時事漫(すい)

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筋金入り

 右のようなニュースがあり、ほう、さすが、と驚いた。

 御歳(おんとし)99歳とある。これは間違いなく第2次世界大戦の生き残りの老兵だなと思い、検索してみるとまさしくその通りであった。

 2等兵からの叩き上げ帝国陸軍大尉(Imperial Army Captain)、印・緬方面で日本軍相手に死闘し、復員している。筋金入りの大尉だ。そりゃあ、根性が違う、根性が。

関東は嵐

 窓外に風雨が吹きすさんでいる。

 私の住まいあたりでは、昼から雷雨の予報すら出ている。

 コロナウイルスも洗い流してくれないものだろうか。

今こんなこと(あげつら)っても

 しかし、ねえ……どうなんだろ。アメリカにもいろいろと言い分はあるんだろうけれども、たった1週間で死者が1万5千人も積みあがって、今や累計3万5千人にも(のぼ)る膨大な死者を出しているアメリカが、「今やること」ではないように思う。犯人捜しをして国民の怒りの矛先をどこかへうっちゃってしまおうとしているように見える。

コロ対でうまくいってる国の首相は皆女性

 なるほど、台湾・蔡英文、ドイツ・メルケル、ニュージーランド・アーダーン、フィンランド・マリン、……新型コロナウイルス対策がまずまず上出来な国の統領、宰相は、皆女性である。

 頑固な爺ィが仕切ってる国は、軒並み全部、ダメだ。アメリカ、中国、イギリス、フランス、イタリア、スペイン。特にアメリカなんて頑固爺の代表みたいな人物が大統領だし、イギリスなんて、首相自身が死にかかったんだから。

 ……日本もことによると、ことによるぜ……。

麻生さんも総理の時は馬鹿だのなんだのと襤褸(ボロ)(クソ)に言われたモンだったが、蓮舫も大概(笑)

 蓮舫。……まったく、こ奴も、向こうを張って引けを取らぬ阿呆(アホウ)よの。だって、国債は国の債務、つまり、「国民が貸してる金」で、「国民が借りてる金」では全然ないわけだからさ。

 しかし、まあ、野党とは言え、特別職国家公務員たる国会議員・蓮舫も、一般の人から見れば政府側の人間だから、そうすると、「アタシの借金」という意味で「国民の借金」と言ったのだとすれば、まあ、そんなにもハズれてはいない……いや、いやいや、違う違う。ハズれてる。ウン。

サテ、イギリスはどうすんのかな?

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 ほほ~……。

 ……いつものことなのか、相当特別なことなのかはよく知らない。

 スペインも、まあ、「お約束処分」というか、去る9月1日に一人だけだが外交官を追い出している。

 そういえば、北朝鮮と国交を持たない日本とは違い、確か、イギリスなどは北朝鮮と普通に国交を持っていたと思うのだが、どうするのかな。北朝鮮駐箚(ちゅうさつ)大英帝国大使は、去る1日に引き上げたようだが……。

 イギリスは老獪国だから、軍の情報部のソースとして、北朝鮮外交部を握って離さないかもしれないな。アメリカなんか怖くない、と(うそぶ)くことのできる数少ない国でもあるしな。……いや、嘯くことができるだけであって、実際は怖がってるんだけどさ。

読書

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中立国の戦い―スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標 (光人社NF文庫)

 「アルムおんじ」の話などするうち、スイス傭兵の話から、近代のスイスの苦闘についても興味を覚え、ちょっと読んでみた。

 永世中立国スイスは、のほほんと平和に暮らす田舎国家などではなく、実は全身これハリネズミのように武装した国民皆兵の国であることはよく知られている。しかし、私たち日本人は理由もなく漠然と、スイスの軍事力は単に潜在的抑止力として準備されているだけで、全く他国と干戈(かんか)を交えないものであるかのようなイメージを持ってしまってはいないだろうか。

 ところが、ところが。スイスは、実は第2次世界大戦において意外に激しい戦闘を行っているのだ。中立を守るために、である。いかなる国の軍隊も、どんな理由があろうと、スイスの領土を侵すことを許さないという意思を断固として示したのである。無論、兵の血と生命によって、である。

 しかし、それは簡単なことではなく、迷う国内世論の処理を含め、苦しい選択と難しい判断を積み重ね、ひとつひとつの局面を切り抜けていったことが本書には克明に描かれている。

