テーマ詠「故郷」

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(みささぎ)に雨降りしぶく今朝(けさ)の秋
故郷(ふるさと)もさぞかし暗き無月かな
花野へと老母(つえ)(がわ)りの車
(いしぶみ)(わずか)()るよ終戦日
()けば実家は空家蚯蚓(みみず)鳴く

佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #jtbt

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

終戦記念日

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 終戦記念日である。

 例年ならば靖国神社へ参拝に行くのだが、()(かん)()(えき)()(なか)のこととて、今年はとりやめ、家で南の方を遥拝し、幾百万の英霊やすかれと念じ、また戦没者の魂の平安を念じることとする。

 終戦記念日を終戦日、あるいは敗戦忌と呼び、そう書くかどうかは、その対話に関係する人にも書いている文脈にもよる。(かしこ)きあたりにおかせられて、政府を押し止め、異例の玉音を発せられ、敵の占領をゆるすにあたられては自らの命すら(かえりみ)られなかった仁慈のことを想えば、「敗戦忌」と書いて偏狭な悔しさを滲ませてよいかどうか。逆に、敗戦までの苦難、敗戦後のまさに「堪え難く忍び難き……」時代を思えば、そしてまた、いまだに米国への服属下にあって自主独立の国防など到底でき得ず、核を保有する諸国に取り囲まれて怯えながら暮らしていることを省みれば、「終戦記念日」とだけ書いて取り澄ましておればよいかどうか。

 そのようなことを思い、長時間考え込まざるを得ない私である。

旧七夕

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 今日は旧暦の七夕。明日は新暦の月遅れ盆、そして敗戦忌。

 生憎(あいにく)と雨の七夕である。

 旧盆の方は去年と違って今年は9月にはならず、新暦8月22日が旧暦七月十五日で、それほど新暦月遅れと違わない。当然ながら、旧盆の夜は、望月(ぼうげつ)である。

 俳句の季語に「盆の月」というのがあるが、こうして考えて来ると、旧盆は必ず満月であるから、煌々たる月明かりの下で踊ったわけである。名月、所謂「仲秋の名月」の1か月前ということになるが、そこになにやら「盆の月」と言う時の風趣が織り込まれているように思う。

前倒し靖国参拝~楠公(なんこう)

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 例年なら終戦日の8月15日に靖国神社に参拝するのだが、今年はどうも行けそうにない。そこで、終戦日間近の今日、参拝してきた。

IMG_4092 終戦記念日は、大鳥居から拝殿まで軽く2時間は並ぶが、さすがに今日来てるのは物好きな外国人くらいなもので、まことに神域にふさわしい静謐さだった。今年の終戦記念日は多分、閣僚の参拝がどうのこうので、いつもにもまして混雑するに決まっている。今日はそれを避けることができた。英霊やすらかにあれ、と、それのみを念じて参拝した。

IMG_4093 遊就館を拝観することにし、入ってみると、いつもは満席ばかりの茶寮「結」がすいている。カツカレーを注文すると「ルーは横濱カレーと海軍カレーどちらかからお選びいただけます」と言う。海軍カレーを選んだところ、「このカレーは明治時代軍発行の公式レシピに従って忠実に再現したものです」みたいな栞が一緒についてきた。なかなかうまかった。IMG_4094

 遊就館の特別展示は「軍人とともに歩みし軍属たち」というテーマだった。軍属とはいうまでもなく、事務官・文官・技官・従軍看護婦と言った、軍に奉職しているが軍人ではない人たちのことだ。先の大戦中、この軍属たちも多くが亡くなった。靖国神社には、特に看護婦の御祭神が多い。また、船員などの軍属であった御祭神が多く祀られている。

 遊就館はこれまでにも何度も拝観しているのだが、何度見ても涙を抑えるのに苦労する。今日も、涙を(こら)えて上辺(うわべ)は平静、しかし胸の底は慟哭である。これまでに何度も見た常設展も隅から隅まで、たっぷり3時間ぐらいかけて拝観した。

 今日はよく晴れていたが涼しい日だった。靖国神社を出て、皇居の北の丸公園、武道館のほうへ回ってみた。何か、学生弓道大会をやっており、袴・道着の楚々とした女の子たちが長い弓を持って大勢歩いている。科学技術館を回り、近代美術館のほうへ行って、そうだ、そういや近代美術館見たことないなあ、と思い、寄ってみたが、今日は別館の工芸館だけが開いているようだ。

IMG_4108 国立近代美術館・工芸館は、旧近衛師団司令部庁舎の煉瓦造りを使用している。今日は特別展「ナニデデキテルノ」というのをやっていたが、タイトルはさておき、館所蔵の選り抜きの工芸品を展示していて、こじんまりとした展示の割には大変見ごたえがあり、よい拾いものをした。これで210円は安い。

 美術館を出て、皇居周りを時計回りにだらだら歩いていく。いつもなら東御苑なども拝観できるところだが、今日は時間も遅く、閉まっている。

IMG_4124 そうだ、二重橋まで行って、大楠公(だいなんこう)像の記念写真でも撮ろうか、と思い、だらだら歩いた。この像を見に来るのなんて、それこそ35年ぶりというところで、10代の頃見たっきりだ。

 楠公(なんこう)の精神力にあやかりたいものだ。この私も、ひょっとすると定年前に「湊川(みなとがわ)」めいた無理なことを命じられるかもしれないし。その時、バカな要求にも楠公のように承詔必謹(しょうしょうひっきん)、粛々と突進できるかどうか、だな。IMG_4131

 東京駅ナカでなにか酒でも、とも思わなくもなかったが、今日はさっさと帰ることにする。新越谷駅のカルディ・コーヒーファームでフラスカーティ1本買って、家で一杯。IMG_4143