平凡社 世界教養全集 全38巻

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 老両親は長年住んだ大阪府堺市の家を出て大阪市内の老人ホームに住むことになり、先日引っ越した。古家は当分そのままにして、ゆっくり古物を始末していく運びである。

 古物には、多くの書籍類もある。「捨てるにはもったいないので『世界教養全集』はいらないか」と母から連絡があった。

 私が子供の頃から家に並べられていて、見慣れてきたものだ。38巻からなる全集もので、母に言わせれば「好事家垂涎」の品物である。昭和37年発行、もう60年近くも経とうという古書で、ISBNもない。だが、収められている著作には「哲学物語」や「アラビアのロレンス」、私などが子供の頃読んだ「微生物を追う人々」「燈火の歴史」などがあり、なかなか渋い選択の全集だ。

 貰い受けることにし、返事をした。今日その荷物が着いた。

 中学校を卒業して早くに家を出てしまった私は、実のところ、この全集にそれほどのノスタルジーはない。両親が後にした古家も、私自身は住んでいないので、もうどうでもよい。いや、かつてはそれらに何らかのあたたかな気持ちも感じなくはなかったが、私と両親はあまり関係が良くなく、そのため、こういうものや出来事に懐かしさや郷愁を盛り上げようという気持ちが湧かない。

 しかし、60年近くの間、シミだらけになりながら1冊も欠けることなく老親の家に並べられていたということに、何らかの意味を見出そうとするのも有り得ることかな、とは思う。

 第26巻の「アラビアのロレンス」をまず手に取って見ている。

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