しかし、目的はそれであっても、テレビ嫌いの私まで、意外に各種テレビ番組を楽しむことができるようになった。なんとなれば、9日間にもわたり、選んだチャンネル4つ分を常時録画しておけるからだ。
それで、週末には自分が好きな番組を
今ほど、そんなささやかな楽しみに興じていたところ、録画リストに今週3月4日水曜日放映のNHK番組があった。「歴史秘話ヒストリア」のシリーズで、「薬師寺 千三百年の祈り 国宝東塔全面解体」という番組であった。
思わず見入った。
なぜかと言うに、先々週、私は亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」を読み終わったところだったからである。少しずつ読み進めつつある60年前の古書、平凡社の世界教養全集の第6巻に収められていたのだ。
全篇を通じて、じいんと染み入る様な日本大乗仏教
高田好胤師と言えば、誰もが知る、修学旅行の「奈良のおもろい坊さん」だ。もっとも、修学旅行で高田好胤師の話を生で聴いたことがあるのは私よりももっと上の世代であり、私の世代では師があの「おもろい坊さん」であったことを知っている者は少ないと思う。
大阪生まれの私は、子供の頃奈良に随分連れて行かれた。父の渋い趣味のためで、私にとって奈良への行楽は楽しいものであった。薬師寺や興福寺、東大寺は私には最も懐かしいところである。また、私の両親も薬師寺金堂再建の写経奉納をしていたので、そのことも覚えている。そんなこともあり、私はたまたま高田好胤師の名前や顔を知っている。
やや成長した10代後半の頃、と言って、それもかれこれ40年近く前になろうか、薬師寺門前を集団で訪れ、「薬師寺のおもろい坊さん」の話を皆で聞き、笑い転げたものだ。その時の引率者が講話に感心し、他日格別にお招きして講話をしていただいた。その導師はたしか、
さておき。
読経前、各宗ともに使う
とある。まさしく今日のことは、これに当たろうか。
読書とテレビ番組がたまたま一致したことは、思うところ実に深いものがある。