ほっつき歩き

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縄文―1万年の美の鼓動

 上野の国立博物館で特別展「縄文―1万年の美の鼓動」というのをやっていることを知った。電車の車内広告のポスターで知ったのだ。ポスターでは学校の教科書で何度も見たことのある火焔型縄文式土器がフィーチャーされている。

 面白そうなので行ってみた。多くの縄文式土器や土偶が集められ、何と言っても国宝の土偶・土器が6点集結していたが、これは初めての試みだそうだ。

 ポスターに載っていたあの有名な国宝「火焔型縄文式土器」や、これもまた有名な重要文化財「遮光器土偶」の実物もあった。

 かつて火焔型土器は考古学上の資料にすぎなかった。が、かの前衛芸術家・岡本太郎は、この火焔型土器の内包する芸術に感応した。岡本太郎が縄文式土器の芸術性を激賞したことから、以後縄文式土器の芸術性を鑑賞することが普及したのだそうである。

 なるほど、実際、間近にこれを見てみると、燃え盛るような躍動感が伝わってくる。教科書で見る限りは植木鉢程度の大きさなのかな、と思っていたが、実物はかなり大きいことも分かった。

 常設展も少し見て回った。

銀座「そば所 よし田」

 午後を過ぎても博物館でうろうろしていて、朝から何も食べていなかったので腹が減った。折から猛暑である。上野公園ではパキスタンの親善イベントが開かれていて、パキスタンの音楽やカレー料理などの出店があったが、この暑さではちょっと敬遠せざるを得なかった。

 思いついて銀座まで行き、有名な蕎麦舗「よし田」へ行ってみることにした。

 「木鉢會」のホームページでは、銀座すずらん通りにあると書かれているが、移転したらしく、この場所に行っても、ない。

 今の店舗は左の地図の場所にある。「銀座6-4-12 KNビル2階」だ。それと、実はもう1か所、このすぐ近所の「銀座7丁目5 銀座7丁目5−10 第2一越ビル 3F」にも分店があるから気を付けないといけない。

 ここの名物は「コロッケ蕎麦」だ。こう書くと、立ち食い蕎麦屋の安物を思い浮かべるかもしれないが、そうではない。「よし田」のコロッケは、この店独自のアレンジを施した独特の和食揚げ物なのだ。これは鶏肉を細かくたたき、鶏卵・山芋などと練り合わせて粉を付けて揚げたもので、パン粉は使われていない。食感は鳥のつみれ団子のようなもので、天つゆと山葵で食す。歯ごたえよく、噛むと油と鶏肉のうまみがゆっくりと味わえる。

 盛夏で、熱いコロッケ蕎麦はさすがに食べる気はしないが、もちろんこれはコロッケだけの「皿盛り」でも出してくれる。これをつつきながらの蕎麦前の一杯はこたえられない。

 盃一杯ほど酒の残っている頃合いに「もり」を一枚たのむ。旨い。

値段
コロッケ天皿 500円
日本酒 630円
もり 600円
合計 1730円

 満足して店を出る。値段はそんなに高くない。

KITTE

 帰り、東京駅で途中下車して、丸の内南口駅前の「KITTE」に寄る。

 4階の書店で立ち読みして、何も買わずに帰る。

ドラマ×マンガ 「戦争めし」

 これもまた電車の車内広告で知ったテレビ番組。

 録画して見ることにした。最近テレビよく見るなあ。

猛暑を漫歩

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 近所の家々の庭の百日紅(さるすべり)が文字通り(あか)い。桃色のもの、真っ赤なもの、珍しいのには青いのもある。

 このところ、気象庁によれば災害と言ってよい暑さだという。各地で気温が40℃を超すのは確かに尋常ではない。しかし百日紅にとっては生を謳歌すべき暑さのようで、どのお宅の百日紅も、内側からもりもりと膨れ上がるように咲いている。

 神田へ行き、気になっていた「オリーブ天ぷら 玉衣」という天婦羅屋に入ってみた。よく行く蕎麦の名店「室町砂場」の向かいに、穴子めしの専門店「玉ゐ」がある。先日そこへ入って舌鼓を打ったのだが、その時店頭に置かれていたショップカードでこの天婦羅屋を知ったのだ。系列店であるらしく、同じ「たまい」の店名である。

