつ書くということには疑義はない。

 しかし、「前後」の関係がおかしい。死ぬ前のことを生前と言うが、それなら「生後」は死んだ後のことであるはずだが、実際は生まれた直後のことを生後という。逆に、生まれた直後のことを生後と言うなら、生まれる前の事は生前と言わねばおかしいが、実際は死ぬ前の事を生前と言う。下の図の通りである。

 そうすると、「死後」と言う言葉に対して、「死前」という言葉がなくてはならないはずだが、死んだのちのことをあらわす「死後」に対して、死ぬ前の言葉として「死前」なんて言葉があるかというと、これは耳にも目にもすることはない。

 こう考えてみて、全部を列挙してみると味わい深い。「生」に対する「死」、「前」に対する「後」、あるいはその間を表す「中」もあろうか。

組み合わせ そんな言葉があるかないか
生前
生中 ×
生後
死前 ×
死中
死後

 「『死中』なんて言葉はナイ!」と言われそうだが、「死中に活を見出す」などという慣用があるから、ないこともない。ともあれ、全部の組み合わせをこのように書き出してみると「生中」と「死前」と言う言葉だけが、ない。

 言葉の有無はさておき、なんだか、「前」「中」「後」という時間的な系列が変である。

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