射撃指揮通話の思い出

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 自衛隊を定年で辞めて会社員となり3年経つし、野戦特科部隊から離れて20年以上経つが、今でもふとした折などに

「ヒトサン、こちらニイロク、修正射、送れッ!」

「ニイロク修正射マテ……送れ!」

「座標ヒトニイ、サンヨン、ゴオロク、ナナハチ、標高サン、ニイマル、方位角サンニイ、ヨンマル送れ」

「(復唱) 送れ」

「射撃中の機関銃含む露天掩体陣地、正面ゴオマル縦深ゴオマル、効力射には時限 送れ」

「(復唱) 了解マテ……ヒトサン射撃命令、1中修正、M557瞬発装薬緑4、効力射にはM520時限1発集中、送れ」

「了解送れ」

(指揮所と戦砲隊)「中隊修正射ーッ、中隊ッ!M557しゅんぱぁ~つッ、そーやく緑4、ほういか~くっ、サンニイ、ナナマル、しゃか~くっ、サン、ヨンマル、各個に撃てッ!」

……なんぞという射撃指揮通話が脳内をリフレインし、小声で呟いてしまうことがある。

基準砲班では……

弾薬手 「はんちょーッ、たまっ!」

班長 「よし!」

弾薬手 「よぉ~い、込メッ、いっち、にぃ!!」(ゴチーン、と弾込め)

弾薬手 「装薬緑4!」

班長 「よし!」

照準手 「照準ヨシっ!」

班長 「よし! (手を上にあげて)……よぉ~い、(手を振り下ろす)テッ!!」

ドォーンッ!!

班長 「第2発射ッ」

指揮所 「第2発射、了解マテ、ニイロク、発射せり!秒ぉー時、ヒトニ秒!! 送れ」

前進観測者 「秒時ヒトニ秒了解 送れ」

指揮所 「だんちゃーくッ、今!」(ピカッ、……ドゴーン!!)

前進観測者 「遠ーシ、ニイマル右、左へヨンマル、引けニイ、マルマル 送れ!」

指揮所 「了解マテ、ほういかーくッ、サンニイ、ゴォナナ、しゃかーくっ、サン、ニイゴォ、つぎッ!!」

基準砲班長 「よぉ~いッ、テッ! 第2発射ッ!」

指揮所 「第2発射、了解マテ、ニイロク、発射せり! 秒ぉ~時、ヒトヒト秒、送れ」

前進観測者 「秒時ヒトヒト秒了解、送れ」

指揮所 「だんちゃーくッ、今!」(ピカッ、……ドゴーン!!)

前進観測者 「近シ、線上ッ、増せヒト、マルマル 送れ!」

指揮所 「増せヒト、マルマル、了解マテ。いっぱーツッ!!ホウイカークッ、サンニイ、ロクマル、しゃかーくっ、サン、ニイハチ!」

基準砲班長 「よぉ~いッ、テッ! 第2発射ッ!」

指揮所 「第2発射、了解マテ、ニイロク、発射せり!秒ぉー時、ヒトニ秒!! 送れ」

前進観測者 「秒時ヒトニ秒了解 送れ」

指揮所 「だんちゃーくッ、今!」(ピカッ、……ドゴーン!!)

前進観測者 「遠ーシッ線上ッ!時限、引けゴォマル 送れ」

指揮所 「時限引けゴォマル、マテ! 中2門!! M520時限ッ、秒~時ヒトヒトテンゴォ、ほういかーくッ、サンニィ、ロクナナ、しゃかーくッ、サン、サンマル、斉射ッ!」

戦砲隊長 「中2門ッ! よぉ~いッ、テッ! 第2第3発射ッ!」

指揮所 「第2第3発射、了解マテ、ニイロク、発射せり!秒ぉー時、ヒトヒト秒!! 送れ」

前進観測者 「秒時ヒトヒト秒了解 送れ」

指揮所 「だんちゃーくッ、今!」(ピカッ、……ドゴーン!!……2発の時限信管弾が狙い通り空中爆発)

前進観測者 「曵火(エイカ)ヒトマル! ヒトサン、同一諸元効力射ッ!」

指揮所 「同一諸元効力射マテ! 中隊効力射ーッ、中隊ッ! いっぱーつっ、特別修正、第1、方位角増せニ、第4、方位角引けヒトッ、第5、方位角引けニッ、各個に撃てッ!!」

 ピカピカ、チカッ!!……ドン、ドドドン、ドンッ!……と敵機関銃陣地の頭上に集中曵火(わざと空中破裂させる射撃)が弾着……

前進観測者 「曵火ヒトマル、遠し線上、曵火ヒトゴ、命中…… ヒトサンこちらニィロク、任務終了、機関銃含む敵露天掩体沈黙ッ!」

指揮所 「ヒトサン了解、終わりッ!」

 考えてみたら、小銃ももういっぺん撃ってみたい気もしないでもないが、10榴や15榴の射撃のほうがしてみたいかも。


 この記事は、ThreadsやFacebookに書いたものの転載です。