 大戦中のスイスの戦闘で、本書でも大きく取り上げられているのは対領空侵犯措置の戦闘である。ドイツであろうと米英連合国であろうと、スイスの領空を犯す航空機にはスクランブルをかけ、枢軸国側航空機を12機、連合国側航空機を13機、合計25機を撃墜している。しかし、領空侵犯機への対処は極めて難しく、逆に空戦を仕掛けられ、スイス自身はその10倍、200機もの航空機を失い、300人もの死傷者を出した。空中戦は昔も現代も先制攻撃が常道、つまり先手必勝がベスト・プラクティスなのであるが、対領空侵犯措置では、先に手を出すことができないのだ。

 また、アメリカなどは国際法上永世中立国の地位を完全に認められているスイスに対し、完全に国際法違反の都市無差別爆撃を行い、100名ものスイス一般市民が死亡した。このことは後世もアメリカの汚点として、しこりとなって残っている。

 スイスはこのように、おびただしい犠牲の上に中立を堅持した。

 スイスだけでなく、大戦中、スウェーデン、スペインが中立を守るためにどれほどの犠牲を払い、戦ったかということに光を当て、日本に広く紹介したという点で、功績の大きい一冊であると思う。アマゾンのレビューでは資料の選び方などに一部批判の意見もあるようだが、そのことは本書の価値を(いささ)かも減じない。

傭兵の二千年史 (講談社現代新書)

 「アルムおんじ」の記事の流れで、ちょっとスイス傭兵に興味を覚えて。

毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)

 毛沢東が実は日本軍と共謀して蒋介石の国民党軍と戦っていたという奇怪な事実は、現在の中共が主張する抗日戦争の歴史など根底からひっくり返ってしまうようなことである。

 だって、中国は韓国ほどには頭のおかしい要求はしないけれども、謝罪しろだのなんだのとうるさいことには変わりがない。ところが、謝罪しろも弁償しろもヘッタクレも、大日本帝国と一緒になって蒋介石と戦争してた、ってんだから。

 戦後になって、蒋介石率いる国民党は逃げてばかりいたのだなどと中傷し、毛沢東率いる八路軍こそが抗日戦線の主役であった、などと、言い分が変わっていく様子が本書ではよくわかる。

東京タラレバ娘

 図書館で読んでやろ、と思ってたら、販促のためか、Kindleなら第1巻のみタダだった。

 なるほど、最近ポスターやキャラクターグッズなどもよく見かけるし、ドラマ化もされるようで、ヒットするだけあって面白い。

 残りは高いから図書館で読もうと思ったが、前掲の3冊を読むので時間切れとなり、読めなかった。

甲冑と日本刀のやり取り

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 なかなかいい感じに緊張感のあるやり取りなんじゃねえの?なれ合ってる雰囲気も醸し出しつつ、さ。

 ……その昔、豊臣秀吉はスペインのフェリペ2世から脅しともなんともつかぬ(てい)で西洋甲冑などの武具を贈られたそうだが、その返礼としてこちらも(きたえ)の鎧兜と刀を贈ったという。

 それらはスペインでも大切にされ、19世紀に火災で一部を損傷したものの、今もスペイン王室兵器博物館に陳列されているという。

セルバンテスの苦労控

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 先日、スペインの修道院の床下で遺骨が発見されたと伝わるセルバンテス。抱腹絶倒の傑作「ドン・キホーテ」の作者で、400年前の人だ。

 晩成型の作家で、その不運や苦労に満ちた人生を私は尊敬している。

 彼の来歴を見てみると、後世これほど有名な作家であるにもかかわらず、とてものことに順調な作家人生を送った人物とは言い難い。

 貧乏人の家庭に生まれたセルバンテスは、無学の人とはいうものの、幼少から読み書きを身に付けていた。少年時代は道端に落ちている紙くずであろうと文字が書いてあればそれを拾って読んだといい、その頃から晩年の文才の片鱗が見えていた。

 だがしかし、彼も時代の子であり、文筆の道へは進まなかった。兵隊になり、戦いの日々に身を投ずる。時あたかも無敵スペインの絶頂期である。かの「レパントの海戦」でもセルバンテスは戦った。

 レパントの海戦は、コンスタンチノープル陥落以来200年もの間、オスマン帝国率いる回教徒に苦杯を舐めさせられ続けていたキリスト教圏の初めての大勝利であった。

 勝ち戦の中にいたにもかかわらず、セルバンテスは撃たれて隻腕(かたうで)になってしまう。胸に2発、腕に1発、火縄銃の弾を受けたというから、瀕死の重傷である。からくも命を拾った彼は、後に至ってもキリスト教徒としてこの名誉の負傷を誇りにした。そのとき、連合艦隊司令長官から、勇気ある兵士として激賞する感状を与えられたが、これが後年あだとなる。

