梅と死

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 2月の関東は天気が崩れると大雪になることが多いが、反面、晴れると真っ青な空が広がり、淑気(しゅっき)引き締まる気分の良い日もまた、多い。

 通勤路の植栽に沈丁花がある。臙脂(えんじ)色の濃かった蕾の群れが、次第に色薄く白くなり、ちらほらと咲き出している。

 住まいの近所の庭丹精なお宅では、梅が良く咲いている。

 私の住む埼玉県越谷市は、有名な宮内庁埼玉鴨場に隣接してこれもまた有名な梅園がある。300本もの梅が毎年見事な花を咲かせ、イベントも開かれるが、今年は猖獗を極めるコロナウイルスの為に中止なのだという。

 早春の気持ち浮き立つ今時分に外出するのは楽しいものだが、感染防止のため外出は控えるべしとの政府見解が出ている。やむを得ぬこととは言いながら、どうも面白くない。

 ますます猛威を振るい始めたこの悪性肺炎ウイルス、恐らく鎮静化などしないのではあるまいか。こうなってみると(むし)ろ、はしか、風疹、水疱瘡同様、免疫獲得のため、体力のあるうちに貰いに行っておいた方がまだましかも知れない。

 なあに、死になどすまい。

 だが、仮に死んだとして、だから何であろう。病を得て死ぬことは、殺されたり奇禍に遭って死ぬことに比べると、普通の人生であると言えないだろうか。

 と言って、今回の感染で亡くなった方を悼まないなどと、そんなことを言いたいのではない。心より哀悼を申し上げたいのだ。だからこそ上記の如き述べようにもなる。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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