 定食と酒を一杯。まことに旨い。

 それから、銀座へでも行ってみるかと歩を進め、思いついて途中で有名な蕎麦屋「日本ばし 吉田」へ入ってみた。

 酒と焼海苔を頼んだのだが、海苔がグニャグニャに湿って反っており、残念だった。焙った跡はあったので、たかが焼海苔にずいぶん時間がかかるな、というほど待たされたところからして、さしずめ出すのに手間取り、厨房の湯気のあたるようなところに放っておかれていたのだろう。ま、有名店だから忙しいのだろうとは思う。文句を言っても仕方がない。「もり」を一枚。蕎麦については可も不可も特になし。

 諦念めいて飲み食いしていたら、隣に下駄履きの横柄な和服老人が座った。私の隣の奥の席にドカと座り、ふんぞり返って店員さんを試しでもするかのような嫌な声色で「大もり」とだけ一言。見ていて不愉快だった。ツイと立つと「手洗い」と吐き捨てるように言い、「階段を上がったところです」と丁寧に答える店員さんが気の毒になった。これだから老人は嫌いだ。口に出す言葉は名詞だけ。「大もり」「手洗い」て、お前は名詞しか言えんのかい。自分ちで女房に「フロ」「メシ」しか言ってねえんじゃねえか。自宅じゃねェんだよ馬鹿野郎。

 別に腹も立たない。そういう体力がもはや、ない。悄然、面白くもなく店を出る。

 ふと見上げると、「貨幣博物館は↑」と案内の矢印看板が出ている。日銀の博物館だ。前から見てみたかったところだ。

 前にこの近くに来たことがあって、入ろうとしたのだが、閉館時間がわりと早く、あと30分ほどしかないということで、その時はあきらめて帰ったのだ。

 今日はまだ3時になっていず、閉館は17時30分だという。まだ時間がある。フラリと入ってみた。

 小さな資料館なのだが、相当に見応えがあった。律令以前の「富本(ふほん)銭」から現代の1万円札まで、時代を追って日本の貨幣の歴史を見ることができる。元は田中啓文(けいぶん)と言う人が明治時代から収集を始めた私的コレクションの収蔵庫だったが、終戦直前、戦禍に遭うのを避けるためこれら膨大なコレクションを日銀に寄贈したのだという。

 閉館時間が迫ってきてもまだ見足りなかった。図録を買って帰る。

 帰りの電車で、妙に和装の若者が目立つな、と思った。帰宅して聞くと、今日は草加、足立、板橋、朝霞など、周辺のたくさんの自治体で花火大会があるという。次女も高校の友達と草加の花火を見に行ったらしい。

 夕暮れ、どれ、私も花火でも見てみるかな、と近所の陸橋まで散歩する。暑いが風が出ていて、幾分しのぎやすい。

 なるほど、4か所ほどから花火が揚がるのが見える。南部埼玉は高いところに登れば遮るもののない平地で、私の家の近所からでも富士山が望めるほどだ。関東平野の多くの花火大会が指呼の間に見える。

 昔はこんな風に半ズボンを履いて宵に出歩くと決まってひどく蚊に刺されたものだが、この歳になると血も蚊にとって不味(マズ)いらしく、ただのひとつも刺されない。痒みのない快適を楽しめばいいほどだが、逆になにやら悲哀めいてくるのはどうしたわけか。

飲み喰い

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 用もないのになんとなく秋葉原へ行き、磯丸水産へ入って刺身で一杯飲んだ。

 出てきてガード下を通ったらすし屋銀蔵が開いていたので、これも何となく入って寿司を食った。浅利汁に茶わん蒸しがついて980円は安い。ここでも菊正宗を1合飲んだ。

 秋葉原からは神田駅が見えるが、なんとなくそこまで行き、せっかく来たのだからと室町砂場へ入った。

 突き出しの蒟蒻(こんにゃく)酢味噌と、冷やし冬瓜でまた1合。

 それから、「もり」を1枚手繰(たぐ)った。

 疲れていたのか、3合程飲んだだけなのに酔っぱらってフラフラになった。

 帰ろうと思って山手線へ乗ったら寝込んでしまった。そのまま2周か3周、ぐるぐる回ってしまったのだったか。

 目を覚まし、秋葉原で日比谷線に乗り換え、そのまま何もせず帰宅。

 最近はあまり飲み喰いをしない私としては、大食してしまったな、と思う。

夏めく

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夏めくや品書(しながき)()へて蕎麦の(みせ)   佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

