読書

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 引き続き60年前の古書、世界教養全集を読んでいる。第21巻のうち2書め、「山の人生」(柳田國男著)、早朝の往きの通勤電車の中、北千住と南千住の間のあたりで読み終わった。著者は前読書「海南小記」と同じ、日本民俗学の泰斗、柳田國男その人である。

 この書も一体何がテーマなのかわからないままに読みはじめたのだが、読んでみてなるほど、これは柳田國男一流の民俗学小論であることがわかった。すなわち、日本の各地に、誰某(だれそれ)が山に入って行って帰ってこなくなったとか、それが時折人前に姿を現すことがある、などの言い伝え、また或いは山男、山姥、(うぶ)()、巨人などの半ば神霊めいたものや神隠しなど、深山に対する畏敬が根底にあるとみられる伝承がある。これらは全国に様々な口碑などになって残っているが、うっすらとした輪郭に、なんとは言えない共通項の存在が感じられる。

 この書はそれらを概観しつつ、 “読書” の続きを読む