2の(べき)乗漫話

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 このエントリの話は、別のエントリで、少し脚色して、別の話にして書いたことがある。下のリンクの通りだ。

 今回書くのは、上リンクのエントリの元になった話である。

先祖の数とビット数

 ある日、ある時、ある場所で、ある人が次のような話をした。 “2の(べき)乗漫話” の続きを読む

映画「アルキメデスの大戦」

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 今日は話題の映画「アルキメデスの大戦」を観に行った。

 劇中で、主人公が映画の核心ともなる数式を得るシーンがある。近似式で、軍艦を建造するために必要な鉄の単位量あたりの経費を数理モデルにあてはめたものだ。

 映画のストーリーはさっさと進むので、主人公が素早く黒板に書き出す数式をいちいち見ている暇はなく、細部はよくわからなかった。だが、主人公が紙や黒板にグラフを描き出すシーンがあり、ふとそれに注意を惹かれた。

 そのグラフは「ある一定のところまでは鉄の単位量当たりの経費は増えていくが、ある一定量を超えると工作が単純となるため、単位量当たりの経費が漸減していく」というものだ。映画では一瞬だけ画面に出る。

 これが、IT技術者が古典的な工数モデルとして慣れ親しんだ「Putnam(パトナム)モデル」と非常によく似ていた。

 Putnamモデルというのは次のようなものだ。

\cfrac{dEt}{dt}=\cfrac{E}{t^2d}t \cdot exp(-\cfrac{t^2}{2t^2d})

但し

E>0,td>1
Et: 某tまでの累積工数
E: 総工数
td: \cfrac{dEt}{dt}が最大となる時刻t

 このモデルをグラフにとると次のようになる。

 このPutnamモデルを積分すると、「S字成長曲線」に似ることもよく知られるところだ。逆に言うと、S字モデルを微分するとPutnamモデルに似た曲線になるのである。

 工数はそのまま金額に比例するから、映画のシーンを見ていて「おっ、これは」と感じた。

 帰宅してから、映画のサイトや他の方のレビュー記事などを見ると、主人公が黒板に書き出す数式は実数の定数の他は1個の説明変数があるだけのシンプルなもので、自然対数が現れる「レイリー分布曲線」を使用したPutnamモデルとは違うことがわかり、ちょっと肩透かしを喰った気になった。

 なんにせよ面白い映画で、いろいろと考えさせられるところ大であった。

時事雑感その他

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社民党永田町落ち

 社民党本部、資金繰りが苦しくて家賃が払えず、永田町から落っこちるという。

 以前はたしか、国会図書館の最高裁判所よりの辺りに立派な看板が上がっていたけど、最近そういや見ないな、どうなったんだっけ、と思っていたら知らない間に首相官邸の裏のあたりへ引っ越していたようだ。

 まあ、そりゃあ、多くの人の支持を得ていない、ってことなんだわ、やっぱり。

 現状の断面だけでなく、これまでにやらかしてきたいろんなことのツケでしょうなア。ここ数年、言う事なすことムチャクチャだったんだもの。

 昔の社会党は立派だったよ、だって、下のようなこともありましたよ、戦後すぐの頃は。

 これ、共産党も旧社会党も含んで、全会一致ですからね。そういう懐ってものが、昔の社会党にはあったんだよな。

 絡んで言うと、先日私はこういうアンケートをした。

 このアンケートに回答した人のコメントを見ていくと、先日の稲田防衛大臣の靖国神社参拝に文句を言ってるアホがいて、その論拠が「東條英機みたいな犯罪人が祀られているようなところへ参拝に行くのが正しいのか!?歴史の勉強が足らん!」というようなことなんだけど、そういう連中って、こんな全会一致の赦免決議、つまり、「日本国内に戦犯なんかいない」、もっと言うなら、「靖国神社に戦犯なんか祀られていない、百歩譲って祀られているとしても、全員、国民一致で赦免されている人たちだ」ということを全然知らないんだよ。アンタらのほうが全然勉強が足りないよ。

