破船

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 吉村昭の「破船」を読み終わる。

 「羆嵐」より5年後、「破獄」の前の年の作品であるらしい。昭和57年(1982)2月の作品であるという。

 陰惨な物語なのだが、だが、なぜか朦朧とした明るさが根底に潜んでいるように感じられる。また明日がある、次がある、春が来る。只管(ひたすら)、生きる。このことだ。わき目もふらず、率直に生きることだ。

みよし

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 「(へさき)」という字は「(みよし)」とも()む、ということを右の本の84ページで知る。

 「水を押しわけるところ」つまり「水押(みお)し」がつづまって「みよし」というそうな。

 まだまだ、日本語の学習は果てしない。足らない。

知的経験のすすめ

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 実のところ、なぜこの古本を図書館でつい手に取ったのか、それがまったくの謎なのだが、これぞ我が意を得たり、というほどの読書だった。

 「知的経験」というから、中身はもっと勉強勉強した、読書自慢のようなことなのかというとさにあらずで、戦中戦後にかけての、開高健の少年時代の、濃密な「生」を通して、肉体の経験、手足に考えさせることを切々と説く内容である。

 今思い出したのだが、開高健の晩年のエッセイ「シブイ」をもう一度読んでみようとして開高健の並ぶ書架へ行ったがなく、なんとなく取ったのがこの本で、書名には覚えがあったが読んだことがなかったのでなんとなく借りた、というところだったか。

 ……なんにせよ、どっちもAmazonで買えば1円の古本なので、図書館で借りるより買った方が手軽、というような感じはあるが。