千一夜物語(6)~(7)

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 岩波文庫の「完訳 千一夜物語」全13巻。通勤電車内でゆっくりゆっくり読書中である。

 第6巻を読み終わり、第7巻に入った。

 第6巻は短い話が多かった。暴王の嗜虐を思いとどまらせ続けるさすがのシャハラザードであるが、少しばかり王の御感(ぎょかん)を損じかけるところもあって、ハラハラさせられた。

その大空も人のごと 非力のままにめぐれるを

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 「ルバイヤート」というアラビアの詩集を愛している。オマル・ハイヤームという四行詩の極北が詠んだものだ。岩波から文庫で出ているほか、著作権切れのため青空文庫でも読める。

 岩波のものは口語訳だが、矢野峰人という文学者によって格調高い文語訳が出ている。その一節に……

人のはらばひ生き死ぬる
上なる空は伏せし碗、
その大空も人のごと
非力のままにめぐれるを。

 あの強力な律動の大空だって、自分が巡りたいから巡っているわけではない、というのだ。

 自分の今の境遇を顧みて、よくよく諦めなければならないと思う。多くの日本人と同じく私も宗教観は薄いが、宗教観が薄いがために諦念というものが弱い。鍛えなければならないのは諦念であろう。悲しみを受け入れる、苦しみを受け入れる、病気を受け入れる、死を受け入れる。その諦観あってこそ、また、喜びは己が手の間にきたるもの。


新品の給湯器で

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 風呂釜を更新しようがどうしようが、風呂に入る湯の品質に違いが出るわけではないのだが、しかし、新しい給湯器の湯で入れた風呂は、なんだか新品感が漂っていて、気分がわずかに違う。

 のんびりと風呂に入りながら、今読んでいる「千一夜物語」を反芻する。

 物語には「浴場(ハンマーム)に行ってさっぱりする」という場面が、ほとんど一話ごとに出てくる。苦労した人がまず行くのは風呂、美しい姫がまず行くのも風呂、である。

 トルコの浴場の話は、例の「トルコ風呂」の話とともに聞いたことがあるが、バグダッドやダマスカス、バスラでもこんなに風呂が盛んだとは知らなかった。

千一夜物語(5)

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 ゆっくりと読書中の「千一夜物語」は5巻を読み終わり、6巻に入った。

 5巻の大半はアラビアン・ナイトの中でも最も有名な話の一つに数えられる「船乗りシンドバードの物語」である。

千一夜物語(4)~(5)

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 千一夜物語、少しづつ読む。4巻読了。

 1巻以上にわたる長編「オマル・アル・ネマーン王とそのいみじき二人の王子シャールカーンとダウールマカーンとの物語」、4巻でようやく完結。

 シャハラザードの物語を聴くシャハリヤール王は、この巻で次第に心がうちとけ、感想を漏らすようになる。

 引き続き、5巻を読む。

お、おもしろかったッ

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太郎は水になりたかった 珍しく長女が読め読めとすすめるものだから、どちらかというと億劫ながらも、という感じで読んでみたのだが、(あに)はからんや、面白すぎて、思わずゲラゲラ声出して笑ってしまった。

 「もち……?」というところが最高に面白かった。それから、妄想部の部活動風景が超現実的(シュール)でよい。

 面白いんだけど、なんっか、地味ぃ~に暗いのと、「ああ、こういう心の動きの時って、俺も中学生ぐらいの頃、あったよなア」などと思わせるところがあり、秀逸だ。

 もともとはこの漫画、「トーチWeb」というリイド社のWebマガジンで連載されていたものらしい。物理本の他に、Kindleでも読める。

Kindle本

先週及び今週

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 長丁場であった。大雪の1月18日(月)から1月29日(金)一杯までの足掛け2週間。23日(土)から引き続き今週1週間は缶詰め、しかも木・金には一難去ってまた一難の大事出来(しゅったい)、いやはや。昨日から一応帰宅はでき、忙中閑ありの感。土日を1回流すとこうなるから嫌だが、世の中の人々みんな、これしきの忙しさなんてヘッチャラで、誰でも大体こんなもんだろう。

○ じぶん銀行(かた)りのフィッシングSPAM

 先々週あたりだったか、じぶん銀行を騙るフィッシングSPAMが2通ほど来た。その後、一昨日あたりに今度はりそな銀行を騙る同様のものが1通来た。

 じぶん銀行騙りのほうが来たときの始末たるや、速攻これあるのみ。有無を言わさず、表題とヘッドラインを見ただけで、中身も見ずに削除した。その時には、そのメールに関する噂などは何も聞き込んでいなかったのだが、そうした。

 私のその時の判断基準は「人」であった。じぶん銀行のIT関連部門には日本ITストラテジスト協会で知り合ったSさんという方がいるのだが、「あの人のような立派な方がかかわるIT部署が、こんなフザけたメールを送ることはありえない」ということが判断要素であった。

 その後、SNSなどでその話題が出始め、やはり当節流行のフィッシング詐欺メールであることが分かった。

 りそな銀行騙りのほうはその後10日ほど経ってから来た。最初のじぶん銀行騙りのほうは、「Sさんのところ」ということの他に、「私はじぶん銀行の口座は持っていない」ということも判断基準であった。ところが、りそな銀行のほうには口座がある。株式の取引の入出金に使っているのだ。しかも、知り合いはいない。