似非数学「1=2」
b=a\\a+b=2a\\a-b=2a-2b\\(a-b)=2(a-b)\\ \therefore1=2

 何年か前に流行ったものだが、\TeXで浄書しておいたら面白いかな、と。

5 ÷ 4 = 1 余り1
3 ÷ 2 = 1 余り1
5 ÷ 4 = 3 ÷ 2
5 ÷ 4 = 6 ÷ 4
5 = 6
∴1 = 2

 ……なんてことをしているうち、こういうのもあることを知った。

ゲート

 潘基文(ばんきぶん)は大統領選立候補を取りやめたという。

 まあ、隣国の事だから、どうだっていいっちゃあ、どうだっていいんだが、一番「マシ」なおっさんだったからなあ……。

 そんなことで、韓国がらみのニュースに見入っていたら、崔順実(さいじゅんじつ)の一連の件の事を「崔順実(최순실)ゲート(게이트)」などというそうな。

 そういえば、汚職・疑獄のことを「なになにゲート」と言うよな、「ゲート」って言葉には何か汚職って意味があるのかな、と思って調べてみたら、もともとそんな意味はないけれども、「ウォーターゲート事件」以降、これをもじって「なになにゲート」と言うようになり、ついには「ゲート」にはそういう意味が込められ、中国語など「门(門)(Gate・Mén)」の一字で汚職・疑獄の意味も表すようにすらなってしまったのだという。

 そこから興味を覚えて、「ウォーターゲート事件って、どんなんだったっけ」と調べてみると、なんか、笑っちゃうぐらい「雑なスパイ事件」で、ニクソン大統領はあんな雑な連中の雑な仕事で任期途中で退任する破目になってしまったのだ。これだけでも前代未聞だが、国政を継承すべき副大統領が、一連の疑惑進行中にまったく別のケチな収賄事件で退任してしまっていた。その副大統領職を継承していた下院総務のフォード氏がやむなく繰り上がりで大統領を継承したが、これは「選挙ヌキで大統領になったオッサン」という、これまた前代未聞の事態になってしまったのだった。

 私は当時小学校1年生だったので、ベトナム戦争がらみの報道や、ニクソン大統領の名、ウォーターゲート事件という言葉そのものはテレビから流れてきていたし、私は大人の話に首を突っ込む変な子供だったから覚えているが、内容までは詳しく知らなかった。

レン砲

 何のことかと思ったら、蓮舫(ぶし)のようなことだそうな。

 「女による女いじめ」の様相で、結局不人気を招いているそうだ。カッカッカ……。

今度はまた一体、何を始める気なんじゃい

 この人はたしか、十年以上も前にイラクで他の人たちと3人でとっつかまって、身代金で釈放してもらって、スイーツ食ってうまいうまい言ってた活動家じゃなかったか。今度はまた、何を始めようってんだい……。

トランプ

 「嘘ニュースだ!」とか「オルタネイティブ・ファクト」とか、もう、笑っちゃうぜ。面白いからもっとやれ(笑)。

 あと、「トランプホテル」、オモロかった。

読売、最近右翼だなあ

 この前、読売の「もっと原発増設しろ」という社説にもオイオイ大丈夫かい、とたまげたが、今度もたまげた。

 軍事研究忌避論が、かえって科学者を不自由にすることにならないか、という角度の論なのだが、

 「そんなもん、軍事研究か人殺しかなんか知らんけど、どうでもエエから自由に研究させたれや」

……と言っているように見えるのであった。そりゃま、単純に言えばそうですわな。

 私は昔、読売を長いこと取っていたこともあるのだが、たしか20年くらい前だったか、妙に左翼臭いことを書くようになった時期があって、嫌になって取るのをやめたのだ。カネを払って腹を立てることほど馬鹿々々しいことはない。

 その後産経をとったが、これはなんだか、逆に右翼臭がわざとらしいからやめてしまった。

 最近まで読売はどうも左翼臭がしていてイヤだったのだが、なんだか、少しづつこういう具合になってきたなあ。

松本伊代と早見優ワロタ
上記事から引用

 京都市内のJR山陰線の線路内に無許可で立ち入ったとして、京都府警右京署は10日、鉄道営業法違反の疑いで、いずれもタレントの松本伊代さん(51)と早見優さん(50)を書類送検した。

