「経験値」?「値」なの?

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 「経験値を高める」という表現が嫌いである。この表現には、「経験」と言うものをナメ切ったふてぶてしい意識が潜んでいる。

 「経験」というものは、数字で表現したり測ったりできないような、貴重なものだ。それを、

「経験?……ケッ、爺ィはこれだからよ。何グラムとか何メートルとか何時間とかいう『値』だろ、そんなもの」

……と、バカにしているから、その感覚がこの「値」という一字に表れるのだ。

 経験を得るためになにかをしても、この「値」意識があるうちは、有用な経験は得られないだろう。実地に体験して、測ったりすることのできないものを身につけるという意識がないとだめだ。経験は「値」ではないのだ。値で測ることができるのは、それは経験ではない。ただの知識、情報、テスト勉強のたぐいである。

 値で測ることができるようなものを「経験」と言っているようなことだから、「あなたの職業は将来コンピュータにとってかわられ、無くなってしまいます」などという人をバカにした研究がまかり通るのである。