 こういうのは、メール内に書いてあるリンクのURLとメールのソース、それからセキュリティソフトの補助表示を見ればたちどころに馬脚があらわれるので、不肖ながらこの佐藤が引っ掛かることはまずないが、それでも、最初に来たのがりそなのほうであったら、ついうっかり引っ掛かっていた恐れもないとは言えない。

 日本ITストラテジスト協会でSさんとお知り合いになっていたのは、まことに縁のあったことだな、と思った。

○ 日本ITストラテジスト協会の定例会が先週の日曜、24日にあったが、また出られなかった。最近こんなこと続きで残念である。一昨年度、昨年度と支部運営の端に加わらせていただいていたが、忙しかったために大して役に立てない体たらくとなってしまった。不本意なことであり、引き続きこういう状態だと迷惑をかけると思ったので、今年は運営には挙手せず遠慮させていただいた。

○ そんなことであったので、先週の「さえずり季題」、まだ見てない。

○ 忙しいので本は少しづつ読む。


IMG_3680 千一夜物語は3巻読了。今読んでいるところは「オマル・アル・ネマーン王とそのいみじき二人の王子シャールカーンとダウールマカーンとの物語」という題だ。題名も長いが、中身も大変長大な物語で、本のカバーの見返しには「平家物語をおもわせる『千一夜物語』中の最長篇」とある。そもそも千一夜物語自体も文庫本で13巻と言う浩瀚な昔話であるが、その中でも最長篇であるわけだ。千一夜特有の、話中話、そのまた話中話の入れ子構造にどっぷりと浸って楽しむ。

 ただ、このほどのように、暇を見つけて切れ切れに読み進めるやり方だと、話中話の最初の始まり、根元(Root)のところがわからなくなってしまいがちである。IT技術者として表現すると、「スタックに不具合があってなぜか一部が消え、復帰アドレスを失う」(謎)というようなことであろうか。

 アズィーズという若者が出てくるのだが、冷静に読むとこいつが結構「ダメな野郎」で、ダメ行動をとり続けた挙句、愛人に陽物(ちんちん)を切り取られてしまい、それなのに泣きながら詩なんか微吟しつつ家出してメソメソ泣いていたりして、ダメ野郎フルスロットルだ。ところが、何か、それが「なんてダメな奴なんだ、このバカっ!!」と、逆に愛すべきところになっているのである。これは、この古い古い物語の話中話ならではこそ、である。今こういう話を書いたり読んだりしたら、女性陣からは憤激の嵐が巻き起こるであろうて。

 次は第4巻である。

 「オマル・アル・ネマーン王とそのいみじき二人の王子シャールカーンとダウールマカーンとの物語」はまだ延々と続いており、面白い。

 本道読書経路とは別に、長女が「この漫画面白いから、お父さん読みなよ」と(すす)めてきたのがある。

 長女がたってと漫画を薦めるのは、只今大学受験の最中であることもこれあり、めったにないことで、珍事だ。そこからすると、恐らく相当面白いのに違いない。楽しみに読むことにする。

物語から回教に親しむ

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 暮れにタダで入手した岩波の「千一夜物語」、電車の中で少しづつ読み進み、第2巻読了。

 今の(かたく)なな回教徒とは違って、物語中の登場人物たちは、おおらかに人生を謳歌していく。己を飾り、酒を飲み、エロチックで、嘘つきで、旨いものをしこたま食い、疑い、偸盗(ちゅうとう)殺生(せっしょう)、悪口、讒謗(ざんぼう)、そういう泥沼のような人間らしさのうちに、だが、神への恐れと感謝を忘れない。

 さて、引き続き第3巻に取り掛かる。当分はこの物語ばかり、読む本は他にいらない。

○ 源泉徴収票が来ていた。増えぬ収入。子供たちへのかかりはますます増大。ま、仕方がないね。

○ 週初めの積雪、やっと歩くところからは融けて消えた。普段の革靴で歩けるようになったが、まだ日陰にはたくさん雪が残る。ほんの数年前なら子供たちと雪達磨を作ったものだが、愚娘(ぐじょう)共が小さかったのもそれこそ須臾(しゅゆ)の間のことで、今はもう雪達磨など作らない。美しく惜しい期間がもう過ぎたな、という気もする。

○ 名俳優、「遠山の金さん」中村梅之助死去の報。祈冥福。

今週

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月曜日

○ 竹田圭吾氏の死去がデビッド・ボウイのそれにかき消されてしまっているようであることに、そぞろ「もののあはれ」のようなものを感じてしまった。なんというか、不覚というか。

 いや、デビッド・ボウイも竹田圭吾も、ハッキリ言ってどっちも知らんのですよ、私。……あっ、デビッド・ボウイのほうは、若い頃に見た「戦場のメリー・クリスマス」に出てたから、ちょっとだけ知ってるっちゃあ知ってますがね。だが、そもそも、だいたいからがして、何の歌を歌ってたどういう人物かとか、全く知らんのですわ。だからと言って、竹田圭吾に至っては「……誰?」状態であって、何の興味も関心もない他所(よそ)の人である。すみません、バカなんです私。