DVD・徘徊

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 十数年以上前に流行(はや)った漫画「のだめカンタービレ」を、ゴールデンウィークに全部一気に読んだ。面白かった。

 妻もゆっくりと読んでいる。妻はメディアミックスでないと面白くないらしく、ドラマのDVDをツタヤで借りてくるので、それも一緒に見ている。

 昨夜DVDの3巻・4巻を一緒に借りに行った。その時、この前Amazon Prime Videoで見ようと思ったのに見ることができなくなっていた杉浦日向子原作のアニメ「百日紅」を見てみようと思い、それも借りた。

 今日は日本ITストラテジスト協会関東支部の月例会があるのだが、今日のイベントは「商談会」である。立場上私は商談には参加できないので、参加してもどうにもならぬ。傍観していたところで人の役にも立たず、面白くもないから、欠席した。


 今日の昼めしは虎ノ門の大坂屋砂場でとった。通しもの三点盛で蕎麦前をゆっくりと飲み、牛蒡(ごぼう)のかき揚げの天せいろを手繰った。

 西新橋から環2通りへ出て、汐留へ行き、シオサイトの空中回廊を(そぞ)ろ歩く。ローマ風大理石彫刻のレプリカが飾られた「イタリア公園」などというのがあった。

 海が近い。薫風が袖口から入る。もう今週を最後に散るかな、という頃合いの花皐月があちこちの植栽で鮮やかに紅い。

 シオサイトの回廊を歩き終わると、突き当りに芝離宮がある。150円払って入ってみた。大きな池に微風がわたっている。広々と気持ちがよく、庭園の造形が渋い。ちょうど額紫陽花(がくあじさい)が青く咲いている。

 庭園を出て海に向かう通りを東へ歩いていくと、なんだかよくわからないが人だかりがしている。近づいて行ってみると、伊豆諸島の観光イベントをやっているようだった。

 くさやの干物などもあるようで、お土産に買いたかったが、妻と子供は嫌がるだろうなあ、とも思い、買わなかった。

 日の出埠頭までのろのろと歩き、水上バスで帰ることにしたが、気が向いたので反対向きのお台場向きへ乗った。

 今日は何か花火が上がるらしく、お台場の船着き場はあちこちに立ち入り制限がしてあって面白くなかった。すぐに浅草行きへ乗って引き返した。

 船の屋上で風にあたりながらヘッドフォンで音楽を聴いていると、吾妻橋のあたりだったか、船員が駆け上がってきて、大きな声で乗客に何かを指示した。私はヘッドフォンをかけていたので、何を言っているのかわからなかったのだが、立っていた乗客たちが皆てんでにしゃがみこんだ。私も驚いてしゃがんだ。今日は満潮が近くて川の水位が上がり、船の屋上がぎりぎり橋の下を通れるくらいだかららしい。実際、橋の底がしゃがんだ乗客たちの頭上をきわどくかすめ過ぎていき、「ゲゲッ、危ないじゃねえか!」と思うくらいであった。

 それが2回くらいあった。動画は多分、永代橋の下を通るところじゃないかと思う。

 だが、面白かった。

 浅草で降りて、浅草寺の二天門から仲見世通りへ入り、新仲見世をちょっと見た。神谷バーで電気ブランでも、と思って覗いてみたが、ものすごい混みっぷりで、いつも陣取る壁際のスタンドカウンターまでいっぱいだったので、やめてしまった。


 東武線で家に帰る。帰りに市立図書館の南部分室へ立ち寄り、本を2冊借りる。なんとなく手に取った文庫の古本、林望の「イギリスはおいしい」と辰巳芳子の「味覚日乗」。

 家でもう少し飲んでから晩御飯を食べた。それから、妻と一緒に昨日借りた「のだめカンタービレ」を見た。続けて「百日紅」を見たが、10分くらい見たところで眠くなり、そのまま朝まで眠ってしまった。

(そぞ)ろ歩きと飲み食い

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 今日は旧暦二月(ついたち)、散りかける梅も多く、東京では桜が開いたという。

