ターンバックルのネジはなぜウィッテ(W)規格ばっかりなのか

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 私は頭の鉢が意外に大きく、吊るし売りの帽子のサイズは大抵合わない。そのことでモヤモヤしていたところ、先日「ハットストレッチャ」という便利な器具を見つけ、愛用の帽子のサイズを自分の頭の鉢に合わせることができるようになったのは先日書いたとおりだ。実に気に入り、帽子もハットストレッチャも愛用していた。

 だが、後日談である。

 ハットストレッチャで引き延ばした帽子は、毎日被っていると汗などの浸潤と乾燥が交互に繰り返されるせいか、しばらくするとまた縮んでくるのである。それで、何日かに一回、帽子に霧など吹いて、また引き延ばし直すのである。

 それはそれでうまくいっていたのだが、毎回ギチギチと目いっぱいに引き延ばしていたら、ハットストレッチャに負荷がかかるせいか、真中についている引き延ばしジャッキのナットのネジ山がつぶれてしまった。

 潰れたのはナットだけで、オスネジのほうはなんともないようだ。こんなことでハットストレッチャ全部を買い直すのは勿体ない。何とかならないかと考えを巡らせた。

 ネジの片方は、普通のM8(8mm)のISOナットが合う。問題はもう片方で、ナットを回すことでそれぞれ反対方向に延びていくように造られているわけだから、こちらは逆ネジなのである。

 なんとかホームセンターに売っているものなどで修理できないか脳漿を絞っていて、考え当たったのが、トラックの荷締めなどに使う、ワイヤーや鎖などをネジで締め付ける、あの部材である。名前がなかなかわからなかったが、あれのことを「ターンバックル」というそうな。これは、メスネジの部分が必ず逆ネジと正ネジの組になっていなければならないから、用途にピッタリである。

 そういえば、このターンバックル、近くのホームセンターなどでも各種のサイズのものがいくらでも取り揃えられていたな、と思い当たる。

 これだ、とばかり、自転車に飛び乗り、近所のホームセンター「ケイヨーデイツー」へ行った。

 あるある、特大から極小まで、さまざまなターンバックルがある。目当てはネジの呼び径が「M8」、すなわち8mmのものだ。すぐに見つかった。

 念を入れて、自宅からM8のボルトを持ってきている。店頭のものと合うかどうか確かめるためだ。棚の札の記載の中に「M8」等と書かれているのを確認し、フックを外して自宅から持ってきたボルトを合わせてみる。

 あれ?

 合わない。店頭のターンバックルから外したフックのボルト部分と持参したM8のボルトを見比べると、確かに見た目には同じ太さに見えるのだが……。ハテ、これはもしや、と品札をよく見ると、「W 5/16」などと書かれている。あれれ、これは「ウィッテ」というイギリスの規格で、インチネジじゃないか。インチネジと言うと、いつぞやカメラの雲台の工夫をしたときに「W 1/4」というネジを使ったが、アレの仲間であって、日本で主流の「ISOネジ」、つまりミリ規格のものとは異なるのだ。

 気を取り直して棚を探す。ISOネジのターンバックルだって、これだけ品ぞろえがあるんだから、隅っこの方にあるだろう。

 だが、なかった。

 大抵のホームセンターの棚なんて、棚になければ在庫もないことなど知れ切っている。ケイヨーデイツーを出て、もう少し専門的な品揃えのあるホームセンター「ロイヤルホームセンター」へ向かった。

 ここにもなかった。あるのは「W」、インチ規格のターンバックルばかりである。

 もう1軒、最近旧国道4号線沿いに出来た専門店「コーナンPRO」へ行ってみた。しかしなかった。

 ……。ええっ、なんでターンバックルに限って全部「インチ」なのっ?

 帰宅して「モノタロウ」などで調べると、確かにミリネジのターンバックルは世の中にあることはあるが、よほど希少なものらしく、わずかな会社しか作っていないようだ。注文すれば勿論入手は可能だが、しかし、希少な製品であるせいだろう、ひとつだけで2千円~3千円くらいはする。2千円かそこらのハットストレッチャを直すのに、ひとつ2千円~3千円のターンバックルを買うなんて、アホのすることには違いない。

 かくなる上は、と考え付いたのが、「ターンバックルの自作」である。M8の普通のナットは、手許に何個かある。問題はM8の「逆ネジナット」である。だが、ターンバックルと違って、逆ネジのミリナットは100円とか200円の値段でAmazonで買える。安いものは10個入って361円である。

 これを購入し、別途3~4ミリくらいの番線を用意して10cm程度に切り、適宜に曲げ、焼きを入れる。溶接できればいいが、溶接機材は持っていないので、ガストーチで「ロウ付け」するのである。ロウ付けはかなり堅固に接合でき、人間の力を多少加えたくらいでははがれない。

 さて、どうやってやろうか、番線の余り物がどこかにタダであればいいのだが。

 それにしても、なんでターンバックルは「インチばっかり」なのだろう。不思議だ。誰か教えてください。


令和3年(2021)8月18日追記

 さらに後日談。「ロングナット」というものの中に、反対側半分が逆ネジになっているものがあるのを見つけた。イマオコーポレーションという会社の製品だ。見つけたのはモノタロウのサイトでだったが、Amazonマーケットプレイスにも同じ商品が出されていて、こちらは送料無料である。

 右に出しているAmazonのバナーでは、今日現在599円の値段が付いているが、私が購入したときは262円だった。もともとハットストレッチャのネジがつぶれてしまった遠因は、ターンバックル機構のボルト側は鉄製なのに、ナット側はアルミ製であったことにもある。その点、このロングナットは鉄製であり、ボルトに負けない。

 注文したM8の逆ネジナットは無駄になってしまったが、そのまま購入することにした。10個入りで361円は安かったが、送料380円は高い。キャンセルしようと思ったら、「キャンセルできません」などと言ってくる。「ネジのトミモリ」という商店だが、まあ、仕方がない。しかも8月14日の注文に対して21日の配達は遅い。ロングナットのほうは8月15日に注文して翌々日17日の配達だったことに比べると、どうも不満である。まあ、何かで使うこともあるだろう。

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