 どうあれ、人が死んだことは悼むべきことなので冥福を祈るが、誰か知らない、自分に関係のない人が死んでも、今いち腹の底からの悲しみは湧きにくいと言うのが正直のところである。

○ 先週のお笑い国会は、もうあれはアレでああいうもの、ということで忘れていたのだが、夕刊ゲンダイの大見出しで「年金4兆円」って書かれていて、笑いが蘇ってしまった。

○ 「菊正宗」のCMって、れっきとした歌手のシングル・リリースの曲だということをある方のFB投稿から知って興味深かった。

火曜日

○ 月曜は祝日ではあったが、泊まり込みの仕事だった。それが引けて、火曜の夜は新年会だった。

 職場の新年会は忙しいこともあって人が集まりづらい。そこで幹事が脳漿を絞り、「持ち寄り会」で気楽に集まろう、ということに一決した。

 帰省していた人などが多いため、北海道から沖縄、はては海外からも山海の珍味酒肴が集まった。

 その中に石川県は能登名産の「河豚子(ふぐこ)」があった。河豚(ふぐ)のはらこを糠漬けにして熟成させたものだ。噂には聞いたことがあったが、実物を食べてみたのは初めてである。

 これは聞きしにまさるもので、誠にうまかった。

 言わずと知れたことだが、河豚の卵巣は有毒で食うことはできない。しかし、石川県名産の河豚子は古くから伝わる独特の製法によって毒が消え、逆に得も言われぬ旨味を生じるのである。河豚子の調理は法律で厳しく制限されているが、石川県の河豚子のみは特に製造を許されているのだという。

 塩辛く、酒に合う。同じく持ち寄りの山形県の名酒「出羽桜」、紙コップに注いだのが、さながら消えるが如くすすむのであった。

 河豚子はネット通販などでも買えるようだ。

○ 突然老眼鏡のフレームが壊れた。何もしていないのに「パチン」と蔓が切れ、レンズがはじけ飛んだのだ。うーん、不吉である。新しい老眼鏡買わなくっちゃ。

○ 「千一夜物語」1巻、読了。2、30年ぶりの再読。面白い。以前どこかで、「旅、食、エロ。この三つが含まれていると、漫画でも小説でも映画でも、おっさん連中は喜んで読む。鬼平犯科帳など、一連の池波正太郎作品なんか、そうでしょ?」という意見を読んだことがあるが、そこへいくと千一夜もそうである。なるほど。

 1巻から2巻へかけての話中話に出てくる鬱陶しい床屋なんか、抱腹絶倒間違いなしの面白さだ。

 引き続き第2巻にかかる。

水曜日

 SMAPのメンバーのうち4人までもが事務所を移籍する、残るのは木村拓哉だけという噂、要するにもうほとんど解散か!?……というような内容の芸能ニュースが流れていた。そうなったらカンニング竹山とかビビる大木などの「コンビ名つけたピン芸人」みたいに「SMAP木村」とかわざわざ名乗るようになンのかなあ、などと想像してワロタ。

 「ピンアイドル」「SMAP木村」て、アンタw。

木曜日

 今週は急に気温が下がった。

金曜日

○ ゴミ捨て当番だったので、ゴミを取りに行ったら前日の当番が仕事をしておらず、前々日もそうだったらしくてオッソロシイゴミの山。シュレッダー屑から食い滓から空き缶から瓶から、とても一人では運べない。さすがに前日と前々日の当番に文句を伝えたら手伝いに来て、なんとかなった。

○ FBのウォールにこういうのがシェアされてきた。

 うーん。私、ここに書いてあること、全部やってるんですけど、貧乏人なんですよねえ。ToDoリストはもちろん作ってるし、テレビなんてほとんど見ないし、読書なんてもう、それ以外の楽しみったら駄文書きくらいだし、有酸素運動なんざ言わずもがなだ。

 ToDoは、私が勤勉・几帳面だから作ってるんではない。どうも私はバカなので、やることを紙に書いて、それに従ってやらないと、忘れたり、混乱したり、うまくできなかったりするんですよ。

 ある時、発達障害(ADHD)の人がなんとか他人に迷惑をかけずに社会生活を送るには、「やることリスト」を作ってそれに従って生活するとよい、みたいなことが書かれたものを読んだことがある。ははあ、俺もToDo作らないとモノを忘れる、ってことは、俺、かなり発達障害じみてンだなあ、などと、なにやら悲哀を覚えてしまった。

 そのことを考え合わせると、金持ちどころか、病気直前じゃねえか俺、……と思うのである。

○ やっとこさ休前日なので、酒はコッチ。

休前日のブラックニッカ・リッチブレンド
休前日のブラックニッカ・リッチブレンド

土曜日

 センター試験に行く長女。頑張るのじゃぞー!と、送り出す。

 今(19時ちょうど)、マフラー巻いて白い息吐いて、地域猫のハートと「ただいま~」と帰ってきた。