一字詠「二」

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二致(にち)もなく桜を()めてゐたりけり
花と(ふみ)()きにし山をこそ不二(ふじ)
二羽ばかり親どこへやら()立鳥(だちどり)
(ふつ)()(きゅう)()(けん)厳しき祖父の指
岸への手(いち)()争ふ春の夢

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

花見と動画

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 今日は思いのほかよく晴れ、花が良かった。先週の週間天気予報では今日は雨との予報だったのだが、週が明けてみれば、少し花冷えの感じもありながら、青空の広がるよいお天気になった。

 自転車で花見に出かけることにした。座り込んで酒食するのも勿論悪くはないが、時勢柄、人の()(しゅう)するところで新型コロナウイルスを貰うのは()(ぴら)御免である。そこで、近くの親水公園など、桜の咲いているところをひたすら自転車で通過する、という花見を前々から考えていたのだ。

 加えて、自転車で走りながら、景色を動画に撮ったらどうだろうと着想していた。今までそういう、ただただ桜ばかりの動画と言うのは見たことがないから、やってみたら面白いだろうとも思ったのだ。前にそう思い付き、自転車にデジカメが固定できるような金具を取り付けてある。カメラの三脚などのネジは普通のISO規格の「ミリネジ」と違い、「ウィッテ」(『W』と冠されているものがそれだ)という米英の規格が使われている。このウィッテの中で「W 1/4」、つまりウィッテの4分の1インチというネジがカメラの三脚などに使われているネジである。これを自転車のハンドルに金具で取り付け、それで撮影するわけだ。

 実は先週これを決行したのだが、残念ながらまだそれほど花が咲いていなかった。今日はその撮り直し、リベンジということろである。

 埼玉県越谷市の、私の住まいのごく近所の「谷古田(やこた)()(はん)緑道」という公園からスタートする。ここは近所の人たちに親しまれている花見スポットである。

 次いで、この谷古田川が合流する「葛西用水」という江戸時代から続く大用水を南下し、東京外環自動車道の下をくぐって草加市に入る。ここからは延々2km以上も河畔の桜が続く。動画では4分40秒あたりからの景色がそれである。

 この桜並木は草加市から八潮市に入ったあたり、「伊草」というところで途切れるので、そこから進路を西へ変え、「綾瀬川」の川沿いに向かう。この綾瀬川の右岸は本当の旧日光街道の人道で、今「旧日光街道」と通称されているのはそのわきに並行する車が走る旧国道である。この草加市の旧日光街道沿いには風光の良い松原があり、また芭蕉の「奥の細道」の一日目の宿ということで、芭蕉ゆかりの地でもある。「甚左衛門堰」~「札場河岸公園」と公園内を通り抜け、綾瀬川沿いを今度は越谷市に向かって北上する。谷古宇橋を渡って左岸(東側)にある「まつばら綾瀬川公園」というところの中を通り抜ける。これが動画の13分35秒あたりからである。このあたりの桜は素晴らしい。

 再び東京外環道に近づくにつれ、綾瀬川の右岸(西側)に渡る。越谷市に入り、どんどん川沿いをさかのぼると東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)の鉄橋をくぐるあたりに来る。このあたりの桜が実に見事で、1km以上にわたり見事な樹勢の、枝が横広に張った太い桜樹で埋め尽くされている。動画では21分59秒あたりからである。

 地域では「4号バイパス」と呼んでいる新国道に突き当たるまでこの桜は続く。国道に出て、あとは帰宅するのだが、このコースでだいたい17kmほど、自転車でのんびり走れば2時間弱の行程である。少しマラソンなどに取り組んでいる人などで、15kmや20kmくらいを毎日走る人であれば、あまり信号もないので、よいトレーニングコースだと思う。

