読書

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 約60年前の古書、平凡社世界教養全集第5巻に所載の評論「恋愛論」を読む。

 フランスの小説家、スタンダールが(もの)した評論である。

 何分(なにぶん)昔の著作であるので、どうも男より女を低く見ているようなところが否めない。現代では受け入れられないように思う。

気に入った箇所
平凡社世界教養全集第5巻「幸福論/友情論/恋愛論/現代人のための結婚論」より引用。以下の<blockquote>タグも同じ。
p.257より

 憎悪も結晶作用を持つ。恨みを晴らす希望が生じるやいなや改めて憎み始める。

 「結晶作用」というのは、スタンダールが本論で提示した恋愛における主要現象の一つである。恋する者が相手に想像上の価値を付け加えていく様子を、ザルツブルグの塩坑での現象に例えたものだ。

p.249より

 ザルツブルクの塩坑では、廃坑の奥深く、冬葉を落とした木の枝を投げ込む。二、三ヵ月して取り出して見ると、それは輝かしい結晶で蔽われている。山雀の足ほどもないいちばん細い枝すら、まばゆいばかり揺れてきらめく無数のダイヤモンドで飾られている。もとの小枝はすでに認められない。

 私が結晶作用と呼ぶのは、我々の遭遇するあらゆることから発して、愛する者が新しい美点を持つことを発見する精神の作用である。

p.257より

 もっとも賢明なる人々が音楽において狂信者であるのは、彼らが彼らの感情の「何故」を知ることが出来ないからである。

 かかる反対者に対し自説を固持するのは容易ではない。

p.277より

 情熱恋愛を感じ得ない男は同時におそらくいちばん烈しく美の効果を感じる男だ。すくなくともこれは彼が女から受けるもっとも強い印象である。

 遠くに愛する女の白繻子の帽子を見て心のときめきを感じる男は、社交界随一の美人が近づくのを見ても、自分が冷淡なのに驚く。他人の熱中を見て、彼はちょっと悲しくなったりする。

 絶世の美人も二日目にはそれほど驚かせない。これは非常に不幸なことで結晶作用を頓挫させる。彼女らの値打ちは誰にもわかり、いわば飾り物にすぎないから、彼女たちの恋人のリストには馬鹿者が多いに相違ない。大公とか百万長者とか(<1>)

<1> 著者が大公でも百万長者でもないことはいうまでもない。私がこの機智を弄するのはちょっと読者に先廻りしたいと思ったからにすぎない。
p.301より

 もし女特有の自尊心の強い女の前で、悪口を笑って受けたりすると(これは軍隊生活の習慣からあり勝ちなことだ)、諸君はこの気高い魂をがっかりさせる。彼女は諸君を卑怯者と思い、間もなく侮辱するようになる。こうした高慢な性格は他の男に容赦しないような男に屈服するのを喜ぶ。とにかく我々は女の側へつかねばならぬ。恋人と喧嘩しないためには隣人と喧嘩しなければならないことはよくあるものである。

 上記、「ああ、いるよなァ、こういう女」と深く共感した(笑)。

言葉
諂い

 これで「(へつら)い」と()む。

下線太字佐藤。以下の<blockquote>タグ同じ。
p.246から

多少とも諂われもしくは傷つけられた虚栄心は熱中を生ぜしめる。

佯る

 これで「(いつわ)る」なのだという。

p.252より

 恋する女は自分の感じる感情にあまりにも幸福であるから、上面を佯ることはできない。

スタンダリアン

 熱烈なスタンダール・ファンのことをこう言うらしい。

p.297訳者注より

(11) Vol.Guarna――スタンダリアンはVol=Volterreすなわち前出スタンダールが一八一九年六月メチルドを追ったヴォルテルラ。Guarna=giorgi彼の恋敵の若い士官ジョルジュと解読している。「彼女は親しげに彼によりかかった」
揶揄った

 これは()める向きもあるかもしれない。「揶揄(からか)う」である。

p.302より

フランソア一世の王妃付きの若い女官を皆がその恋人の浮気について揶揄った

桃金嬢

 「モモカネジョウ」ではない。これで「桃金嬢(てんにんか)」、と訓む。「天人花」と素直に書けば良いようなものだが、文脈に床しさが溢れ出て、これはこれで良い。

p.313より

ごらん、あそこに小川が
桃金嬢を洗っているところ
あそこに私の憩いの場
私のお墓を立てるだろ。

 まだ半分ほどしか読んでいない。引き続き本論を読む。

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