コロナウイルスによる重症肺炎が中国を起点に蔓延、猖獗を極めつつある。
ところで、このコロナウイルスの「コロナ」とは何であるかというと、これは「王冠 Crown」のことを希臘語で「コロナ Corona」と言い、このウイルスの顕微鏡的所見がさながら王冠を上から見たような形状であるからだという。
- コロナウイルスとは(国立感染症研究所、令和2年(2020)01月10日(金)00時00分)
「ウィルスの王」と言ってみるとなんだか強そうである。
しかし、上のリンクにある科学的所見によれば、インフルエンザウイルスなどと同じく、遺伝情報が直接弱い膜に囲まれ、その外側に蛋白質の粒が王冠のように並んでいるそうだ。細かく言えば、インフルエンザウイルスの場合、外側膜は人の細胞膜の一部を盗み取ったものだそうだが、コロナウイルスの外側膜は「脂」である。
単細胞生物である細菌が、ウイルスと違って細胞膜に覆われていることを「卵」で例えると、これは「卵の殻」で柔らかな白身と黄身が守られているようなものである。他方、純粋遺伝情報のみを持つウイルスは「白身と黄身が宙に浮いて露出しているようなもの」である。但し、それでは瞬時に消滅してしまうので、「油膜で遺伝子を覆ってある」のである。卵のたとえで言うと、殻を取り去り、内側の白い卵膜だけにしたプヨプヨの卵のようなものである。
しかも、コロナウイルスの場合、その膜は「脂」に過ぎない。
石鹸による洗浄がウイルスに有効な理由はここにあるという。すなわち、石鹸の持つ単純だが強力で物理的な界面活性効果は、ウイルスの遺伝情報の外側を守る油膜の界面を壊して水に溶かし、ウイルスの構造を壊してしまうのだ。卵の中身が壊れてしまうように、ウイルス内部のRNAは外に出されると死ぬ。
我々一般人は強力な感染症から身を守る術とてはなく、国・自治体等関係当局の処置に待つ他はないが、せめては、科学的知識を渉猟し、その弱点を見極めて対応するより他にない。頻回、石鹸による洗浄を行うだけでも、手指等で目・鼻・口を触ることによる感染は相当防ぐことができるだろう。
「王冠ウイルス」と言えばなにやら強そうだが、石鹸で壊れる如き、むしろ「ビール瓶のふた(王冠)に似ている」と言ってやれば、多少は胸の不安も晴れる。