 日本橋の室町砂場へ行こうとして、神田の駅のほうがよっぽど近いことに気づく。神田駅南口からなら徒歩たったの3分。

 スマホのコンパスの調子が悪く、しばらく方向を失い、新常盤橋のあたりまで(そぞ)ろ歩いていて、ほぼ散った桃も見た。

 春である。

 明日は彼岸の入り。

今日食べたもの

 室町砂場で菊正宗1合、湯葉、筍の土佐煮、盛蕎麦。

 駿河屋嘉兵衛で純米大吟醸三千盛(みちさかり)5勺、蛸と梅肉の塩辛。

 北千住駅ナカの「てんや」で月桂冠1合、天婦羅(たらの芽、穴子、海老、烏賊(いか)、蓮根、いんげん)

食べられなかったもの

 新越谷駅近く、サンシティ屋上の牡蠣小屋の牡蠣。東北復興支援だそうな。

蕎麦屋の梯子(ハシゴ)

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 旧友にして畏友のF君と、蕎麦屋の梯子(ハシゴ)をした。

 F君は関西へ単身赴任中であり、(たま)さか東京の自宅へ帰る際には、どうも東京らしいものを食べたくなるようで、いきおい「佐藤、蕎麦屋に行こう」ということになるのである。

 実のところ、いい蕎麦屋は年明けの初店(はつみせ)が遅く、多くの蕎麦屋が今年はだいたい1月6日土曜日からの営業だ。今日(1月4日)と言う日に開いている蕎麦屋はなさそうである。また、空いているかいないかも、座していては実のところはっきりしない。電話して確かめるにしても夜間となれば詮ないことで、またWebで見るにしても、老舗(しにせ)の、いい蕎麦屋に限ってWebサイトの更新がどうもいい加減なので仕様(しょう)がない。

 東京の藪・砂場・更科の御三家で、すぐにわかるところでは更科堀井がFacebookページの更新に熱心で、1月4日から開店しますとはっきり書いてある。そこでとりあえずF君とは麻布十番で待ち合わせということになった。

 晴れ上がる。青い空、良い天気、寒いことは寒いが、まことにいい日である。

 私は自宅の埼玉・越谷から、東武線・日比谷線・大江戸線と乗り継いで、エッチラオッチラ「総本家・更科堀井」へ向かったのだが、F君と落ち合う前、ついでに「永坂更科・布屋太兵衛」の方も覗いてみた。そうしたら、開店準備をしており、今日は店が開くことがわかった。それで、まず布屋太兵衛へ入ることにした。

 F君を待つ間、漫然と付近を歩いていたら、麻布十番に野口雨情の「赤い靴」(『♪赤い靴履いてた女の子』の歌い出し)のモデルになった女の子の記念像があることを知り、そこへなど行った。

 像の近くに記されている由来記などによると、この「きみちゃん」という女の子は、貧しい家から米国人宣教師の養女として貰われていき、その実母は娘が米国で幸せに暮らしているものとばかり思っていたという。ところがその実、女の子は麻布の孤児院で病死してしまっていたのである。悲しい物語である。

 うろつくうち、すぐ近所に、幕末の日米修好通商条約当時、最初の米国公使館となった寺があると知り、そこへ参詣してみた。善福寺と言い、遠く弘法大師空海の開山と伝わる。

 写真は往時の「勅使門」の再建であるという。

 F君と麻布十番駅で落ち合い、布屋太兵衛へ。

 布屋太兵衛ではぬる燗でお銚子を1本、名代(なだい)の御前蕎麦を1枚。

 それから更科堀井へ。

 焼き海苔、焼き味噌で「名倉山」のぬる燗を1本、2本。

 蕎麦は「太打ち」と「変わり打ち」をとって、これを二人で分ける。変わり打ちは「桜海老打ち」で、ほんのりと海老の香りがして旨い。

 更科堀井を出て、一応「麻布永坂・更科本店」の方にも足を延ばしてみたが、やはり営業は1月6日からで、開いてなかった。店の前で「梯子(ハシゴ)蕎麦記念写真」を撮った。

 F君と相談し、新橋まで行って見る。これはまあ、何か別の物でも飲み食いしよう、その前にチラッと日本橋近辺まで足をのばし、「虎ノ門・大坂屋砂場」の店構えでも見てからにしよう、というくらいの気持ちである。

