投稿日:

 来週の「さえずり季題」当番が回ってきた。

 秋は季節感が豊かで、俳句の季語もさぞかし多くあるような感じがするが、歳時記を繰ってみると、実はそれほど多くはない。むしろ少ない方である。

 だが、私は秋生まれで、夜の虫がちろちろと鳴く秋が好きだ。暑から涼へ劇的に傾いていく、草木が落ち着いた色に変わっていく、なにか気取って溜息などつく人も増える、意外に仕事も忙しい、しかし、おいしい食べ物がたくさん店に並ぶ、空の様子が変わって月がまぶしかったり空が青かったり雨が意外に降りつのったりする…。

 記紀に「秋津洲」という。米が主産品であった日本では、その収穫時期である秋は、特別の季節であったことがその字面からも腑に落ちる。

 ああ、秋であるな。まったくのところ。