魅力的だが、実売価格が3万5千円くらい、と聞くと、うーん、個人でいろいろ遊ぶんならRaspberry Piかなあ、と思うのだった。5千円くらいだもんな、ラズパイは。
OpenBlocks、という製品名を聞くと思い出が少し甦る。
15年くらい前にいた職場でのことだ。その職場には、某社の商用UNIX(SVR4.2)のサーバが1台、Linuxサーバが4台、同じく某社のSVR4.2エンジニアリングワークステーションが30台、PCが400台あり、これらが9個のセグメントに分けられたネットワークで接続されていた。今から20年以上前の構築当時、L3スイッチがまだなかったことから、9個のセグメントは9台のローカルルータで切られていた。そのローカルルータも同じく某社の製品で、実際にはCiscoのOEM品であった。1台ウン百万するというしろものだ。幹線は10BASE-5のイエローケーブルで張られていた。
私は主として商用UNIXのrootを担当していた。当時は、商用UNIXはまだそういう属人的な技能での管理がされていたのである。
運用をはじめて15年ほど経ったあたりで、これらのルータが一斉に壊れ始めた。修理予算はまったくない。上司はウロウロするばかりでまったくアテにならなかった。当時まだ同等の製品が存在したのだが、何しろ1台ウン百万のものが9台だ。上司は同等のものの調達にこだわり、交換にウン千万かかるので、「今から予算要求をして、予算が付くのが再来年なので、修理は再来年だな」とか、キチガイみたいな発言をしていた。再来年まで仕事ができんやないかい(笑)。
業者に見積もりさせると、これがまた、同等品でのリプレースしか提案してこず、バカ上司と同じことしか言わない。
そうしている間にも時間が過ぎ、しかも仕事はしなくちゃいけない。そこで、アホは放っておいてさっさと直してしまうことにした。
ネットワークの構成全部を変えるわけにはいかない。使えるのは消耗品購入用のわずかな経費だけだ。L3スイッチはまだ少し高価で、経費が足りなかった。で、当時既にあったこの「OpenBlocks」製品を9台購入し、iptablesを使ってローカルルータに仕立て、Ciscoを全部リプレースした。イーサが2個付いたマルチホームなので、激安ローカルルータを作ることができたのだ。ただ、スループットは40Mbpsくらいしか出なかったように記憶する。しかし、当時はそれで十分だった。15年前の10MbpsのCiscoに比べればそれでもおつりが来るくらい速かったのだから。しかも、なにしろ、10BASE-5だった幹線が100BASE-TXになり、トランシーバだのバンパイヤ・タップだのと言った修理コストの高いものからもおさらばすることができ、20万もする10BASEのダムハブが追放でき、9千円の100BASEのスイッチで置き換えることができたのである。
ネットワークは復旧し、事なきを得、性能向上も果たしたのだが、バカ上司は100分の1の値段で性能が4倍、部分によっては10倍以上に向上した、というのがどうしても理解できず、「佐藤がいらんことをして職場のネットワークを陳腐化させた」みたいなことを言って怒っていた。バカなので放置しておいた。
まあ、「OpenBlocks」というのは、私にとってそういう懐かしい製品である。