 ところが、店の前まで行って見たら、1月4日でまだ17時前なのに、大坂屋砂場が開いていた。以前、ここは確か夜までの「通し営業」をしていなかったと思うのだが、どうやら変わったようで、おおっ、この機を()がすべからず、というわけで、すかさず入る。

 まずぬる燗を1本、それから「もり」を1枚。

 帰り、烏森(からすもり)神社に寄ってみたりなどする。

 その後、新橋駅周辺をうろつく。居酒屋1軒、焼き鳥屋1軒、ガード下の居酒屋にもう1軒入って、そろそろ二人とも呂律(ろれつ)が怪しくなり、22時ごろだったか、F君と別れた。

 明日は仕事だが、千鳥足で帰宅し、入浴、就寝。いやはや、手繰りも手繰ったり、飲みも飲んだり、というところである。

蕎麦屋の真似して一杯

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 女房子供が出かけて留守なので、自宅で一杯。

 乾蕎麦があったので、それを茹で、盛蕎麦を作る。葱がなかったから、薬味は梅肉(ばいにく)梅紫蘇(うめじそ)山葵(わさび)柚子胡椒(ゆずごしょう)を皿に盛る。

 升とコップに日本酒を溢れさせて、呑みつつ手繰る。

 幸せよのう。

天気もよく

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 梅雨の前触れか、このところ土日には天気がぐずつくことも多かったが、今日は久しぶりに真っ青な空が広がった。空気も澄み、涼しい朝である。

 ぶらりと散歩に出る。花皐月の花季ももう終わろうとしている。コーヒー屋で本を読んだりする。

 昼過ぎ、新橋に出かける。中央線秋葉原までは定期で行けるので、秋葉原から山手線で4駅だ。行き先は言わずと知れた「虎ノ門・大坂屋砂場」である。

 珍しく1階奥の席に通される。

 武原はん女の句であろうか、扇面色紙に「舞ふ人のはやも()寿の春なりし」とある。

 いつものように焼海苔で「澤乃井」を一合。今日はなんだか気分が良く、もう一合飲む。

 それから「もり」を手繰る。

 日比谷公園の方にブラブラ歩いて行って見ると、なんだか「ビール祭り」のようなことをしている。数えきれないくらい様々な銘柄のビールの露店が出ていて、老若男女が大きなグラスやジョッキで楽しんでいる。

 後で調べてみたら、「オクトーバーフェスト」という催しで、本場ドイツと提携して本格的にやっているようだ。

 私も交じって、青天白日の下、「ヴァイエンシュテファン」のピルスナーを一杯。

 公園北側にある元公園事務所の茶寮で結婚披露宴をしている新婚夫婦がいた。いい天気で、花嫁のドレスが青空に映えていて、美しかった。へえ、ここでこういうこともできるんだな、と知った。

 もう終わりかけではあったが、薔薇園の薔薇を眺めて帰る。

総本家 更科堀井

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 今日はひとつ「大エルミタージュ美術館展」を見てやろうと、六本木まで出てきた私である。

 さて、展覧会を見終わって、昼めしはどうしようかな、と思案する。もう14時ほどにもなろうとしている。

 こうなれば、六本木まで出てきたついでだ。やはり麻布十番へ行って、名代の「更科(さらしな)」を手繰(たぐ)るべきである。昼遅い蕎麦屋は空いていて、展覧会の図録をめくりながら一杯やるのにも都合がよい筈だ。

 「総本家 更科堀井」へ歩いていく。六本木ヒルズから麻布十番まで、10分とはかからない。

 「一人ですがかまいませんか」と有名店「更科堀井」の暖簾(のれん)を臆せず(めく)る。

 まずは蕎麦前に「純米・名倉山」の冷や一合と焼海苔。通しものの揚げ蕎麦を交々(こもごも)つまみつつ、ゆっくりと飲む。

 更科の総本家に来たからには名代の更科を手繰るのが本当なのだろうが、今日は気まぐれで、この店の一方の名物である「太打ち」を頼んでみた。

 断面が5ミリ四方はあろうかというごく太打ちの蕎麦で、歯応えがあり、そのため、一見少なめの見た目なのに満足のいく喰い応えがある。蕎麦(つゆ)がよくなじみ、旨い。

 微醺を帯び、秋葉原で少し買い物をして、上機嫌で帰宅した。