読書

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 先日「漂流」と入れ替えに借りた「島抜け」を読み終わる。

 3編からなる短編集だ。

 一つは、幕府を批判した講釈を読んだ(かど)で種子島へ遠島に処せられた大阪の講釈師瑞龍が、他の流人3名と丸木舟で島抜けをはかり、漂流の後中国に漂着、日本に帰国するものの結局は捕えられ、処刑されるまでを描く表題作「島抜け」。

 もう一つは飢饉の一風景を農民夫婦の様子を通し、枯れた味わいで描いた「欠けた椀」。

 最後が明治維新間もない頃の、梅毒施療院からの献体をはじめとする人体解剖の状況を追った「梅の刺青」。

 うち「島抜け」「梅の刺青」の2作は、吉村昭が得意とする、「日本の医学黎明期」「漂流(たん)」を緊張感をもって、かつ静かに淡々と描いた名作だ。もう1作の「欠けた椀」はフィクションだが、小説らしい味わいのある作品である。

 読み終わったので、入れ替えに、同じ吉村昭作品で、今度は比較的最近の医学の進歩に焦点を当てた「光る壁画」を借りてみる。

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