承前、図書館で蕎麦の本など読んでいたら、
近所の蕎麦でもいいが、せっかく駅前にいる。私の住む越谷から上野までは電車で一本、30分ほどである。上野の藪蕎麦にでも行って見よう。
菊正宗を焼海苔で一合飲んで、それからのんびりと「せいろ」を手繰る。
ふと思いついて、名店・池之端藪蕎麦の跡地はどうなったかなと思い、行って見た。
すっかり更地になってしまっている。
オッサンは生きている。
承前、図書館で蕎麦の本など読んでいたら、
近所の蕎麦でもいいが、せっかく駅前にいる。私の住む越谷から上野までは電車で一本、30分ほどである。上野の藪蕎麦にでも行って見よう。
菊正宗を焼海苔で一合飲んで、それからのんびりと「せいろ」を手繰る。
ふと思いついて、名店・池之端藪蕎麦の跡地はどうなったかなと思い、行って見た。
すっかり更地になってしまっている。
昨日から泊まり込みだった。
いい蕎麦屋は日曜日には開いていないものだが、神田は例外で、「まつや」「かんだやぶそば」とも開いている。
じゃ、今日はひとつ、「かんだやぶそば」で気晴らししようか、とする。
いつものことだが混んでいる。臆せず並ぶ。なに、蕎麦屋の客の回転など速いものだ。10分も並べば入れる。
通しものに蕎麦味噌の一玉がついてくる。ここの蕎麦味噌は「まつや」や浅草の「並木籔」のような固練りとは違って、ふんわりと柔らかく仕上げてある。中に入っている蕎麦の粒も柔らかい。但し、味は鷹の爪が効いてピリッと辛い。これを少しづつ舐めながら呑む。
お
のんびりと半分ほども
「ああ、これですか、いや、これは、一番安い、メニューの一番上に載っている『せいろう』ですよ」
「そうなんですか。……いえ、ね、色が青いから、変わった、何か、茶蕎麦なのかな、と思ったんです」
ここぞ得たり、と私こと不肖・佐藤、「なるほど、これはですね……」と、ご婦人に講釈して差し上げる。
本物の新蕎麦はほんのりと緑がかるが、かんだやぶそばの蕎麦は、それに似せるよう、蕎麦の茎・葉を絞った汁で新蕎麦のような色・香りをつけてあるのだ。新蕎麦よりも強い緑に染まり、香りも新蕎麦に似る。そして、これなら新蕎麦の季節(晩夏~初秋)だけでなく、年中楽しめるわけである。
「へえ~、そうなんですか」
聴けばご婦人は長野の人で、旅行で来ているという。新幹線の発車までの間、噂に聞く「かんだやぶそば」を探して来てみたのだそうで、「長野も蕎麦の本場なんですけれどね」と言いつつ、なかなか通好みの「牡蠣蕎麦」を注文している。
御酒 | \770 |
せいろうそば | \670 |
税 | \115 |
計 | \1,555 |
サービス | -\5 |
合計 | \1,550 |
ご婦人が聞き上手なものだから、問われるままに、以前の火事のこと、近くの有名店「まつや」のこと、甘味処の「竹むら」、
ご婦人を見送り、ゆっくり蕎麦湯を飲む、
越谷まで各駅停車で帰り、新越谷駅「VARIE」の1階、カルディ・コーヒーファームに寄って、「ボジオ・ランゲ・シャルドネ」という白ワインを一本買う。
帰宅してワインを開ける。至福。
本を読みに国会図書館へ行った。その帰りのことだ。
最近、国会図書館の帰りには赤坂の室町砂場へ寄ることがほとんどだったのだが、今日はふと違う店に行った。
衆議院議員会館の裏あたり、山王日枝神社との間の通りにある「黒澤」という店が、前から通り過ぎるたびに気になっていたのだ。
高い店なのかなあ、と思ったが、表に出してある品書きを見てみると、確かに高いことは高いが、高いメニューばかりではなく、普通程度の値段のものも多くある。
意を決して入ってみた。
まことに清潔な店内で、何か所か床の間風に切り欠かれた壁にかかっている額なども趣味が良い。
入ってみて知ったのだが、映画監督の故・黒澤明に
奥の席で肉料理を出す店のようだが、気軽な「蕎麦席」もあり、高いものから安いものまでいろいろと食べられる店であることが分かった。
蕎麦席に陣取ってみる。酒も肴もいろいろある。
ともかく、身の丈に合ったところで、秋田の銘酒「春霞」の燗と焼海苔を取ってみた。
焼き海苔は上等の分厚いものがよく熾った
春霞が旨い。
蕎麦もいろいろな品がある。盃一杯ほど酒が残っている頃おい、「せいろ」かな、とも思ったが、ちょっと気分を変えて、「田舎蕎麦」というのを頼んでみた。濃い色の太打ち蕎麦だ。
食べごたえがあって、誠に旨かった。
春霞 | 864円 |
焼き海苔 | 648円 |
田舎蕎麦 | 756円 |
計 | 2,268円 |
値段は安いというほどではないが、さりとてものすごく高いわけでもない。
清潔で趣味が良く、落ち着いた店内でのんびりと酒と肴が楽しめ、蕎麦も旨く、良い店だった。
初詣に行って帰ってきたら、ゾクッと寒気がし、途端に気持ち悪くもなってきて、食ったものを全部もどしてしまった。
どうやら、ひょっとしてコレは……。
ノロウィルスにやられたかな……?大晦日、腹が張り裂けるかってくらい、本場の牡蠣を貪り食ったもんなあ。天罰
まあ、ノロだなんだと騒がなくったって、
だわな、早い話が。