阿呆(アホ)のような(いと)おしい日

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 とても梅雨などとは思えないような青い空が広がり、涼しくはないにもせよ、なにやら明るい気持ちにもなろうという一日だった。

 駅ナカのスターバックスでコーヒーを飲む。行きつけの床屋「ET」へ行き、美しい店長さんと雑談などしつつ、髪の毛をうんと短く刈り込んで貰う。それから図書館へ行って借り出していた本を返し、ついでに机に座り込んで行政書士の教科書を読み(ふけ)る。昼14時にもなってから電車で街中へ出る。昼めしを食わなければならないのだけれど、つい「磯丸水産」なんてところへ入ってしまう。もうなんだかどうでもよくなってきて、399円の(まぐろ)の刺し盛と同じく399円の酒を注文する。税金入れても千円しないのだから、安いものだ。昼酒で酔っ払って、帰りの電車に乗る。暑い日だが、電車は冷房が効いていて涼しい。Bluetoothのヘッドフォンを着けてお気に入りの音楽など聴いていると睡魔が襲ってきて、つい眠り込んでしまう。ハッと気づくと南栗橋なんていう、日常縁のない駅に着いており、慌てて反対側ホームへ行って引き返す。

 そんな、言う人に言わせれば馬鹿野郎とでも言われかねない、まったく阿呆(アホ)のような(いと)おしい土曜日であった。

天気もよく

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 梅雨の前触れか、このところ土日には天気がぐずつくことも多かったが、今日は久しぶりに真っ青な空が広がった。空気も澄み、涼しい朝である。

 ぶらりと散歩に出る。花皐月の花季ももう終わろうとしている。コーヒー屋で本を読んだりする。

 昼過ぎ、新橋に出かける。中央線秋葉原までは定期で行けるので、秋葉原から山手線で4駅だ。行き先は言わずと知れた「虎ノ門・大坂屋砂場」である。

 珍しく1階奥の席に通される。

 武原はん女の句であろうか、扇面色紙に「舞ふ人のはやも()寿の春なりし」とある。

 いつものように焼海苔で「澤乃井」を一合。今日はなんだか気分が良く、もう一合飲む。

 それから「もり」を手繰る。

 日比谷公園の方にブラブラ歩いて行って見ると、なんだか「ビール祭り」のようなことをしている。数えきれないくらい様々な銘柄のビールの露店が出ていて、老若男女が大きなグラスやジョッキで楽しんでいる。

 後で調べてみたら、「オクトーバーフェスト」という催しで、本場ドイツと提携して本格的にやっているようだ。

 私も交じって、青天白日の下、「ヴァイエンシュテファン」のピルスナーを一杯。

 公園北側にある元公園事務所の茶寮で結婚披露宴をしている新婚夫婦がいた。いい天気で、花嫁のドレスが青空に映えていて、美しかった。へえ、ここでこういうこともできるんだな、と知った。

 もう終わりかけではあったが、薔薇園の薔薇を眺めて帰る。

一杯

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 よく晴れた。風薫る、と言うには少し早いが、初夏らしい初夏である。近所の旧家の柿若葉が照り照りと光る。

 酒を買ってきて冷蔵庫で冷やす。

 北大路魯山人の本2冊を図書館へ返しに行く。

 帰宅して早々と入浴してしまい、涼しい服装に着替えて、良く冷えたところを一杯。肴は昆布醤油。

総本家 更科堀井

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 今日はひとつ「大エルミタージュ美術館展」を見てやろうと、六本木まで出てきた私である。

 さて、展覧会を見終わって、昼めしはどうしようかな、と思案する。もう14時ほどにもなろうとしている。

 こうなれば、六本木まで出てきたついでだ。やはり麻布十番へ行って、名代の「更科(さらしな)」を手繰(たぐ)るべきである。昼遅い蕎麦屋は空いていて、展覧会の図録をめくりながら一杯やるのにも都合がよい筈だ。