 隻腕となってからも数年戦い続けたが、帰国の途中で回教徒に捕まってしまう。当時の捕虜は、身代金と交換されるのが常であったが、持っていた感状のせいで大物とみなされ、大金獲得の切り札として交渉の後の方に回されてしまったのだ。結局、5年もの間捕虜として苦難の日々を送る。仲間を糾合して4度も脱獄を企てたが、ことごとく失敗。その都度辛い仕打ちがあったろうことは容易に想像できる。

 ようやく身請けされて帰国した彼を待っていたのは、祖国の冷遇であった。感状を持つ英雄であるはずなのに、与えられた役職は無敵艦隊の食料徴発係である。無骨な来歴で、しかも傷痍軍人であるセルバンテスに、貧しい人々から軍用食料を要領よく徴発するような仕事など向くはずがない。帳尻が合わず、しょっちゅう上司に呼び出されては怒られる日々。それではというので豊かな教会から食料を徴発したところ、キリスト教徒に(あら)ざる不届(ふとどき)者とされてしまい、キリスト教から破門されている。しかも2度もだ。キリスト教のために回教徒と戦い、隻腕となった誇りある軍人である彼がどれほどそれで傷ついたことだろうか。

 ところが、しばらくするうち、スペイン無敵艦隊は、「アルマダの海戦」でイギリス海軍に撃破され、なんと消滅してしまう。すなわちセルバンテスの勤務先が消滅してしまったということで、彼は路頭に放り出され、無職になってしまったのである。

 セルバンテスは仕方なしに仕事を探し、今度は徴税吏になった。

 セルバンテスの不運の最底辺はこのあたりだろう。彼は税金を取り立てて回り、それを国に納める前、安全を期して一時銀行に預けた。ところがその銀行が、破綻してしまったのである。無論取り立てた大事な税金は消滅。セルバンテスはその債務をすべて個人的に負うことになってしまったのだ。勿論払えるはずもなく、当時の法では「破産者は刑務所送り」である。

 放り込まれた刑務所の中で、彼は失意と不遇の中にあって、なんでこんな目に俺が…、と泣けもせずに泣きつつ、「ドン・キホーテ」の物語を構想した。

 セルバンテスという人がぶっ飛んでいるな、と私が思うのは、こんな不運のどん底にあって構想した物語が「ギャグ漫画」のようなものであることだ。400年も前に書かれた「ドン・キホーテ」は、現代の私たちが読んでも思わず爆笑せずにはおられないドタバタの連続であり、徳川家康がようやく天下統一を成し遂げた時代の小説とはとても思えないほどの傑作だ。赤貧洗うが如し、隻腕の傷痍軍人で、しかも50歳を過ぎて疲れ切った男が、不運により放り込まれた刑務所の中であの物語を考えたのだ。

 刑務所出所後、数年かかって物語を完成させた時、セルバンテスは既に58歳になっていた。400年前の寿命を考慮すると、これは現代の70歳にも80歳にもあたるだろう。

 なんとか文学的な名は得たものの、ところがまだ苦労は続く。「ドン・キホーテ」は発売直後から空前の大ヒットになり、英訳・仏訳もすぐに出るという異例の出世作となったが、そんなに急激な大ヒットになると思っていなかったので、版権を売り渡してしまっていたのだ。ために、貧乏にはまったく変化がなかった。

 しかも、煩わしい悩みが続く。セルバンテスはこの頃、妻、老姉、老姉の不義の娘、妹、自分の不義の娘、という奇怪極まる5人の女達と暮らしていた。せっかく作家としてなんとか名を得、執筆に集中しようにも、この女どものためにそうはいかなかったのだ。彼女らは、男を騙して婚約しては難癖をつけ婚約不履行にし、それを盾に慰謝料をせびるというようなことを繰り返して儲けているという、ふしだらで喧騒(けんそう)な女どもであった。そのため、セルバンテスは静謐な執筆環境など到底得ることができず、ぎゃあぎゃあうるさい5人の女たちに毎日邪魔され、訴訟に巻き込まれて煩瑣な思いをし、休まることがなかった。

 セルバンテスが死んだのはこの10年後、69歳だった。当時の記録にも、三位一体会の修道院に埋葬された、と記されてあるそうだ。日本で言えば、合葬の無縁仏にでも当たろうか。それが、このほど遺骨が見つかったとされるマドリードの修道院である。