一度、借家ででも一戸建てに住んで見ると良い。

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 私は、自分の家を建てて本当に良かったと思っている。途中いろんなことを思ったにせよ……。

 で、たまたまのことなんであるが、私は持ち家を建てる前、一戸建ての借家に住んでいた。

 今改めて思い返すと、このことは非常に良かった。最初からそれが目的ではなかったのではあるが、一戸建てで暮らしてみることで、住宅に関するいろんな希望や自分のイメージを育てることが出来ていたのだ。

 細かな話だが、例えば今、我が家の収納は我が家族に実にピッタリで、どこも不足なく、かつ多すぎもせず、なおかつ、将来にわたって不足することはなさそうなくらいの余裕がある。収納というものは、多すぎればいいというものでもなく、「こんなに空き戸棚ばっかりあるんなら、部屋をもうすこし広げればよかった、ソファーの一つも置けたのに……」なんてことにもなるから、多すぎず、かつ不足はまったくなく、かつ余裕がある、という、一見矛盾しそうな要件を満たしているのが理想なのだ。

 なぜこんなに丁度良く作ることが出来たのか。一戸建ての借家に住んでいた頃、子供たちも生まれ、自分のさまざまな持ち物の量もある程度落ちついてきており、将来の持ち物の量も想像がつくようになっていた。マイホームを取得するに当たり、私は――お読みの方には『そんなメンドウなこと本当にやったの!?』と思われるかもしれないが――自分の現在の持ち物の容積を、余すところなくすべて測定したのだ。これは想像するよりも大変だった。巻尺を片手に収納の大きさやダンボール箱・戸棚・タンス・衣装箱、はてはアイロンやパソコンのプリンター、トースターの大きさまで測りまわり、やり始めてしまってからあまりの手数の多さに天を仰ぎ、それでも諦めずにすべて計ったら2日もかかって、腰が痛くなって困った。

 しかし、その実測した数字から将来にわたって必要な収納容積を具体的に推定することができた。その容積を設計時に建築家に具体的に示すことができ、結果、きちんとおさまりの良い収納を得る事ができたのだ。これは、一人一人、家族家族によって数字は違うことであろうから、すべて自分で測定・推定してみることをお勧めする。そこらへんの経緯は、「佐藤の自宅建築誌・計画編 二つ目の提案」ではかなりサラリと述べてあり、細かくは書いていない。

 これがもし、私が当時賃貸マンションやアパートに住んでおれば、少々事情が違ったろう。私はその借家に住まう前は賃貸アパートやマンションに住んでいたからわかる。収納の少なさがゆえに、無意識に自分の持ち物が増えるのをセーブしてしまうのだ。多くの方から聞くことがある不満が収納についてであるのは、おそらくこうした事情によるのであろう。

 収納一つとってもこうなのである。寝起き、階段、洗面所、フロ、料理、買い物、ご近所や町内会のお付き合い、自治会役員の忙しさ、庭の手入れ、こういったすべてのことについて自分に合うものや自分が知らなかった自分の好みを、一戸建ての借家で数年暮らすことで把握できたのは僥倖という他はない。

 これから建てようという方は、2~3年がところ、一戸建ての借家ででも暮らして見てはどうか。自分のビジョンがハッキリする。

2階リビングは夏どう?

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 私の家は、これをご覧頂ければわかるとおり2階がリビングである。台所・フロも2階。
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佐藤の自宅建築誌・工事請負契約
 で、今の季節皆さんが想像されることは、「2階リビングは暑いんじゃないですか?」ということ。
 で、ね。どう思います?暑いと思います?
 全くの正直に、かつありていに言って、ウチは「そんなに暑くありません」、これがウソ偽りのないところである。いや、よその家と比べて、まったく全然ちっとも少しも暑くないかと言えば、そりゃ、ちょっとは暑いんだけど。でも、想像するほどは暑くないんですよ。
 暑くなる要因はもちろんある。常識で言って熱は上にこもる。これはあたりまえ。屋根が直接陽にあたり、熱せられる。しかも大きな勾配天井で、吹抜け式に天井が高く、いかにも最高部に熱がこもっていそう。
 だが、暑くならない要因もこれに対するように沢山あるのだ。まず2階であるため、周囲の家並みなどで風が遮られることがなく、きわめて風通しが良い。たとえ窓を開けなくても、風通しの良さのため、家屋周囲に熱がこもりにくいのであろう、2階の温度はそんなに上がらず、非常に快適である。それから、これが大事な点であるが、屋根といわず壁といわず、イヤというほど断熱材をブチ込み、窓をアルゴンガス封入の強化ペアガラスで作った高断熱仕様の家であること。・・・などなど。これらが暑くならない要因である。
 なにより、2階は風通しがよいため、リビングはいつも気分よくサラリと乾いており、明るい。2階だからこそ高い勾配天井の大空間が実現できたのだ。広々として気分が良い。
 いうまでもなく、日本は住宅事情が悪くて建て込んでいる。我が家もその例に漏れず、南側が空き地であるとは言うものの、1階の日当たりがすごく良いというわけでは決してない。しかし、リビングを2階に持ってきたために2階は常に明るく、のびのびできるんである。それともうひとつ。水周りが2階にある、すなわち洗濯機も2階。家内は2階のベランダに洗濯物を干すのに苦労がない(そのかわり、2階に布団を干そうと思うと布団は1階から運び上げなければならない。でも、わが家の場合は庭の日向に布団掛けがあり、そこに布団を干している。)。
 また、風呂が2階。我が家は娘が二人いて、年頃になれば心配でもあるが、出歯亀が風呂を覗くなんてことは構造上不可能で、なおかつこちらは、風呂の窓から外と星空が見える。「水が漏ったらどうするんです?それに2階に水周りを持って来ると割高になるらしいじゃないですか」と言う向きもあるかもしれない。しかし現代のユニットバスは水が漏る心配がまずないように作られており、昔のように手の込んだ綿密な防水施工を行なわなければならないということがなくなったため、値段は一緒。
 こうした気持ちの良い要素も総合的に考えれば、2階リビングはオススメですよ、ウン。