 「総本家 更科堀井」へ歩いていく。六本木ヒルズから麻布十番まで、10分とはかからない。

 「一人ですがかまいませんか」と有名店「更科堀井」の暖簾(のれん)を臆せず(めく)る。

 まずは蕎麦前に「純米・名倉山」の冷や一合と焼海苔。通しものの揚げ蕎麦を交々(こもごも)つまみつつ、ゆっくりと飲む。

 更科の総本家に来たからには名代の更科を手繰るのが本当なのだろうが、今日は気まぐれで、この店の一方の名物である「太打ち」を頼んでみた。

 断面が5ミリ四方はあろうかというごく太打ちの蕎麦で、歯応えがあり、そのため、一見少なめの見た目なのに満足のいく喰い応えがある。蕎麦(つゆ)がよくなじみ、旨い。

 微醺を帯び、秋葉原で少し買い物をして、上機嫌で帰宅した。

肴を代えてもう一杯

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 肴を「昆布とろ」風の醤油昆布に代えて、もう2合。

 これは昆布を鋏で細かく切り、醤油をかけ回してよくかき混ぜるだけだ。気分で味醂や酒を加えるのも良い。かき混ぜてしばらくすると粘りが出てきて旨い。

図書館~蓮玉庵~不忍池(しのばずのいけ)

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蕎麦通・天婦羅通

 図書館へ本を読みに行く。この前から読みかけの「蕎麦通・天婦羅通」という戦前の本の復刻だ。

 最近珍しい本を読むことが多く、市立・県立の図書館にはないようなものに限って読みたくもなるもので、それで国会図書館へばかり行っていた。

 国会図書館には古今のあらゆる本があり、漫画や雑誌まで含めて全て読むことができる。だが、ただ一点の難は借り出しができないことだ。なので、文字の多い本を数日かけてじっくり読むと言う事ができない。

 この本、「蕎麦通・天婦羅通」は、先日たまたま市立図書館で見つけた。市立の図書館なので、この本は借り出すことができる。

 読み始めた時には拾い読みする積もりで、借り出す気はなかったのだが、面白いから全部読みたくなってしまい、結局、今日になって借り出した。

蓮玉庵

 こういう本を読んでいると本当に腹が減ってしまう。蕎麦の本だから蕎麦を手繰(たぐ)りたくなるのは自然の理屈だ。

 前々から気になっていて、だが入ったことのなかった、上野・池之端、仲町通り入り口に近い「蓮玉庵」へ行ってみることにした。

 上野・池之端と言うと「池之端藪蕎麦」に限ったくらいのものだったが、残念ながら先頃閉店してしまった。今は店も取り壊されて、すっかり更地だ。

 だがこの「蓮玉庵」も、なかなかどうして、江戸時代創業の有名店なのである。

 樋口一葉の日記や野村胡堂の作品などにも登場する古い蕎麦(みせ)だ。

 上野・池之端の仲町通りはピンサロなどの客引きが多くて閉口するが、そんな中、この蕎麦屋は貫禄のある古い店構えで、ひときわ目立つ。

 臆せず入ってみる。

 表の店構えは相当に古びているのだが、一歩店内に入ると、美しく調度されており、非常に清潔な店内である。壁の造り付け棚に蕎麦猪口(そばちょく)が飾られてあり、見飽きない。

 品書きはそれほど多くはない。酒の銘柄がいろいろ揃っているというわけでもない。だがそれだけに迷わず楽しめるのだ。

 酒をぬる燗で一合、肴に焼海苔をとる。

 焼海苔はシンプルにお皿に乗せて出してくる。通しものは煮豆だ。やさしく、かつ味わい濃く煮てあって、これは酒に良い。

 盃一杯ほど酒の残っている頃おい、蕎麦をたのむ。私は蕎麦屋に入ったら、いつもは大抵、「もり」や「せいろ」、あるいは「かけ」をたのむことにしているのだが、今日はこの店名代(なだい)の「古式せいろそば別打ち入り三枚重ね」というのをとってみた。