一字詠「鉄」

投稿日:
引鉄(ひきてつ)のなじかは痛き花の雨
たはむれの打鉄(うちがね)春に(ひうち)うつ
鉄脚も老ゆひと休み花ながら
恐ろしき鉄扇(てっせん)の師の春彼岸
鉄瓶の(たぎ)(かすみ)の庭古し

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

テーマ詠「戒厳令」

投稿日:
春雪や軍旗と手の字(かし)ぎ浮く
ひつそりと春燈管制下に()(そう)
微分音異国の軍楽隊に花
銃声に慣る笑ひには慣れぬ梅
むくつけき戦車尻目に春ショール

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

 なお、総評に次のように記しました。

 明治欽定憲法には天皇の大権の一つとして戒厳令が規定されていましたが、その時代をリアルに知る人はおそらく私も含めて「じたばた句会」にはいないと思われます。

 また、戒厳令下の外国で過ごしたことがある方もそう多くおられるとは思えないので、どうしても想像の句となることでしょう。
戒厳令に似たものとして、「緊急事態宣言」というものがありますが、これと戒厳令との違いは、「軍が行政や司法の権能を一時代行するか否か」です。

 このため、日本は現憲法下、戒厳令が存在しませんし、また例えばアメリカなどは、制度としては戒厳令はあっても、シビリアン・コントロールの原則により、戒厳令が宣せられることはまずありません。

 しかし、世界の多くの国では政府の機能喪失に備えて戒厳令の規定を持っています。したがって、「戒厳令」という言葉からは、それだけで軍の存在と政府の機能不全、またそこからくる不安や生活の苦労が強く感じられることになります。

 また、戒厳令が宣せられた国や都市は平和とは言えず、軍の存在は色濃いけれども、まだ戦争にはなっていない、これが戒厳令の一側面でもあります。

 この点で、今回のテーマは「戦争未満」かつ「非平和」の、両者の中間付近の、どうにもやりきれないところを表現することとなりますが、「戦争」との詠み分けは極めて難しいな、と感じました。

俳句と Google Lens

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 俳句は長年の私の楽しみだが、不得手な季語がある。それは「花」と「鳥」だ。実は私は多くの植物の名前を知らない。季節の花を見て「これは何の花だ」とパッと答えられないことが多い。

 鳥もそうだ。最近環境問題が少しずつではあるが改善され、さまざまな野鳥が街にも戻ってくるようになったことは誰しも認めるところだと思う。なのに私は、もう、見ても全然何の鳥かわからない。そういう育ち方をしてこなかったのである。

 しかし、私の両親などはさすがは戦前の生まれ、テレビなどのない頃に育っただけあって花鳥風月を友としており、その辺で見かける花鳥など、一瞥しただけで「これはナニ花」「あれはカニ鳥」と間髪をいれない。そんな親に育てられたのに私ときたらこの(てい)たらくである。

 俳句は「花鳥諷詠の文学」である、とは高浜虚子の定義だが、そんな花鳥諷詠を趣味としていて、肝心の「花鳥」に弱いとなると相当痛い。花や鳥には季語が多く、題材に事欠かないのだが、これに弱いということは、俳句の楽しみの大半を失っていると言っても過言ではない。

 そんなわけで、以前から「植物図鑑」「動物図鑑」などは俳句を詠む際にどうしても必須である。四六時中いつもいつも重くて(かさ)()る図鑑を持ち歩くわけにはいかないから、いきおい、外で見たものを即吟はできず、家に帰って図鑑を調べて、……という段取りになる。そうすると、その場で感じたそのままの感懐は薄れ、どうも「作った」臭の漂う俳句になってしまう。

 その点、ネットの植物図鑑には重宝していた。しかし、ネットの植物図鑑も、何を手掛かりに引けばよいかわからないこともままあり、結局わからない花になってしまうことも多かった。