 送検容疑は1月13日午後1時すぎ、京都市右京区嵯峨野々宮町のJR山陰線の線路内に無断で立ち入った疑い。

 松本さんは1月14日付の自身のブログで、早見さんと一緒に線路上を歩いている写真を投稿。「その瞬間踏切が鳴り、慌てて逃げる2人」などと説明していた。線路立ち入りに批判が集まったため、翌日のブログでは「お騒がせをいたしまして大変申し訳ございません」と謝罪し、記事は削除されている。

 おいおいおいおい、アラフィフのオバハン二人で何やっとんねん。歳を考えや~?(笑)。ま、他愛ないこっちゃな。

言葉
デタント

 ウォーターゲート事件の文脈に現れてくる言葉に「米ソデタント」なんてのがある。子供の頃、米ソデタントというのはよく出てきていた言葉だと思う。

 この言葉、今は使われていない。デタントというのは緊張緩和の事で、フランス語(détente)なのだそうな。かつては国際関係がたどるいろいろな「相」をパターン化して捉えたもので、その「相」の一つがデタントだ。しかし、欧米列強による国際社会支配システムが崩壊した今は、そういうパターン化した捉え方は古典的な概念になってしまい、使われていないそうな。

圧巻

 圧巻、というと見ごたえのあるスゴいモノ、というような使い方をしがちだが、違うんだそうな。昔中国の科挙で、答案を積んで提出するにあたり、最も優れた部分を一番上に載せるので、それが他の一般の部分を上から「圧している」ことから、「一番いいところ」のことを「圧巻」というようになったのだそうだ。

 だから、例えば芝居なんかを見ていて、役者が大見得を切り「ナリコマ屋ーッ!」と声がかかるような部分のことを指して「やっぱり勧進帳じゃ安宅の関が圧巻だねえ」というのは正しいが、「今回のオリンピックは圧巻だったねえ」と言うのは間違いである。

重商主義・重農主義

 国の歴史的な変化に関して、例えば、農業をしていた国が商業や経済に軸足を移して発展していく、というような「なんとなく」の理解でいると、重農→重商、という順序であるような気がするが、ヨーロッパでは重農主義の方が後で出てきた新しい形だそうである。

 つまり、商業でヨーロッパの諸王は富を得て栄えたが、その下の貴族というのは結局「地主さん」なので、ちっとも栄えなかった。ところが、フランスでは貴族中の貴族が王で、王は貴族に支えられていたことから、貴族が得をするように、つまり貴族に年貢を納めさせるための農業を重視し、それによって王自身も更なる富を得る構造を作った、という順序だ。「重商→重農」の順序なのだそうである。

(ひそみ)(なら)

 「ひそみにならう」と、つい口から出てしまいがちだが、これは謙遜して言うものである。

 故事成語としては、アンニュイ美人がちょっと顔をしかめて(眉を(ひそ)めて)歩いているのが美しかったんで、それを見たブス女が真似して((なら)って)顔をしかめて歩いたが、余計に不細工になった、という例話から、意味もヘチマもなくなんでもかんでも闇雲に真似することを「顰に倣う」と、第一義としては言う。

 これを謙遜の意味で使うというのは、「いやあ、私如き、意味も解らず真似をしているだけでして、いやいや」というような気持ちを込めて、「いえいえ、私の書道など、先生の顰に倣っているだけのものなんでして」というように使うのである。

ロカボ

 「ボカロ」、すなわち「ボーカロイド」の間違いかしらん、と思ったが、「糖質制限ダイエット」「低糖質ダイエット」のことを「ロー・カーボ・ダイエット」とも言うのだそうで、これを略して「ロカボ」なのだそうな。ははあ、痩せますか。そうですか。

セキュリティ機能要件・同じく保証要件

 恥ずかしい話ですが、セキュリティの「機能要件」と「保証要件」っていうのを、自分とこの職場のローカル用語やローカルルールだとずっと思い込んでました。

 JIS X 5070・ISO/IEC15408に定義づけられたれっきとした標準用語であることを、つい先日知りました。

 因みに、JIS X 5070-1では、「4 略語」の項に、

SAR セキュリティ保証要件(Security Assurance Requirement)
SFR セキュリティ機能要件(Security Functional Requirement)

……と記載されている。これはいわゆる「共通標準 Common Criteria」用語、とでも言うべきものだ。

 う~ん、まだまだ修行が足りんのう(笑)。

スプライン関数作るのに

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 今まで何で気づかなかったんだろう、というくらいアホな話だが、ちょっとスプライン関数を使う用事があり、エクセルのソルバーでスプライン関数作ったら、ほんと、アホみたいに簡単にできてしまい、なんで今までコレ使わなかったんだろうと、ちょっと悔しい。