 1枚目と3枚目は新蕎麦風味の蒸篭(せいろ)蕎麦だ。基本に忠実な蕎麦で、旨い。

 2枚目に、季節ごとの変わり蕎麦が入っており、今の時季は「桜切り」である。写真の左側のものだ。馥郁と桜の香りがする。桜の花と葉が練り込んであるのだ。

 実に旨い。

 蕎麦(つゆ)は濃いが辛くなく、出汁(だし)が利き、変わり蕎麦の桜の風味にも絶妙に絡む。

 蕎麦湯は銅の薬缶(やかん)にたっぷりと入ってくる。

酒 一合 700円
焼海苔 400円
古式せいろそば別打ち入り三枚重ね 1000円
合計 2100円

 本当に東京の蕎麦屋らしい蕎麦屋で、のんびりと飲みかつ手繰(たぐ)ることができ、満足した。

不忍池(しのばずのいけ)をうろつく

 この前まで不忍池の周りは工事中で、東京オリンピックや外国人観光客の誘致を狙ったものか、舗装などを相当直したようだ。

 今日は工事が完成していて、沢山の人で賑わっていた。

 桜は七分咲きというところだが、折()しく雨がぱらついて寒い。ところが、気も(そぞ)ろというところなのだろうか、もう敷物を拡げて、賑やかに花見宴を繰り広げている人たちも多くおり、本当に花見が好きだなあ、と感心してしまった。

弁天参詣

 折角だから弁天に詣でる。

 布施をして、「融通守銭」というのを頂き、お香も寄進する。

 花見の時季を当て込んでか、相当数の露店が出ていて、美味しそうな匂いをふりまきつつ、焼いたり煮たり、声を枯らして客を呼び込んでいる。昔の風景と違うんだろうな、と思うのは「ケバブ」の店が何店かあることだ。それに、縁日などを見物に出かけていつも思うことだが、寺の境内で肉類の露店、豚焼きや焼き鳥などがあるのも面白い。これは関東の特色だろうか。

 弁天堂の参詣列にヒジャブを被ったイスラム教徒が並び、手を合わせている。……いや、コッチはいいんですがね。正月に皇居の一般参賀に行った時にも思ったことだが、あなたがた、イスラムのバチが当たるんじゃないですかと、他人事ながら心配してしまう。

下町風俗資料館

 弁天島からボート乗り場に隣り合う堤を歩いて行って、池之端の方に戻り、ふと思いついて「下町風俗資料館」へ入ってみる。

 昔の長屋の暮らしが再現されており、座敷へ入ってみることもでき、大変面白かった。

 微醺(びくん)を帯びて帰宅する。

 小雨の桜もいいものだな、と思った。

皇居の周りは七分咲き~室町砂場・赤坂店~東急ハンズ

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 仕事が早く引けたので、皇居の西側、千鳥ヶ淵あたりから半蔵門、最高裁あたりまで、桜など見に行く。折から天気は良くなかったが、そこそこ咲いている。椿も美しい。国立劇場の前の桜は満開。

 そのまま歩いて赤坂へ行き、室町砂場・赤坂店で一杯。

 帰り途、北千住の東急ハンズへ寄り、五勺の蛇の目猪口(じゃのめじょく)を買う。200円。そいつで晩酌。

上野藪蕎麦

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 承前、図書館で蕎麦の本など読んでいたら、俄然(がぜん)蕎麦を手繰(たぐ)り込みたくなるのである。

 近所の蕎麦でもいいが、せっかく駅前にいる。私の住む越谷から上野までは電車で一本、30分ほどである。上野の藪蕎麦にでも行って見よう。

 菊正宗を焼海苔で一合飲んで、それからのんびりと「せいろ」を手繰る。

 ふと思いついて、名店・池之端藪蕎麦の跡地はどうなったかなと思い、行って見た。

 すっかり更地になってしまっている。

 不忍池(しのばずのいけ)のほとりを歩いて帰ろうと思っていたら、なにか大規模な再開発工事中で、立ち入りできなかった。枯れ蓮の池に百合鴎(ゆりかもめ)の羽づくろいが眼を惹いた。