今朝街で見た夾竹桃

 ところが、ここ数年で非常に重宝なものが出てきた。標記の「Google Lens」である。あらゆるものの名を答えてくれる。特に花には最強と言っていいのではないか。名前のわからない花があれば、とりあえずスマホで写真を撮り、「Lens」のボタンをタップすれば寸秒もおかず、例えば「(きょう)竹桃(ちくとう)」と答えてくれる。そう、私は夾竹桃の花の名も答えられぬ無粋漢なのだ。

 しかし、いかなこの Google Lens といえども、検出しやすい特徴に富む花のようなものには大なる威力を発揮するものの、同じ植物でも「木」には弱いようだ。名前のわからない木を撮って Google Lens にかけると、ずばり「木」と答えてきたりする。いや、あのな、「木」は(わか)っとるねん、木は。……正解ではあるけれども。

 そういう難点はなくはないものの、それはまあ、今後の進歩に期待するとして、なんにせよ、Google Lens は俳句を詠むのによい。

投稿日:
などて風(りょっ)(こん)に花散らすかな   佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

花吹雪

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(はな)吹雪(ふぶ)(ほり)ぽつねんと(うみ)()かな   佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

投稿日:
()(われ)()ゆる便(よすが)の花もがな   佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

花一杯

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 家内を誘い、花を見に行った。

 私の住まいの近所には「葛西用水」という用水が通っている。この用水に沿って「谷古田(やこた)河畔緑道」というささやかな園地が造られており、季節には桜が咲き誇るのだ。

 春の午後、よく晴れている。

 桜の他にも地域の人々が手入れをしているらしい様々な花卉(かき)(じゅ)がある。今の季節のことであるから、どれも盛りだ。椿(つばき)水仙(すいせん)鈴蘭(すずらん)酢漿草(かたばみ)、桃……。

 もとより混雑する場所ではないが、それでも例年ならば今の時季は花見気分を盛り上げるべく、近隣町内会の手で提灯などが吊るされ、弁当や酒肴を楽しむ人たちがシートを敷いたりテーブルを据えたりして思い思いに楽しんでいる姿が見られる。しかし、悪疫(あくえき)(しょう)(けつ)の折柄、いつもとは異なって人影も閑散(かんさん)とし、提灯もない。静かな緑道はリタイアしたらしい老人や中年の女など、齷齪(あくせく)しない種類の人達ばかりがゆっくりと歩いている。

 家内とのんびり桜を眺めた。

 帰り道、セブンイレブンで娘二人への甘味のお土産を買い、稲荷の古社((のぼり)()稲荷宮)へ立ち寄って(とな)えごとなどして帰宅。

花、緑、街

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 通勤途上、皇居の外濠沿いに数多く植わっている桜の一つにふと目をやると、ほんの数輪から十輪ほど、咲き始めている。咲いているのはその一樹だけだが、他の木も蕾を大きく膨らませて、今にも咲きそうになっている。

 建ち並ぶマンションの植栽には躑躅(つつじ)皐月(さつき)が多く植えられているが、躑躅に一、二輪ほど咲いているものがあり、皐月も気の早いものがぽつりと一輪、赤く咲きかけている。こうしたマンション周囲の植栽は幅広く長く作られていて、その延々とした緑の帯の中に赤い躑躅が開いた様子は、鮮烈な色のインキをそこに垂らしたようで印象に残った。「万緑叢中紅一点 動人春色不須多」という。まさしくそのように思えた朝だったが、実は「万緑」は、日本では夏の季語である。

 勤務先にある桃色で八重咲、早咲きの特殊な品種の桜は満開と言ってよい程だ。その樹に()(じろ)が来たのを見た人もあった。場所によってはほぼ満開の桜もある。

 東京は世界屈指の大都会で、コンクリートジャングルなどとも言われる。しかし冷静によく周りを見ると、都行政のよろしきを得てか緑化には注意がよく払われており、至る所入念に街路樹や植栽が施されている。私の住む埼玉の住宅密集地などよりよほど緑は豊かだ。

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