 今まで方程式を解いたりして作っていたので、時間がかかっていたのがアホのようだ。

 ……と思ったが、何で今までやらなかったんだろう、ったって、スプライン関数を最後に使ったのって20年くらい前で、その頃エクセルにソルバーなんてついてなかった。そりゃ使わんわな。

 私物のエクセルは持ってないので、自宅ではもっぱらGoogleドライブのスプレッドシートなどを使っている。以前はGoogleスプレッドシートにも標準でソルバーがついていたのだが、今のバージョンにはついてない。そのかわり、第三者がアドオンを提供しているようだ。

  •  Solver(Google スプレッドシートのアドオン)

 しかし、アドオンしようとすると、なんだかいろいろとアクセス許可を求めてくるのが鬱陶しく、なんか、あんまり使おうという気にならんな。……というか、自宅で数理計画法とかスプライン関数なんかになんの用事があるんじゃ、というツッコミはナシの方向でお願いします(笑)。

 ……Rにソルバーってついてたっけ。うん。自宅で使うんならソッチのほうがいいかもな。

欠席者と(くじ)

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 次女の中学校の入学式に出た。懇意にさせていただいている方がPTA会長をしていらっしゃるので、なにか参列する気持ちもいつもより粛然とするのであった。

 入学式後、PTAの役員・係の(くじ)引きなどもある。

 そのことで、ふと思い出したことがある。数年前、長女が中学2年生くらいだった頃の、クラスのPTAの係を選出する籤引きでのことだ。

 PTAのクラスの係の籤引きは、たとえ欠席者があっても、代理がその人の分も籤を引き、当たればそれを伝えることになっている。平等に役を割り当て、いわばズル休みを防ぐ効果もあって、文句の出ようのないところだ。

 さて、その日は、全部で30人の保護者のうち、3人の欠席者があった。出席している保護者が、30本の籤を順番に引き始めた。役員は3人決めることになっていて、つまり「当たり」籤は3本だ。たいてい、15、6人ほども引く頃には、1人か2人は当たり、籤の終盤になると、全員が引き終わる前に3人の役員が決まるのが普通だろう。

 ところが、その日はどうしたことであったろう。

 15人ほどが引いても一本も当たりが出ないのには、残りの人たちも既に引いた人たちも、「面白いわね」「なかなか白熱してまいりましたな、これは」などと冗談のひとつも飛ばして盛り上がる余裕があった。

 しかし、18人が引き終わり、20人が引き終わる頃には、やや会場がざわつき始めた。「ちょっと、これ、当たり籤は本当に入っていますか?」という質問も、わりあいに真面目な調子で出始める。「ええ、先ほど、絶対に間違いなく入れましたよ、皆さんも見ておられたはずです」と、籤を作成した人が言う。

 ついに、25人。引いた人が「ハズレ!」と言ったときの、一同の驚きの声たるや!。26人!またもやハズレ!もっと大きな声が上がる。

 そして、ついに27人が引き終わってしまった。残りは3人の欠席者の代理引きだけだ。果たして、箱に残った三つの籤は全部PTAの係に大当たり。欠席者3人がPTAの係ということになってしまったのである。

 保護者たちは欠席している人にこれを伝えるのに、「いないのをいいことに、面倒を押し付けたのではないか?」と思われはすまいかと内心穏やかでなかったが、まあ、衆人環視のうちに行われた籤引きのこと、なんの不正もなかったことは全員が保証しうるので、そこはなんとかなったようだ。

 そして、保護者たちは、「欠席者3人のために残された最後3つの籤が当たる」ということが、一体どれほどの偶然によるものか、天の配剤を思って、だいぶしばらくの間、これを噂話にも茶飲み話の種にもしたものである。

 さてこの話は、まあ、「順列組合せ」の算数の問題として扱いうる。

_n C _k = \dfrac{n!}{k!(n-k)!}

…というアレだ。

 これを書き出して遊んでみる。写真のような計算になると思う。階乗の計算が面倒だが、分母分子に同じ数字が多いから、わりあい簡単な計算である。