古谷(ふるや)経衡(つねひら)氏の中曽根康弘論は正しいと思う。

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 古谷(ふるや)経衡(つねひら)氏。

 私はこの人のチャラチャラした人相風体、茶髪、女の腐ったような喋り方が嫌いであった。言うこと書くことがどうこうではなく、生理が嫌いという、そんな程度のことだ。つまりは好悪のことであって別段取るにも足らぬ。

 しかし、氏が中曽根大勲位逝去にあたってものした次の一文は、正しく中曽根大勲位を論じており、二肯、(いな)三肯もなしうるところと感じられる。

 なによりも、古谷氏の論からは、限りない哀悼の心がそこはかとなく漂っている。死者に鞭打つ如き態度が横行する世の中であるが、古谷氏は「功罪」と題しながらも中曽根大勲位を惜しみ惜しみ、その死を悲しみ悲しんでいることが十分伝わってくるではないか。