真田工場

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 軍事用3Dプリンタについて、一部ではだいぶ取り沙汰されているようだ。

 まあ、「飛びながらミサイル」というのは少々大袈裟で、そうする理由が合理的でないと思うが……。

 しかし、例えば航空機の整備用部品を、派遣先の現地基地でプリントして現場整備に使う、などは、十分アリかもしれない。いわゆる「IRAN(アイラン)」の高価さに辟易する現場へ(もたら)すなんらかのものがないとは言えないだろう。

 思い出すのが、名作アニメーション「宇宙戦艦ヤマト」の、あのシーンである。

https://www.youtube.com/watch?v=Tjy1-83RVvs&t=12m53s

 これはもう、先に挙げた記事の言う所そのまんまである。

 なんだか、世の中、ひたすら「宇宙戦艦ヤマト」の風景を目指して突き進んでいるような気もするな。アレで育った世代の人たちは、もう大概(たいがい)爺ィ世代なので、こうした、所謂(いわゆる)イノベーションには、それほど(くみ)しているとも思えないのではあるが……。

軍のイノベーションを阻むもの

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 新しい本をほとんど読まない私だが、この本は少し興味を覚えて読んでいる。

 この中で、「えっ、これ、日本のことじゃないの?」(笑)と思えるような記述があり、ははーん、名にしおう合理的近代軍であるところの米軍ですら、こういうことに悩むんだ、と思ったので、その部分を引用しておきたい。

第6章 紛争と戦争の未来の中の一節、「軍のイノベーションを阻むもの(p.329)」より

【引用ここから】

軍のイノベーションを阻むもの

 残念なことに、軍事請負業者に要求される煩雑な手続きが、こうした進展(佐藤注:先進のITやロボットを活用したRMA)の多くを阻害している。

 アメリカでは軍産複合体が、上記で説明した計画の一翼を担っている。現在配備されているロボットの多くは、DARPAが開発の陣頭指揮を執ってきたが、複合体は本質的にイノベーションの推進に適した体制ではない。DARPAですら、資金はわりあい潤沢だが、複雑な契約構造や、国防総省の官僚機構における力関係のせいで、やはりイノベーションを阻害されている。

 アメリカ軍は、無秩序でややこしい調達システムのせいで、自国の技術部門の強みである革新性を十分活用できず、その結果深刻な機会損失を被っているのだ。

 軍産複合体は改革を断行し、軍事機関や請負業者が、小規模な非公開企業や新興企業のように機動性に富んだ迅速な行動をとれるような体制を整えなければ、緊縮財政を前にして、業界全体が発展するどころか後退しかねない。

 軍もこの問題を重々認識している。シンガーは、私たちにこう説明してくれた。

「このどうしようもない構造からいかにして脱するかが、軍にとって大きな戦略的問題になっています」

 大型の国防案件が、予算超過とスケジュールの遅れから、プロトタイプの段階で棚上げされるのをよそ目に、今日の民生技術や商業製品は、記録的な早さで開発、製造、発売が進められている。

 統合戦術無線システム(JTRS)は、軍が開発を進めていた、インターネットに似た新しい無線通信ネットワークで、1997年に構想されたが、2012年に打ち切られ、調達部門だけが、現在は統合戦術ネットワーキングセンター(JTNC)と呼ばれる軍の機関に移管された。打ち切りが決まった時点で、数十億ドルが投じられていたが、まだ戦場に本格配備されていなかった。

「軍には、こんなやり方を許す余裕はもうありません」とシンガーは指摘する。

【引用ここまで】