自主防衛

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 じゃ、とりとめもない感じで……。


× 自主防衛ったって、んなの、もう今更ムリだよ

○ アメリカにとって大事なものは、アメリカ自身だ。外国の面倒を見ているように見えるのは、実際はアメリカ自身のためである。日本の面倒を見ているように見えるが、違う。

○ 今や、アメリカにとっても日米安保なんて昔の呪い、「ビンのフタ」といわれた頃の祟りみたいなもの。

○ だから、日米安保なんて、できることならこんな面倒臭いもの、やめてしまいたい。日本の面倒なんか見たくない。人命と金の無駄だから。

○ 日本の防衛論議は、北朝鮮と尖閣の話題がない時は、その他の時間の全部が「辺野古と普天間」に終始しており、本質の論議ははっきり言って、ナイ。

○ アメリカにとっては辺野古なんて、「コイツら、ほんと、これしか言うことないんかい。もう知らん!勝手にどっちにでも決めれやボケ」ぐらいの話。

○ それが証拠に、昔の植民地で、長年面倒見てきたフィリピンだって、20何年か前、プイッと放り出してしまったでしょ?

○ アメリカにとって、日本は金と人命をかけるだけの値打ちは、あるかないかと言われれば、ある。というか、かつてはあった。反共の砦、いつでも金をせびりとることができる財布がわり。

○ だが、価値は減った。

○ 減ったとはいえ、まだ利用価値はある。日本の利用価値がタダで手に入るなら、アメリカにとってそれにこしたことはないのだ。

○ それより、中東が大変なので、そっちへ集中したい。はっきり言って、北朝鮮なんかどうだっていい。

○ アメリカにとって朝鮮半島と中国、日本なんて、「テメェら、テメェの面倒くらいテメェで見ろや、うるさいんじゃボケッ!」程度の話。

○ 「それより、オイ日本ッ!中東に兵隊出さんかいや!?」とアメリカ。いや、ムリですって。

○ だから、最大限アメリカ様のお手伝いはしますから、イザというときにはよろしくお願いしますわアメリカ様。法律だって変えましたしィ。……でもまあ、イザという時ァ、見捨てられるんでしょうね、ハッハッハ。

○ しかし、日本にとってはそうはいかない。アメリカの軍事力を借りずに、日本だけでどうにかしようとすると、兵力を増やさなくちゃいけないし、制度も整えないといけない。地獄の沙汰も金次第だが、その金が何十兆とかかる。

○ だから、なんとかして尖閣や南シナ海にアメリカを引きずり込みたい。もっとアメリカに面倒見てほしい。だが、アメリカは忙しい。

○ 日本がアメリカの軍事力をアテにしてンのは、結局、カネをケチりたいから。

○ だいたい、女性をヨイショしてもっと働け、専業主婦とは何事だ、みたいな風潮を煽ってるのは、結局のところ税収増やすためなんだぜ?政府や男社会に騙されて会社でコキ使われてる女性たちがかわいそうだ。

○ それはさておき、カネがもったいない。命よりカネ。防衛にカネ!?とんでもない!ウチの息子が死んじまうじゃないか!!……って感じですかね。

○ 幼稚園だって介護施設だって増やさなくっちゃならない。とてもじゃないけど、自衛隊の増強なんてカネのかかる話、できるはずもない。

○ アメリカが面倒見てくれないとなると、日本としては、どこか他所(よそ)の軍事力をあてこまなくちゃならない。

○ そんなときに、ふと「お隣」なんか見るでしょ。

○ 韓国は、あの小さな半島の更に半分の地域に、実に70万人もの地上兵力を詰め込んだ強力な軍事国家である。しかも徴兵制だから、動員をかければ兵役が済んで予備役になっている街の八百屋や魚屋のおっさん、セールスマンやら営業のニィちゃんたちまでが兵隊に変身し、150万人もの巨大兵力に膨れ上がる。

○ 日本としては韓国の強大な軍事力をアテにしないテはない。

○ しかし、日本と韓国は、感情的に仲が悪い。日本の安全を保障してくれなどと韓国に頼んだって、「アホかお前らは。それより従軍慰安婦の件はどうすんねん!?謝罪と賠償を要求汁ニダーッ!」と激昂されて話にもなんにもなりはしない。

○ 一方、日本の自主防衛なんて、フヌケでヘタレ、根性なしで男らしいところの一つもない甘えた日本人には、もはや無理。なんせ、兵隊なんて「憲法で禁止された苦役」ですからな。

○ 何?核武装!?アホかい。日本に罪と罰と業を背負うような根性あるかっつーの。

○ へ?憲法?……ああ、多分、憲法変えようが捨てようが、なんにも変わんないよ。だって、憲法が足かせになったりしてるわけじゃないんだから。憲法がどうとかなんてのは、隠れ蓑と言うか、言い訳みたいなモン。問題は憲法じゃなくて、日本が「ヘタレ国」で、日本人が根性なしだってこと。だから、憲法なんか改正したって無駄だよ。

 まあ、この先どうすんだ、って話ですわ。

マゾヒズムの快感と法悦境万歳

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 学者や反社会活動家には、中国人がまなじりを決して照準している、弾丸が込められ撃鉄の起こった機関銃の、照準線の槍ぶすまのただなかに立ち、

「私には平和憲法があります」

と叫んでもらいたいし、機関砲に弾丸が込められ、ミサイルのシーカーがすっかり冷やされて汗をかき、いつでも発射できるようになっているロシア戦闘機のそばへ行く要撃機に同乗して、

「私には平和憲法があります」

と絶叫してもらいたい。すばらしいことだ。間違いなく平和憲法が身を守ってくれるだろう。

 このすばらしい、命を守ってくれる憲法を、どのようなことがあろうと守らねばならない。どんな犠牲を、どんな痛みを受けようとも、命を捨ててでも、たとえ家族全員が虐殺されることがあっても、未来永劫、とこしなえにこの憲法を守ることこそ、人類の進歩のために日本人が負うべき責任だ。

 古今未曾有の平和主義とどこかの大学院の修士課程かなんかの研究机の上で研究しつくされた、勉強の得意な立派な人々の理論の完璧さには、感涙と尊敬を禁じ得ぬ。あまりの崇高さに、中卒の学歴しかない私は、感動のあまり、まばたきもできず硬直するばかりだ。なんとすばらしいことだろう。

 自分の体内を機関銃の折れ曲がった弾丸が引き裂き、鮮血が飛び散り、あるいはまたミサイルの弾頭の破片が自分の胸や腹や性器や頭蓋を粉砕していく狂気の痛みの中、平和主義をついに死ぬまで貫いた宗教的高揚感の絶頂に達して、喜びをもって、「これこそ献身のなせる究極の善意、平和の犠牲だ」と、法悦境も最高境地、感動をもって学者たちは死にゆくのであろう。立派なことだ。これほど立派なことはない。

 キリシタン狩りの地下牢の中で拷問される、フランシスコ・ザビエルの時代のころび伴天連すら、このような痛みの中に身は置かなかったであろう。

 耐えられないことに耐えようとする根性を持っているのだから、学者も反社会活動家も、素晴らしい人たちだ。心から、腹の底からの尊敬をささげたい。

 ぜひ、この崇高な行動をもって、全日本人、否、全地球、いいや、全宇宙に対して、平和主義の真髄を垂範してもらいたい。全宇宙どころか、全次元空間が感動することは絶対に間違いない。彼らが言うところの「悪魔の独裁総理大臣」も、その捨て身の愛に感動して主張を取り下げることは100パーセント確実だ。

 また、自分だけがそんなオーガズムみたいな変なものの中で興奮と幸福を得ることは快感の独占に過ぎるから、ぜひとも、自分の子、妻、兄弟姉妹、両親、友人にも、そのような絶叫的犠牲の狂気の苦痛から得られる気持ちよさを分かつとよいと思う。皆で一緒に五体を撃ち抜かれ、責めさいなまれて憲法のために魂を捧げるのだ。自分の家族をも捧げて憲法のために修道した立派な人として永久に尊敬され、列聖されて教祖にもなるであろう。

 かつて、亡くなる前の小野田少尉は演説に

「アフリカの原野で真っ赤な口を開けて咆哮するメスライオンの眼前1メートルで、『私には人権があります』と、どうぞ主張して貰いたい」

……と言ってのけたものだが、いまや、事態はすでにそれどころではなくなっている。そう、法悦境をいかにして得るかと言うことが今や喫緊の課題である。